ホームページは「チェストランス」です。古い記事では図の駒が表示されません。

2010年02月16日

中村紘子『チャイコフスキー・コンクール』書評

 5年前に古本屋で100円で見かけて買って読んだ。書評のために読み直す気はないので、メモ書きを頼りに書く。ここまでして書評するのは、図書館にある ような本は引っ越し前に減らしたいからで、買うしかない洋書や手元にないと困る楽譜やレファレンスだけにするのが理想だ。
 一般人には縁遠い音楽コンクールの実情だが、生半可な音楽ファンにとっても謎の世界だ。著者が同コンクール審査員として見た裏話を披露している。実力よ り将来性を評価するといったありきたりな話からマニアックな話題まで、古今東西音楽事情等、今読んでもおもしろい内容だと思う。

 今さら詳細には立ち入らないが、序文から音楽評論家ハロルド・ショーンバーグが出てくる。この人はチェスにも造詣が深いので名前を見る機会が多い が、来日時に著者が案内人になって一緒にコンサートを聴いたりしている。そのときに彼がプログラムの紙にミッキーマウスの絵を描いて渡してきたとい う話を読んで、彼が自分のチェスの本で書いているフィッシャーの似顔絵を連想した。
 彼がピアニストについて書いた本でグールドの話の引き合いにフィッシャーが出てくる。本ブログでも触れたことがあるが、もうすぐ(?)出版予定の『ボ ビー・フィッシャーを探して』の解説部分で引用している。ちなみに著者もグールドに少し言及している。NHKのピアノ番組講師のときにも、演奏時の正しい 姿勢 を説明するときにわざわざ悪い例のグールドを持ち出したくらいで、気になるピアニストではあるのだろう。

 チェス以外にもと言うと変だが、ソ連の音楽家支援体制もすごかった。そのわりには期待が大きすぎるのか同コンクールでのソ連聴衆は同胞に厳 し かったという。第1回優勝者が冷戦宿敵アメリカのヴァン・クライバーンだったのはそのせいかもしれない。この名前は先日、辻井伸行が優勝したコンクール名 として聞いた人も多いだろう。
 クライバーンはその後演奏活動に忙殺されすぎてキャリアを棒に振った悲劇のピアニストとなる。これをきっかけに、当たり前のことだが、演奏家はコンクー ル後の方が大事で、周りが堅実に支援する体制が生まれていく。こういうコンクール騒動をいちばんばかばかしく思ったのはグールドで、クライバーン騒動は彼 の ライブ引退に大きく影響したのではないか。

 とはいっても、コンクールだけが人生さというピアニストは多く、著者によると彼らはプロフェッショナル・ファイナリストと呼ばれる。コンクールが多すぎ て、つまり優勝者も多すぎるゆえの「弾く場を求める永遠のアマチュア・ピアニスト」なのだ。
 「のだめカーンタービレ」でもコンクールの厳しい現実が出てくる。実際、無名のコンクールで1回入賞するくらいでは、箸にも棒にもかからないのだろう。

 失礼な話だが、著者がこれほど文章が書ける人とは思わなかった。何となく世界へ羽ばたいた初の日本女性ピアニストというアイドル的イメージを抱いていた から だろう。私も中学の頃クラシックのLPを買ったときに著者のポスターをもらったことがある。彼女の演奏ではないが。
 着物を着て座敷に置いた足がないグランドピアノを弾いてくれと言われ、「ペダルがないと弾けません」と断ると、「あれはやっぱり必要なん ですか」と言われたという笑い話もある。私が読んだのはハードカバーだが、今の文庫版には吉田秀和の解説が付いている。それが気になる。

チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く現代 (中公文庫)
チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く現代 (中公文庫)
中央公論社 1991-11
売り上げランキング : 23444

おすすめ平均 star
starピアノコンクールの歴史に始まり
star歯に衣着せぬエッセイです
star硬派な国際ピアノコンクール・ドキュメント

Amazonで詳しく見る

コンクールでお会いしましょう―名演に飽きた時代の原点 (中公文庫) どこか古典派(クラシック) (中公文庫) ピアニストという蛮族がいる (中公文庫) 指揮のおけいこ (文春文庫) 音の影 (文春文庫)
posted by 水野優 at 11:21| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月12日

宮前幸広『あきない! ハノン』

[ピアノスタイル] あきない! ハノン
ジャズ、ポップスを弾くための☆ピアノトレーニング集 宮前幸広

 ピアノ学習者にハノン好きな人は聞いたことがないが、私はけっこう 好きだった(汗。全調のスケールと分散和音を弾けるようになった頃は、並行して習っているバイエルに毛が生えたレベルの曲より高レベルの曲?を弾いている満足感を感じた からだ。
 これはもちろん私が19歳からピアノを始めたからであり、子供だっ たらご多分に漏れず…だっただろう。しかし、ハノンのおかげで各指の独立性が向上し、バッハに頻出する音型に慣れることができた。惜しむらくは、それを「」に生かさぬじまいに終わったことである。

 すでに手放してしまったハノンをまた買い直すのもおもしろくないので、本書は、ポッ プスの音型(伴奏)練習も兼ねて退屈しないことを期待して買った。amazonでも、歳を取ってからやり直すのにいい等のレビューが自分に 合っていると思われた。
 最初は、ハノンと同じく2度ずつ上がって下がる音型練習がいくつか ある。いちばん最初の2曲は左右の5指ともポジション移動なしであらゆる音型が2小節ごとに入れ替わり立ち替わる。ハノンが1曲の中で全くパターンが変わ らないのをうまくはしょっている。

 飽きないようにはしょっているとも言える。はしょるのは怠慢につな がるが、飽きて三日坊主に終わるよりはましだ。しかし、ハ長調以外の調でも練習しなければならないのは結局元祖ハノンと同じで、この先が本当の勝負なのだ ろう。移調が難しければ作譜ソフトで印刷するべきだ。
 私はそこまでしない(汗。シンコペや三連符練習もあり、次は分散和音も使ったコー ド練習が続く。コード進行まで工夫しているのはポップスを見据えてだろうが、おもしろみはない。次のスケール練習はコンパクトでいい。最後は、ポップスやジャズのパターン練習がある。

 本書を買ったのはもう3か月前とはいえ、実はもうほとんど使ってい ない。その後、自分のレベルに最適の曲集をいくつか手に入れたからだが、ピアノをほぼ毎日楽しんでいるのだからそれでいいと思っている。ストイックな気持ちになったらまた本書を開けばいいのだ。

[ピアノスタイル] あきない!ハノン
宮前 幸弘
[ピアノスタイル] あきない!ハノン
リットーミュージック 2006-01-24
売り上げランキング : 40993

おすすめ平均 star
star練習には最適!
star楽しいハノンです
starほんとうに飽きない!

Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 17:02| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月02日

邦画「神童」レビュー

 ピアノ演奏シーンを(音は差し換えとしても)けっこう役者本人がやっているという触れ込みだったので、スカパーで見た。たしかに、主演の成海璃子は、最 後のオケとモーツァルトのニ短調協奏曲を共演するところも要所を弾いている。松山ケンイチが弾いているところは引きでしか映らない。
 「のだめ〜」以後のクラシック音楽ネタ映像作品は、平易かつマニアもうならせるという難題をクリアしなければならなくなった。それまでがあまりにひどす ぎたからでもある。しかし、私が知らない曲が1つくらいあってほしかった(笑。

 松山の父親役が柄本明なのは納得のキャスティングだ。カメレオン俳優と呼ばれるほど様々なキャラをこなす松山だが、普通の役で大成するなら、最近しぶい 演技を見せている西島秀俊のようになるような気がする。と思ったら西島は亡くなった成海の父親役だった。
 ストーリーにも触れておくと…一浪しての音大受験で後がない松山が、知り合った天才ピアノ少女成海に手を握ってもらった加護で受験をパスする。成海の亡 くなった父と松山の担当教官が知り合いだったり、父の形見のグランドピアノが借金のかたに押さえられたり…。

 圧巻は、あり得ない話だが、来日した有名ピアニストのドタキャン代役に成海が上記のニ短調を弾くシーン。その後病気で倒れてしまうが、ラストは清々し い。

神童 [DVD]
成海璃子.松山ケンイチ, 萩生田宏治
神童 [DVD]
VAP,INC(VAP)(D) 2007-11-21
売り上げランキング : 18133

おすすめ平均 star
star原作との落差に絶句
star才能を持つことの輝きと残酷さ
starラストにかけて駆け足に・・・

Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 19:53| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月27日

20年ぶりのバイエル

 17〜21日に帰省してました。うちに42型テレビがあるので、前回のようにもう実家の32型テレビを見るメリットもなく、寒暖の温度差が大きい時期で 熟睡できず、疲れて読書すら満足にできませんでした(汗。
  救いは、最寄りのブックオフくらいで、楽譜、本(雑誌)、映画パンフ、CDで帰りのカバンが重くなってしまいました。譜面は全音のバイエル とソナタアルバム2。どちらも人に譲ってしまったものの買い直しですが、105円なら安い物。

 20年ぶりくらいにバイエルを弾いてみました。昔は上を目指すあまりに技術訓練で終わってしまったから今度こそ「曲」を身に付けねばと思うものの、私は こういうのからコツコツやるのが性に合っている気がします。
 元々指で覚えられないタイプなのでもう覚えているわけがないのですが、メロとコードの関係等、当時より理論に長けたので先を読みやすく、余裕を持って弾 けました。手持ちのキーボードが、フル鍵盤より白鍵だけの部分の長さが短い弾きにくさを考えれば上出来です。
 19から始めても昔取った杵柄になっているのがうれしい。私よりもっと弾けるのに全く弾かなくなる人がたくさんいると思うと、もったいないことです。ギ ロックとか、易しいわりに聞き映えのする曲で地力をつけていこう。

標準バイエルピアノ教則本 全音ピアノライブラリー
バイエル
標準バイエルピアノ教則本  全音ピアノライブラリー
全音楽譜出版社 1998-12-10
売り上げランキング : 33663

おすすめ平均 star
star入門用として適するか?
starピアノ入門書
star定番

Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 18:02| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月03日

プリメインアンプ marantz PM-4001 レビュー

 楽譜作成ソフトを買うべきなのに、環境快適化に誘惑に勝てず、アンプを買ってしまいました(汗。amazonや価格コムのレビューを参考にした marantz PM-4001、今時AVでもデジタルでもないデザインも昔ながらのプリメインアンプです。
 映画を臨場感ある音で楽しみたいとは思わない(台詞が小さいわりに効果音がでかいのが不快)し、原音を細部もらさず全音域をフラットに出してくれたらい い、と突き詰めていくと、こういう渋い選択になりました。聴くのが9割方クラシックだからでもあります。

 朝届いてからAVとPCの大セッティングし直しが昼過ぎまでかかり、下階が夜勤で20時に出て行ってから久々に大音量を満喫しています。室内楽や木管ソ ロを小音量で聴いても聞こえてくる情報量が段違いに多いという感じ。
 映画「下妻物語」でも深キョンの息もれや滑舌の悪さ(笑)、脇役の息づかいまでよく分かります。ここまではスカパーですが、MDになるとさすがにソース の悪さは否めません。ロストロのバッハ無伴奏チェロでは、特に低音の情報が抜け落ちているような気がしました。
 CDやスカパーをMDにデジタル録音しても、ビット情報量は最高でも1/8に落ちるから、もやもやっとした感じになってしまうのでしょう。スピーカーは ケンウッドのLD(!)コンポ、エスパスに付いてた3ウェイを久々に押し入れから引っ張り出したのですが、このアンプになって低音の締まりが悪いと感じま した。近いうちにオンキヨーのスピーカーを買いそう。

marantz PM4001(ゴールド) プリメインアンプ PM-4001

marantz PM4001(ゴールド) プリメインアンプ PM-4001
マランツ
売り上げランキング : 20072


Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 13:07| Comment(6) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月15日

洋画『歓びを歌にのせて』レビュー

 最近はくだらないバラエティ番組はほどほどにして、またスカパーCinefil Imagicaの名画を見始めた。Sa som i himmelen/As It is in Heaven「歓びを歌にのせて」 (2004)(2005年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)が感動的だった。本国ス ウェーデンで空前のヒットとなっ た作品とのこと。

 世界的指揮者ダニエルは8年先まで予定が詰まった多忙な活動で倒れ てしまい、故郷スウェーデンの田舎村にもどり、ひょんなことからアマチュア聖歌隊の 指導を引き受ける。ダニエル独特の指導法は隊員たちの心をつかみ、彼自身も元気を取りもどす。
 しかし、隊員たちは、夫のDVや精神病等それぞれの問題を抱えてい た。それでも、有料コンサートをペイできるほどの実力になった聖歌隊は、オーストリアのコンクールを目指す。そんな折り、やや女にだらしないダニエルが彼をねたむ牧 師から罷免される。

 聖歌隊は教会外で練習を続けてオーストリアへ向かう。そこにはダニエルを取材しようと待っていた記者たちがいた。体調を崩しかけていたダニエルは、本番前に遅れて駆けつける。指揮者の到着を信じる聖歌隊員たちは、教えられた通 り発声練習をして待つ。
 それはいつしか観衆をも巻き込む声の洪水となり、会場内で倒れたダ ニエルの薄れゆく意識へ空調管を伝って届けられる。ダニエルの人生に悔いがあったかと聞くのはあまりにも愚かだ。

歓びを歌にのせて
ミカエル・ニュクビスト フリーダ・ハルグレン ヘレン・ヒョホルム
歓びを歌にのせて
エイベックス・トラックス 2006-06-21
売り上げランキング : 15762

おすすめ平均 star
starこれだけ後味の心地よい映画も久々
star北の大地の魂の復活劇には、半端ではない説得力があった。
star悲しく、そしてとても美しい。ココロ震える映画です

Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 11:06| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月07日

井上太郎著『わが友モーツァルト』書評

 久々の書評は、井上太郎(1925-)の『わが友モーツァルト』('86/10、講談社現代新書830、p.224)。タイトルの印象とは裏腹に、あくまで書簡に基づいた正統的モーツァルト論を展開する。巻末にはそれを補うごとく、150曲とその名演の選集を収録。
 著者は理工学部から出版界へ進んで音楽書、文芸書、美術書等の編集に携わり、本書出版から執筆に専念する。今世紀にかけて作曲活動も盛んな多才ぶりを発揮。モーツァルトは著者が最も愛する作曲家。

目次
序 モーツァルト現象の中で
1−人間モーツァルト
 1−孤独な神童
 2−遊びの精神
 3−言葉遊び
 4−アレグロの人生
 5−直情径行
 6−高いプライド
 7−寛容と厳しさ
 8−ドン・ファン?
 9−乏しい経済観念
 10−死を友として
2−モーツァルトの十八世紀末
 1−革命の季節に
 2−カトリックとして
 3−フリーメイスンとして

 今でこそ有名なモーツァルトの下ネタ好きは、長らく楽聖には不適当として書簡集から省かれていた部分が30年ほど前に日の目を見てからのことで、それが映画や舞台の「アマデウス」等一連のブームにもつながった成り行きが分かる。
 謎の多い晩年の窮乏生活に関しては、本書では放蕩よりもフランス革命前後の政情不安のせいとしている。近年、実は金には困ってなかったという新説も出てきたようだが…。

3−音楽家モーツァルト
 1−ヨーロッパの音楽事情
 2−宮廷音楽家と自由な音楽家
 3−職人か芸術家か
 4−モーツァルトの美意識

 モーツァルトには本を出版する計画があったらしいが、結局かなわなかったのはたいへん残念だ。本章のような当時の音楽事情の解説はひじょうにためになる。

4−作曲の現場から
 1−自筆譜を見ながら
 2−どのように作られたか
 3−楽器と歌手
 4−自作目録が語るもの

 モーツァルトはフリーランス作曲家の先駆けだったとはいえ、時代にはまだ「芸術家」という意識が乏しかった。モーツァルトの天才は、当時の時代様式や音楽先進国イタリアやフランスへの迎合や対抗という厳しい制約内で名作を残したことにある。
 まめに自作目録を残していたのは意外だったが、それが大英博物館に寄贈される前にシュテファン・ツヴァイクが所有していたというのも興味深い。

5−モーツァルト像の転換
 1−小林秀雄の『モオツァルト』
 2−モーツァルトの劇的空間
あとがき
モーツァルト年譜
私の選んだ一五〇曲とそのレコード

 著者は小林秀雄の『モオツァルト』の「音楽が鳴っている文体」に心酔したが、後にその歌劇より器楽優位の内容に批判的になった。かつては受験に必須と言われた小林秀雄を私は未だほとんど読んでいないが、器楽優位賛成なので読まねば(笑。


 モーツァルト生誕250周年の昨年は、「もういいだろ」というほどのモーツァルト年で、私的にはスカパー・スターデジオの7つしかないクラシック・チャンネルの1つがモーツァルトの垂れ流し(楽章単位のBGM的放送)になってしまったことに未だに憤慨している(汗。
 ピアノ協奏曲の短調2曲は超名作なのに、交響曲の2短調曲(25と40)にはどうもなじめないのは私だけだろうか。悲劇を全面的に表に出すのがはまる作曲家はブラームス等多々いるが、モーツァルトはそれに当てはまらないような気がする。

わが友モーツァルト
井上 太郎

わが友モーツァルト
講談社 1986-10
売り上げランキング : 859815


Amazonで詳しく見る
posted by 水野優 at 14:53| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月07日

鈴木淳史『わたしの嫌いなクラシック』書評

 鈴木淳史の『わたしの嫌いなクラシック』(221ページ、'05年、洋泉社新書139)を読んだ。例によってamazonのお薦めに入ってきたからだが、ついに洋泉社新書まで手を出してしまったかという感じ。新書としては軽いが、他にもクラシック評論のおもしろい本をたくさん出している出版社である。

目次(下位見出し省略)
序章 「キライ」という価値

 「ボレロ」や「モルダウ」等、私も嫌いな曲を挙げているのが読む決め手にもなったが、一口に嫌いといっても、生理的なものから観念的なもの(著者は同一と考えているが)、単に出会い方が悪かった等の個人的な笑い話まで様々だ。

第一章 こんな曲がキライだ
 作品を嫌いになるということ
 モーツァルト/歌劇《魔笛》
 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
 ベートーヴェン/ミサ・ソレニムス
 ベートーヴェン/交響曲第九番《合唱つき》
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調
 ヴェルディ/序曲・前奏曲集
 ヴェルディ/レクイエム
 ワーグナー/楽劇《ニーベルングの指輪》
 スメタナ/我が祖国
 ブルックナー/交響曲第八番
 シュトラウス一家/ワルツとポルカ集
 イヴァノヴィチ/ワルツ《ドナウのさざ波》
 ラヴェル/ボレロ
 ショスタコーヴィチ/交響曲第八番
 ブリテン/青少年のための管弦楽入門

 下位見出しまで書けば「キライ」のパターンがまる見えになるが、長すぎるのでやめておく。イヴァノヴィチはやや小者だが、知名度としては名曲そろいだ。そもそも一般的に名曲、名演奏家(次章)を取り上げることに本書の意義があり、取るに足りないもの(Jクラシック?)では成立しない企画である。
 共感したのは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はクレメルの前衛カデンツァぐらいやってくれないと退屈なこと。第九は合唱に入るとだめというのは、以前『西洋音楽史』の書評で私が書いた通り。ブルックナーは初稿の人間臭さがいいとする著者は相当の通かひねくれ者だ。私など、4番の原典版を聴くのは辛すぎる(笑。

第二章 こんな演奏家もキライだ
 嫌いな演奏家
 ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カール・ベーム
 ヴィルヘルム・バックハウス
 ダニエル・バレンボイム
 オルフェウス室内管弦楽団
 ギュンター・ヴァント
 ヘルベルト・ケーゲル
 フジ子・ヘミング
 ニコラウス・アーノンクール
 クリスティアン・ティーレマン
 クラウス・テンシュテット
 ヤッシャ・ハイフェッツ
 ロリン・マゼール
 ロジャー・ノリントン
 サイモン・ラトル

 ベームが「イモ」だとか、バレンボイムが嫌いにすらなれないほど(私はピアニストとして嫌い)、フジ子の「物語」が嫌い等は同感だ。ヴァントは年の割にテンポが速い指揮者ぐらいにしか思ってなかったが、著者の分析はかなり力が入っている。随所に出てくるサッカー(指揮者=監督、奏者=選手)の比喩は軽妙洒脱。
 次章で名前だけ挙げられている好きな演奏家には、ヴァントを始め、ここで嫌いな理由が力説された者にかぎって入っているのでおもしろい。ラトルについては、過去の名演のパロディまたはデータベースとこき下ろしているが、私には一貫性を感じられないことがむしろ彼の魅力に思える。基本的に演奏者の独断(作曲家に対する)を認める著者だが、自身の「好き」の許容範囲が狭いのだ。

第三章 「キライ」の裏側に潜むもの
 わたしはなぜ「日本的」な演奏を嫌うのか
 古楽スタイルの演奏は好き嫌いで聴く
 「過剰さ」への距離感
 「線」の音楽としてのクラシック

 前章までの嫌いな作曲家と演奏家の羅列では、目から鱗の話もあるとはいえ、しょせん著者と私が共感するか否かだけの問題だった。本章ではなぜか、「騒音」や「交通」の問題にも触れていて、クラシックのような傾聴する音楽の好きな人が同じ悩みを抱えていることがうれしい(笑。
 歩行者が渡ろうとしていても車が止まらないから飾りにすぎない日本の横断歩道に対して、ヨーロッパでは止まってくれることから、機械に支配される日本(アメリカも)と機械が手段にすぎないヨーロッパを強調する。オランダで右折車と怒鳴りあったことのある私には納得できないが。

 著者は、ラトルもそうだがゲルギエフ、さかのぼればフルトヴェングラー等の過剰演奏がクラシックの終焉をもたらすとしている。しかし、過剰さがクラシックファンを増やしてきたわけだし、CDで残る過去の名演から頭一つ抜け出すには過剰以外にどんな手段があるというのだろう。
 昔の音が悪い名演をラトルがいい音でコピーしてくれるのなら、それはそれでありがたい。問題はその後で、音のいい名曲名演が一通りそろった後に何ができるかだが、最近やたら増えてきた別楽器アレンジ以外に何かないものか。金儲け担当プロデューサーもこういうときこそ知恵を絞ってくれ。

 二元論だらけの最後には、真木悠介の『時間の比較社会学』から引用した「線」「円」の対立概念が出てくる。それぞれが西洋と東洋、クラシックとポップス等に対応すると解く。たしかに、フィナーレまで線的に突き進む交響曲と円形図で表す雅楽のリズムの対照を連想させはする。
 しかし、クラシックにしても中途で不協和音と協和音の交替は何度も現れる。ただ、線=理想、円=現実という図式は、クラシックを現実逃避の芸術ととらえるには有効だろう。その意味では、著者が「線と円を共存させる」というチェリビダッケを私が評価しないのも納得がいく。

 著者がバロックや独奏曲に比重を置かないとはいえ、グレン・グールドのグの字も出てこないのは意外だった。古楽一辺倒を批判しつつもバッハをピアノで弾くことだけで退けられたのか、ライブあってのCDという著者のスタンスも関係しているかもしれない。
 しかし、こういう本でライブうんぬんと言われても、読んでる方はどれくらい共時体験できるのだろう。ライブとCDの違いなんて話もうんざりだから、どうせ読むなら許光俊のCD名盤本とかの方がいいやと思ったら、共著で『クラシックCD名盤バトル』なんてのも出ている(笑。
わたしの嫌いなクラシック
4896919475 鈴木 淳史

洋泉社 2005-08
売り上げランキング : 87572

おすすめ平均star
star痛快な本ですし、傾聴に値する意見ですね。
starこの人の本おもしろい:好きか嫌いか1つ。
star的を得た指摘!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:39| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月14日

岡田暁生『西洋音楽史』書評

 岡田暁生の『西洋音楽史』(243ページ、'05年、中公新書)を読んだ。amazonのお薦めに入ってきて評価も良さそうなので借りてきたのだが、この名前どこかで見たことがある。奥付で確認できたが、阪大の美学研究室での先輩だった。
 2歳年長なだけだが、私が学士入学したときにはすでに博士課程だったと思う。30以上が珍しくない研究室ではそれだけ優秀だったということだ。院生と一緒にするゼミにはほとんど出てこない人だったので顔も覚えていないが、私のへなちょこ発表を聞かれずに済んだと思うとほっとする(汗。

目次
まえがき

 いわゆる「クラシック」とそれ以外の音楽の落差を埋めるという指針が注目される。新しい音楽に何一つ期待しない私などは「今を生きていない」とまで開き直っているが、それより古くて捕らえどころのない中世やルネサンスの音楽に関しては、どう聞かれるべきかが突破口になる。

第一章 謎めいた中世音楽

 エクリチュールゆえに後世に残ったとはいえ、平たく言えばお経や声明のようなものだから、宗教抜きには語れない。基本は三拍子で二拍子が神への冒涜として禁じられたことは、民俗音楽としてはありふれたことかもしれないのに、我々の抱く西洋音楽の合理性から考えると奇妙に思える。

第二章 ルネサンスと「音楽」の始まり

 音楽の美意識が芽ばえ実質的な作曲家が登場した時期なのに、やはり一般的にはあまり知られていない。全部で4箇所あるグールドへの言及の一つ目があ るが、彼がピアノで弾くイギリスのヴァージナル音楽くらいしか私もこの時代の音楽は知らない。

第三章 バロック−既視感と違和感

 既視感とはヴィヴァルディのような明るい分かりやすさ、違和感は時代遅れで難解なバッハのことである。そのバロックの中では「浮いている」バッハが最も偉大なことが、学者泣かせとさえ言われてきたという。たしかに、私もバッハを典型的なバロックの作曲家とは思っていない。

第四章 ウィーン古典派と啓蒙のユートピア

 まだ通奏低音に縛られていたバロックと違い、ポップスでは当たり前のメロディーが主役となる。演奏会と楽譜出版が作曲家の地位も向上させる。「チェス」という言葉がたとえで出てくるが「打つ」としているから引用しない(笑。ベートーヴェンの作風を市民階層の労働に結びつける発想がおもしろい。

第五章 ロマン派音楽の偉大さと矛盾

 著者の専門が19世紀なので最も紙数も多い章である。雑誌や批評が「クラシック」を決める時代。古典のプレッシャーにつぶされ、現代より未来へ向かって書く宿命を作曲家が背負い始めた時代。クラシックとポピュラーの対立図式が生まれた時代でもある。
 音楽の後進国ドイツがバッハ〜ベートーヴェンを担ぎ上げて…という話は以前書評した『反音楽史』に詳しいが、本著者はそこになかったハンスリックを引用どころか再評価までしているのでうれしくなった。私のゼミ発表では、「今どきハンスリックではねえ」と一蹴されてしまったから(汗。

第六章 爛熟と崩壊−世紀転換期から第一次世界大戦へ

 現代のコンサートレパートリーが扱う最後のそして最もエキサイティングな時代である。マーラーの交響曲=オラトリオとはよく言われるが、神なき時代の私にとっての神がこの音楽だという気にさせられた。交響曲第3番終楽章の解説にひどく共感したからだ。
 コラール風の主題が20分以上もかけて上り詰めていくが、決して力業ではないクライマックスは聴き手をさらに内面の世界へ引き込んでゆく。私は、ベー トーヴェンの第九終楽章で「歓喜に寄す」のメロが低音楽器から徐々に他へ受け継がれるときにも同様の気持ちになるが、そこから先はとても神聖とは思えない。

第七章 二十世紀に何が起きたのか

 パクリのストラヴィンスキーと究極のロマンティストのシェーンベルクという対比がおもしろい。芸術音楽はサブカルチャーへ成り下がる。アーノンクールの「18世紀までの人々は現代音楽しか聴かず、19世紀には過去の音楽も聴かれ始め、20世紀には過去の音楽しか聴かなくなった」とは言い得て妙だ。
 ポピュラー音楽に関してはそこへ至る流れを示すに留まる。やや保守的とはいえポップスこそロマン派音楽の継承者とする著者にも同感。20世紀後半にはモダンジャズが最も芸術的に発展したと言われたので、ちょっとスターデジオで聴いてみる気になった。
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 岡田 暁生


おすすめ平均 star
star全体を見通せる
star社会、時代、文化の流れから見た西洋音楽史
star音楽の楽しみが広がる
starあえて一人で西洋音楽史を語り切った勇気に拍手
star謎解きとしての西洋音楽史

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 00:00| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月22日

青島広志『作曲家の発想術』

 ヤクルトが交流戦優勝を逃したし、未だに「代打、オレ!」が登場しないので書くことがない。といいながら書いているが、日々少しずつでも仕事、勉強、趣 味をこなしているから、特に書くことがないほど平凡に充実しているのである。


 スターデジオレビュー代わり(?)の音楽書書評は、青島広志の『作曲家の発想術』(274ページ、'04年、講談社現代新書1731)である。モーツァルトやクラシックブームに乗っかったテレビのプチ教養番組で、ピアノを弾きながら早口で解説する芸人のような著者をよく見かけるようになった。
 ところが、その調子を本書にも期待すると肩すかしを食わされる。タイトル通り、意外とハウツーものの内容となっている。テレビでおなじみの楽曲解説も含 まれているが、ユーモアも全体的にもっとクールでブラックだ。

目次
はじめに
第1章 作曲家への階段−わたしの場合、あなたの場合
 作曲家であることの証明……誰もが認める作曲家……クラシック音楽家になるには……経済力と幼児の環境……まずピアノのレッスンを……音楽理論の勉 強……音大入試に向けて……大作曲家への師事……音楽教育にかかる費用……ポピュラー音楽の場合……音大で学べること、学べないこと……オーケストラ体験 で得たもの……デビュー作となった卒業作品……大学院への進学……原作者からの上演停止命令……自ら指揮棒を振る……チケット代金盗難事件……テレビの初 仕事……「ゆかいなコンサート」……一つの仕事にしがみつくな……生徒をめぐるトラブル……マネージャーの功罪……桃太郎伝説のミュージカル……改竄され た作品……名曲への新しいアプローチ

 著者が作曲家になるまでの道のりをたどりつつ、そこから得られた教訓や作曲家になる具体的な方法を提示する。ポピュラーに対して(現代音楽なのに)クラ シックの定義を簡単にしていて、やはり作品を最終的に楽譜で表現するものとしている。
 これは、録音技術のなかった時代の音楽は譜面の解釈に頼るしかないという伝統が続いているからでもあるが、ポピュラーのようにCDになる可能性が乏しい ために、楽譜出版印税や上演等の著作権使用料で食べていかねばならない現実を示してもいる。

 本書を通じて語られるドロドロした業界(音大、演奏家、放送)話も本章に集中している。学生時代ファンだった作曲家と同業者になると急に冷たくされたと か、作曲者の尊重とはほど遠く現場で曲が改変されていくとか。
 金とコネでしか動かない俗物どもとどう渡り合うかというフリーランスの心得は私にも参考になるが、著者は相手にもあくまで同情的である。匿名で非難して も当人には丸わかりだから、自分の立場もわきまえているのだろう。

第2章 名曲はこう作られた?−10の異なる曲種への考察
 1−オーケストラ曲 2−吹奏楽曲
 3−協奏曲・独奏曲 4−室内楽曲
 5−ピアノ曲 6−歌曲 7−合唱曲
 8−オペラ 9−舞曲 10−編曲

 ここでもテレビのお姉系のイメージとは違って辛口だ。世俗的なのが当たり前な吹奏楽曲(行進曲)等を、構成や展開の単調さでばっさり斬っている。そのわ りには、謙遜しつつも自作品の話が各ジャンルで挿入されているのだが(笑。
 ヴェルディのオペラで肺病の少女が歌い出すと急に元気になるこっけいさは、他でも聞いたことがある話だが、著者はオペラを書いている(「火の鳥」指揮体 験談が爆笑)わりにはオペラ嫌いで、オペラを書いてる作曲家がいちばん偉いなどと思ってはいけないという。いちばん共感した部分だ(笑。

第3章 作曲なんてこわくない!−ひとつの旋律からオーケストラ曲ま で
 最も安上がりな趣味……結婚式の歌を依頼されたら……輪唱で切り抜ける……メロディーとイントネーション……さらに曲らしく……童謡作曲の決め手は 詩……調と拍子を決める……歌ってみて違和感があれば……ピアノ伴奏を付ける……和声学上の禁則……前奏・間奏・後奏……二部合唱に編曲……下のパートを 作る……弦楽四重奏に編曲……オーケストラ伴奏は夢か……「キラキラ星」に似せて変奏曲を作る……バロック時代の変奏法……必ず演奏する機会を作ろう…… 音楽会開催の心得……アマチュアからプロへ……コンクールはあてにならない……作曲家の真の姿とは……親が死んでも仕事は休めない……筆者の仕事=生 活……別の世界をのぞく
おわりに

 著者が8小節のメロディーを試作し、オケ伴奏まで付ける実演がじつに啓蒙的。さらにシャコンヌまでやられると、私も久々に作ってみようという気にさせら れる。しかし、'55年生まれとはいえ未だに作曲にコンピュータを使っていないのは、主義としてもいただけない。
 講師の定職があっても、二度と来なくなるから断れない作曲の仕事で忙殺されたのは、そのせいでもあろう。最近のテレビの仕事もギャラは大したことなく、 事態は好転してないらしい。仕事は減っても「作曲家」の看板は下ろしたくないという言葉は、私が「翻訳家」としていただこう(汗。
作曲家の発想術
4061497316 青島 広志

講談社 2004-08-10
売り上げランキング : 9116

おすすめ平均star
star文章うまい、面白い
star作曲と作曲家の楽しいエピソードが満載

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 10:31| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月04日

ベームVPOのブルックナー交響曲第8番

 「エアギター」というギターを持たずにエレキギターの自己陶酔的な演奏パフォーマンスを大真面目に披露する芸(?)があり、金剛地武志が世界大会で4位 になったことでも知られている。それなら元々楽器もいらない「エアコンダクター(空気孔?)」もできそうだし、すでに大会があるのかもしれない(笑。
 昔テレ東の物真似番組で、世界の名指揮者の振り真似芸を見たことがある。一般人にとっては、学校の先生の真似を見せつけられるほど分からないネタ だろうが、この素人(おそらく大学生)は振りだけでなく、目をつぶったカラヤン、いかれた笑顔の小澤征爾、無表情と笑顔が交錯するベーム等、顔真似まで披 露したので意外に受けていた。


 スターデジオは不作だったので先週に続いての441chカール・ベーム (オーストリア、1894〜1981)特集にまとめて触れよう。クラシックを聴き始めた'70年代にリッカルド・ムーティとウィーン・フィルを連れて来日 したのが印象的で、オーソドックスなスタイルの中に常に暖かみを感じさせる巨匠である。
 先週と今週のプログラムを記す。

カール・ベーム(cd)特集(1)
モーツァルト:歌劇「魔笛」 K.620 -序曲
 カール・ベーム(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ハイドン:交響曲 第92番 ト長調 「オックスフォード」 第1楽章〜第4楽章
ブルックナー:交響曲 第8番 ハ短調(ノヴァーク版 1889/90) 第1楽章〜第4楽章
 カール・ベーム(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 先週も少しブルックナーに触れたがこの3曲は申し分ない。私的にベストのクナ盤と甲乙付けがたいかも。ハイドンを現代オケでやったのは、ヨッフムが一番 と思っていたが、ベームの方がアプローチがデリケートに感じられる。

カール・ベーム(cd)特集(2)
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92 第1楽章〜第4楽章
 カール・ベーム(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68 第1楽章〜第4楽章
 カール・ベーム(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 作品30
 ミシェル・シュヴァルベ(ソロ・ヴァイオリン)、
 カール・ベーム(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 ベートーヴェンやブラームスに関してはテレビで見た来日ライブが強烈なので、録音では躍動感等で劣る気がする。「ツァラ」は、知人が映画音楽オムニバス CDに入ったこの演奏を聴いて、「2001年宇宙の旅」よりテンポが速くあっさりしているのでがっかりしていた(笑。
ブルックナー:交響曲第8番
B000CSUWHQ ベーム(カール) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー

ユニバーサルクラシック 2006-02-15
売り上げランキング : 11260


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:53| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月28日

ルービンシュタインのモーツァルト:ピアノ協奏曲ニ短調

 昨日の日ハム戦も藤井の好投で勝った。全試合見たいよう。稲葉が4番に座っているとは知らなかった。神宮でのカードを楽しみに待とう。
 また、昨日はうちのamazonからたくさんご注文いただいたようでありがとうございます。


 スターデジオ、今週は441chベーム指揮ウィーン・フィルのブルック ナー交響曲8も良かったが、442chのモーツァルトピアノ協奏曲集に絞ろう。プログラムを以下に示す。

モーツァアルトのピアノ協奏曲特集(2)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第6番 変ロ長調 K.238
 ピエール=ロラン・エマール(ピアノ&指揮)、ヨーロッパ室内管弦楽団

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
 アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
 アルフレッド・ウォーレンステイン(指揮)、RCAビクター交響楽団

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
 ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)
 クラウディオ・アバド(指揮)、ロンドン交響楽団

モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595
 フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
 クラウディオ・アバド(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 初期の曲は最近人気の9番「ジュノーム」も含めて趣味ではない。例によってプログラムを知らずに聴いていたら20番が始まったので、これは誰の(演奏) だと固唾をのんだら、まさかのルービンシュタインだった。これは24番とカップリングされたRCAビクター盤、私が初めて買ったLP盤である。
 忘れもしない中一の夏休み明け、月1500円の小遣いには高すぎる2500円を奮発して買ったのだが、演奏者のことなど何も知らなかった。この値段だか ら当時としては 新しい録音だったのだと思う。事実、ルービンシュタインのテクは抜群(この人は老けても比較的テクが落ちなかったが)だ。

 夏休みに聴いたこの20番の2楽章が忘れられなかったのだが、そのFMでの演奏が誰だったのかはもう分からない。クラシックをかじりだした頃はリズミカ ルな楽章に憧れたから、緩徐楽章に惹かれたこの曲はなぜか例外だった。
 当時はまだステレオコンポじゃなく卓上プレーヤーだったので、アーム操作も手動で、うっかり2楽章の最初の辺りに針を落としてしまった。数十回聴いた後 だと思う が、傷は深くて針がそこから進まなくなった悲しい思い出である。だから、今回「飛ばない」2楽章を32年ぶりに聴けて感無量だった。

 高校で出会ったファゴッティストの友人はモーツァルト・ファンでもあったので、私がこれを最初に買ったことに共感してくれたが、ルービンシュタインは ショパン弾きだろうと言う。このへんから私も周りに影響されてマニアックな演奏聞き比べに突入していった。
 他の演奏も二三十種類は聴いたと思うが、これというのはなかった。それでなくても入門した若い頃に聴いた演奏はマイ・スタンダードとして残りがちであ る。ピア ノもオケもずいぶんロマンティックで、特に伴奏専門の指揮者とレコード会社お抱えオケの音色はとても玄人受けする代物ではないのだが。

 ベートーヴェンが感激してカデンツァまで書いた1楽章や、モーツァルトお得意の長調と短調が交錯する中でも極致ともいえる3楽章もすばらしいが、残念な がら当時の感激にはもどれないほど私も変わってしまった。最近は軟弱と避けていた26番「戴冠式」なんかが逆にいいなと思ったりもする(汗。
 生誕250周年で盛り上がるモーツァルトブームはクラシック音楽の今後も背負っている。モーツァルトは実は裕福だったという説まで出て来たらしい。全 く、何を信じたらいいのやら…。本人の頭蓋骨のDNA判定もどうなったのだろう。
モーツァルト : ピアノ協奏曲第17番・第20番・第21番・第23番&第24番
B00005HNLY ルービンシュタイン(アルトゥール) RCAビクター交響楽団 モーツァルト

BMG JAPAN 2000-10-25
売り上げランキング : 543

おすすめ平均star
star感想

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 10:54| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

バーンスタインBPOのマーラー交響曲第9番

 スターデジオ、442chジェームズ・レヴァイン(指揮)のシューマン2、マーラー5にも触れたいが、やはり441chレナード・バーンスタイン(指 揮)の2回目マーラー9番が良かった。ベルリン・フィルとの一期一会として有名なこの演奏は同曲の決定版として挙げられることが多いが、なぜか聴いたこと がなかった。
 様々な「別れ」のコラージュを駆使した恐ろしく複雑な1楽章から情緒大洪水の4楽章まで、織り込まれた謎解きができなくても死を目前にしたメッセージが 直に伝わってくる曲である。堅固なベルリン・フィルを前にしてレニーも安心して感情を爆発させることができたようだ。もうこれ以上の説明など無用な必聴 盤。

以下、ライナーノーツ(林田直樹)からどうぞ(汗:
   1979年10月、バーンスタインは宿敵・帝王カラヤンの牙城ベルリンに乗り込み、生涯でただ1度だけのベルリン・フィルとの共演を果たした。それは、ア メリカとヨーロッパの音楽の頂点が火花を散らして激突した、戦後クラシック音楽史上最大の"事件"でもあった。その伝説の名演の記録がこのCDである。
   内心バーンスタインとの共演を心待ちにしていたベルリン・フィル楽員は競ってこの演奏会の「出番」を奪い合ったと伝えられる。もちろんこの演奏会に燃えて いたバーンスタインも、真剣勝負のリハーサルに規定以上の時間を要求し、ベルリン・フィル側も最善を尽くしたが練習は全然足らなかった。係の職員が、「終 わり」を告げにくると、激怒したバーンスタインは凄まじい勢いで楽譜をパーンと放り投げて抗議の意思を露わにしたという。カラヤンとの録音のスケジュール がもともと入っており、それを変更することはできなかったのだ。それをバーンスタインは妨害と受け取ったかもしれないと事情を知る人は言う。しかしバーン スタインはリハーサルの延長を何とか獲得し、本番にこぎつけた。
   結果は、いまも語り草として伝えられるほどの、空前絶後の超名演であった。当時多くのリスナーに衝撃を与えたこの演奏は、1992年にCD化され、再び大 反響を巻き起こした。
マーラー : 交響曲第9番 バーンスタイン
B00005FHYM ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 マーラー バーンスタイン(レナード)

ユニバーサルクラシック 1992-04-25
売り上げランキング : 9,861

おすすめ平均star
star畢生の名作 棺桶CD登場
starまさに一期一会!!
star冷静には聴けないベルリン盤

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:23| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月11日

レヴィーン中村訳『ピアノ奏法の基礎』

 また8点取られたけど4回に11点取ったりの猛攻で勝ったから素直に喜ぼう。去年まで対広島戦でやっかいな相手だったラロッカは、目立った穴のないバッ ターなので好調時にはこのように手が付けられない。ラミレスも4番の座がうかうかできないし、すごくいいムードだ。


 先週の続きで、大昔のメモを元に書評する。『ピアノ奏法の基礎ジョセフ・レヴィーン著、中村菊子訳、550円(当時)である。65ページの薄 い本なので当時図書館から借りて気楽に読んだ。中村紘子の序文があり、彼女がレヴィーン夫妻の世話になったことが分かる。
 内容は、アメリカの音楽雑誌『エチュード』の連載をまとめたもので、ロシアからアメリカへ持ち込まれたジュリアード・スタイルは当時驚きを持って迎えら れた。ラフマニノフからホロヴィッツへと続く19世紀ロマン派スタイルと言えば分かりやすいだろうか。

 休符、リズム、タッチ、響き、正確さ、スタカート、レガート、暗譜、ペダル等、基礎的な技術論ばかりで、楽曲に即した演奏論等はないが、はっとさせられ る話もある。チャイコフスキーのピアノ協奏曲を酷評したことで有名な(後に和解したが)アントン・ルービンシュタインがよく引き合いに出される。
 役立ちそうな話は、初見が利くように各調のスケールを「どの音」からでも弾けるようにすること(できない)。柔らかいタッチのためには指の肉付きが良く ないとだめ(肉付き悪し)。レヴィーンは絶対音感の持ち主で、調律がずれたピアノを弾くときは苦労したらしい。

 中村紘子が自らの著書でも口を酸っぱくして言うタッチの柔らかさは、レヴィーン譲りの技術論である。手の平で鶏卵をつかめるくらいに常に指を立てるチェ ルニー式(日本的)弾き方では、ショパンの柔らかい音色は出せないという理屈だ。
 とはいえ、非力な子供の頃は指を立てないとキーが重くて叩けないし、19歳から始めた私にも高度すぎて無用な話だった。ピアノなんて猫が鍵盤の 上を歩いても出る音は同じという意見もある。今の電子ピアノの自動演奏データはどうだか知らないが、音量や音色はキーを叩く速度の他に影響する要因 があるのだろうか。

 しかし、ジュリアード・スタイルの弾き方だと老年になると急速にテクニックが落ちるという話も聞く。代表例はホロヴィッツで、空前絶後のお騒 がせ来日公演はひどかった。やはり指を寝かせた形にこだわると、衰えた筋力ではキーを押し損ねて音が歯抜けになるのだろう。
 当然ながら、古典派のソナタのように一音一音を明瞭に弾かねばならない曲の場合は、指を立てた方がいいし、音階的な速いパッセージも指を伸ばしたままで は親指をうまく使えない。結局、引き出しは多い方がいいという話である。


 現在の私に関係あるのはPCのキーボードを速く快適に打つことだけだが、ウィンドウズ95で使っていたVAIOノートのキーボードは当然ストロークが浅 いので猛烈に速く打てて気に入っていた。今のデスクトップでもキーボードだけノート型に替えようと探していたが、あれほどのものは見つからない。
 ストロークの深さと重さのせいでノート型の7割くらいの速度でしか打てないが、ずっとノート型で打ってたらホロヴィッツのように年取ってから困るような 気もする (笑。ピアノの前にギターをやってたせいで、利き手の右手が硬く、左手の方が指が速く回るので、音楽より文字キーボード向きなのだろう(汗。
ピアノ奏法の基礎
4118101009 ジョセフ・レヴィーン

全音楽譜出版社 1981-03
売り上げランキング : 18,264

おすすめ平均star
star基本的には精神論の本です。
starピアノ愛好者必読!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:01| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月07日

バーンスタインVPOのブラームス交響曲第1番

 いつも通り週に2回近所のスーパーへ買い物に行くだけでGWも終わった。ウェブがちょっと重かったが、外の車が思ったより静かだったくらいの印象しかな い。まだ天気 が悪いと肌寒いのがいやだが、これくらいの陽気になると造形用のインダストリアル・クレーも扱いやすくて作業がはかどる。


 スターデジオは、441chのレナード・バーンスタイン(指揮)特集に しぼろう。レニーの愛称で親しまれ、ほぼ同世代のカラヤンとヨーロッパとアメリカで人気を二分したマエストロである。最近は、佐渡裕が彼の最後の弟子とし て紹介されることが多い。
 長年率いた手兵ニューヨーク・フィルとのステレオ録音だけでも新旧の違いをかなり楽しめたが、晩年にはヨーロッパのオケとの共演も多く、曲の性格によっ てNY、アムステルダム、ウィーンの3オケを使い分けたマーラーの交響曲全集は、特にすばらしい。

 今回のプロは、ブラームス交響曲1、コープランド「アパラチアの春」「エル・サロン・メヒコ」、自作「ウェスト・サイド・ストーリー」のシンフォニッ ク・ダンス、「キャンディード」序曲。「エル・サロン・メヒコ」以下は、レニー特集はほぼ毎度かかるおなじみの演奏。

 ウィーン・フィルとの晩年のブラームス1は、私的にあまり聴く気がしない曲なのにしみじみいい演奏と思った。カール・ベームを中庸とすると、寒々とした ブ ラームスの生地北ドイツのリアリティを感じさせるギュンター・ヴァントと比べて南国風だが、久々にこの曲を聴いて良かったと思った。
 「アパラチアの春」は、逆に大お気に入り曲なので誰で聴いてもいい。これはNYフィルとの脂ののった黄金時代の録音だろう。昔アイヴズとのカップリング LPを店頭でよく見た気がする。マイケル・ティルソン・トーマスの ような精緻さは感じられないが、自作を自信たっぷり奏するようなダイナミックな躍動感に大満足。コープランドとは青少年のための入門ビデオで共演してたっ け。
ブラームス:交響曲第1番
B000BDJ3ZE バーンスタイン(レナード) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブラームス

ユニバーサルクラシック 2005-11-16
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 11:56| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月04日

伊能美智子『ピアノ学習の基礎』

 先日コメントをいただいたが、Keres65さんのブログ「ケレス・ チェス・クラブ」がこのシーサーに誕生した。今は旬の羽生さんのニュースが主体だが、これからも様々な話題をおもしろく語ってくれそうだ。その昨 日の記事で斎藤夏雄さんのMa vie quotidienneと いうブログを知った。
 ホームページもあり、チェスコンテンツ以外にも、中学から始めたピアノのレパートリー(ラフマニノフやゴドフスキー!)に圧倒され、天文少年だったこと も同じで共感。ご専門は数学というのがまた多才。比べるのも変だが、なんで私はこうなっちゃったんだろう(汗。


 紙切れ整理を続けていると、古い大学ノートに20年以上前に書いた「書 評」が出てきた。19歳から3年ほどピアノを習った頃に図書館から借りた2冊についてである。ちょうどチェス以外の書評がネタ切れなのでこれを流用しない 手 はない。まずはその1冊目。


ピアノ学習の基礎』 伊能美智子 春秋社 ¥1,000円(当時)

 技術的なことより、教育的に書かれたもので、母親が読むべき本である。シューマンが右手の中指をつるして痛めた話が興味深い。他には、

 (ここで、知性、音楽性、運動性のそれぞれをさらに細分化した項目について学習に最適な年齢を図示したものを、くそ真面目に書き写しているが省略する)
 上図により、ピアノを始めるのは4〜8,9歳ぐらいがいいということである。

 A 指の練習の曲 チェルニー、クラマー、ハノン等
 B ポリフォニー、多くはバッハ
 C いわゆる「曲」

 A:(バイエル−チェルニー100/110−ブルグミュラー)/(メトード・ローズ−ル・クッペーのアルファベットとラジリティ)−チェルニー30− チェルニー40−(チェルニー50/クラマー)−(クレメンティ/モシュレス)−(ケスラー/モシコフスキ)−ショパン、リスト、ブラームス
 B:小プレリュードとフーガ−インベンション二三声−フランス組曲−(平均率/イギリス組曲/パルティータ/トッカータ)
 C:ソナチネ・アルバム−(ハイドン/モーツァルト/ベートーヴェン)のソナタ
 (スラッシュは、左右いずれかを選択する意味)

 (以下、上記曲等の解説(曲調、レベル、どういう練習向きか等)が続いて終わっている。Aにショパン以下が入っているのが意外)


 書評というより読みながら必要な内容をメモっただけだが(これほど苦労するなら買うべき)、特に具体的にどういう曲を習っていくかは参考にした。何せ 習っていたピアノ教室のもうとっくに現役を退いたような先生の言う通りやってると、いつになったら「曲」らしいものが弾けるのか分からなかったからでもあ る。
 私は、Aはバイエル〜ブルグミュラー25〜チェルニー30、Bはやりたいのにテクが付いていかずアンナマグダレーナのみ、Cはクレメンティとモーツァル トの15番を自習した程度で終わった。まだ今のような大人用のピアノ教室(テクより曲重視)という教え方のない時代だった。続きはまた別の書評で。

 よくぞ再版されていた。よほど進展のない世界なのだろう。それでも、バイエルから始める世界的にも稀な日本のピアノ教育も教材が多彩になりつつあるらし い。
ピアノ学習の基礎
4393937104 伊能 美智子

春秋社 1999-10
売り上げランキング : 495,496


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 13:48| Comment(4) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月30日

コンドラシン指揮モスクワ・フィルのショスタコーヴィチ交響曲第15番

 昨日HPチェストランスの模様替えを久々にした、といっても節操なくトップページにamazonアソシエイトを貼り付けただけ。こことHPのどちらの方 が売れているのが分からないのが難点の一つだ。あまり長たらしい書評より、何がいいのか売れているのか、分かりやすく提示することも必要だろう。


 スターデジオ、今週は441ch旧ソ連の指揮者キリル・コンドラシン特集にしぼろう。マーラー9とショスタコーヴィチ15とい う2つの交響曲だけ。ソ連というとムラヴィンスキーとレニングラード・フィル、スヴェトラーノフとソビエト国立響、そしてこのコンドラシンとモスクワ・ フィルというお決まりの組合せをずっと聴いてきた印象がある。
 3人ともロシア物以外あまり聴いた記憶がないのでマーラーは意外 だった。70分足らずの快速演奏で、諧謔的なパッセージはリヒャルト・シュトラウスと見まがうごとく軽く駆け抜ける。反して終楽章とかはどうしても深みに 欠けるきらいがあるが、それ以上に冒頭からレコードの回転速度が狂ったように音が悪いのが残念。

 やはりご当地もののショスタコ15の方がいい。これも42分ほどの 快速で、先日聴いた重々しいフェドセーエフ指揮モスクワ放送響とは好対照だ。作曲家最晩年の曲とはいえ、速いテンポの方がパロディーの風刺精神は助長され るし、楽章間のモティーフ的連関は分かりやすい。
 作曲家の息子マキシム・ショスタコーヴィチ指揮の演奏は両者の間くらいのテンポだったと思うが、本人や息子の演奏だから それがオーセンティックなどとは思うつもりはない。コンドラシンはタコの交響曲全集も出ているが、ほとんど品切れのよう。
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第12番「1917年」&第15番
B00005EIOU モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団 ショスタコーヴィチ コンドラシン(キリル)

BMG JAPAN 2000-04-21
売り上げランキング : 199,888


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:34| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月23日

メータ指揮LAフィルのホルスト「惑星」

 ブログを始めた頃に書いた(そういえばこのブログも1年を超えた)奈良の騒音ババアに、先日判決が下った。求刑3年に1年は物足りないが、執行猶予なし でまずまず。しかし、これも被害者の疾病等がなかったらどうだったか分からない。ドイツのように、街宣車も許さない厳しい法律になってほしい。


 スターデジオの連載はどうしようか今迷っている。私のような貧乏ファン には特に新譜が週に4時間分チェックだけでもありがたいが、同じように聴取しながらこの連載を見てくれている人がいるようには思えない(チェスがメインだ し)。放送メディアは、やはりきっかけ程度に扱って、作曲者、曲、演奏にもっと触れていかねば。

 今週は442chズービン・メータ(指揮)特集が良かった。'80年頃に、スター・ウォーズのサントラとは違うオケ演奏版とこのエキゾチックな(インド の)名前に引かれてクラシックファンになった人が多いのではなかろうか。私のマーラー好きのきっかけの人でもある。最近はすっかりオペラの人という感じだ が。
 フランクの交響曲、コープランド「アパラチアの春」、ホルスト「惑星」だった。ヴァイオリン・ソナタに比べるとさっぱり聴く機会の減ったフランクの交響 曲は、たいてい循環主題形式とともに語られることが多い。私の中では、背筋を伸ばさずには聴けない敬虔さをひじょうに感じさせる曲である。

 ドイツ風かフランス風かという演奏論議はメータにはあてはまらないが、曲によって適切なオケを選択しているようだ。ベルリン・フィルの色彩より重厚さを 取った演奏は、メータの華麗さとうまくバランスが取れている。典型的な演奏とはいえないが、曲が曲だけに気が滅入りそうな演奏にならない分助かる(笑。
 「アパラチアの春」と「惑星」は、スター・ウォーズと同じメータ黄金期のロス・フィルとのコンビである。個人的には構成的におもしろくないせいであまり 聴かない「惑星」だが、この演奏は文句なしに楽しめる。天王星の最後がブツ切れっぽいのが気になるが、スター・ウォーズとc/w1000円で買えるなら超 お得(笑。
ホルスト:惑星 ウィリアムズ:スター・ウォーズ組曲
B00005HW1D メータ(ズービン)指揮  ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

ユニバーサルクラシック 2001-04-25
売り上げランキング : 2,894

おすすめ平均star
starセンセーショナル。
starホルスト惑星のスタンダード
starホルスト惑星

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:04| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月09日

クライバー父子のボロディン交響曲第2番

 テレビの特番もそうだが、グールド本を初めとして読書ばかりで翻訳はブログしか進まない。PCとにらめっこより本を見ている方が目には楽だが、それでも 毎朝疲 れが残る。わかさ生活のブルーベリーを毎月取っていてカシスも追加すべきだが、月食費1万円に対してサプリ代が3千円になるのは高すぎる(汗。


 スターデジオ、今週からついに番組表雑誌「スターデジオタイムズ」が来 なくなったが、必要なときだけちょっとテレビのビデオ入力を変えて(常にテレビはオン)曲名と演奏者をチェックすれば済むことで、最初からそれ を分からずに聴く楽しみもある。このレビューを書くにはウェブの番組表を見るのが面倒くさいが。

 438ch新譜は「レコード芸術」月評掲載盤。クレンペラー指揮 ウィーン・フィルのベートーヴェン4はさすがに「とろ」過ぎ。ワーグ ナーの前奏曲を演奏 会組曲のように配置したライブ演奏はおもしろかった。スクロヴァチェフスキ指 揮ザールブリュッケン放送響の第九は期待したが取り立てておもしろみ がない。 映画「アマデウス」の頃よく聴いたモーツァルトの「グラン・パルティータ」 (ベルリン・フィル管楽アンサンブル)は良かった。
 441chカルロス・クライバー(指揮)は、「こうもり」序曲、ブラームス4ベートーヴェン7等の十八番ばかりで、もう歌劇以外に知らないものはかから なそう。中でもわりと最近聴いたボロディン交響曲2番の躍動感がすば らしいので、知らない人にはぜひ一聴をお薦めする。

 442chのロリン・マゼール(指揮)は、すでに聴いたが録音を消 してしまったシベリウス5とR.シュトラウス「英雄の生涯」を80分MDに押し込んで なかなかいいカップリングだと満悦した。シベリウスはこれ以上派手はないだろうというほどダイナミックな演奏。そういえばウェブの番組表だと録音年までは 分からなくなってしまった。

 ↓カルロスの親父エーリッヒと同じ曲のカップリングで聞き比べする 珍盤。
ボロディン:交響曲第2番
B0007N35NO クライバー(カルロス) シュトゥットガルト放送交響楽団 ボロディン

キングインターナショナル 2005-04-27
売り上げランキング : 40,267

おすすめ平均star
starボロディンで親子競演

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 13:38| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月02日

ラトルのシューベルト『ザ・グレイト』

 昨日のスワローズもサヨナラ勝ち。新人武内がエラーから同点スリーランまで話題をさらった。初安打となるスリーランは、前打席に三振した阪神安藤の フォークを前ですくい上げるようにさばいた好打。内野手でありながら競争激戦区ライトへ食い込む理由が分かった。
 一昨日からKevin Bazzanaの"Wondrous Strange--the life and art of Glenn Gould"を読んでいる。とても読みやすくグールドと同郷カナダ人著者の詳細な歴史的考察もおもしろいが、野球に加えてテレビの改変期特番目白押しのこ の時期、CMの間しか読めない。まだ25/528ページ(汗。


 スターデジオ、440chヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)だが、この 美貌で受けてるのかどうか分からない人のバッハはどうも気に入らない。ヴァイオリン協奏曲2は明らかに伴奏のテンポに乗り切れていない。わざとずらすとか ではなく、速いパッセージの遅れを他のところで取り戻している感じなのだ。素人か?(笑。

 441chロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)は、先週の「N響アワー」思い出の名演奏でもかかっていたが、リクエスト葉書で読まれていたように「手刀 を切るような指揮が印象的」で、四拍子も2つの三角形が頂点で接した形をタクトなしで描いていた。
 '67年にN響を振ったブラームス1番は、金管の拙さが目立つが豪放な快演、'54年モノラルのフィルハーモニア管弦を振ったブルックナー4も、十八番 だけに楽しめたがなぜか珍しいレーヴェ/シャルク改訂版で、3楽章のぶつ切れた感じがノヴァーク版好きの私には「え〜?!」となる。

 442chセミヨン・ビシュコフ(指揮)は、チャイコ「悲愴」、シュトラウス「英雄の生涯」「ドン・ファン」等。シュトラウスがいいから推したかった が、「英雄の生涯」ケルンWDR響盤がマイナーなのかamazonで引っかからない。シュトラウスの交響詩で事実上最も人気曲になり、ティーレマン等最近 は 名盤が数多い。

 そこで、438ch新譜で聴いたラトルのシューベルト「ザ・グレイト」にしておく。死後にシューマンが発見した幻の傑作という逸話が好きだったが、実は 生前すでに数回演奏されていたことが分かっている。しかも最近は、7が「未完成」、これは8番にずらされることが多くなり、「第九」でもなくなったの が残念だ。
 ラトルは、1時間近くたっぷりと悠久の調べを奏でてそんな些末なことは吹き飛ばしてくれる。クナの怪演をステレオでよみがえらせたと言え ば言い過ぎだが、何を演っても個性とスタンダードを両立させるという意味でまれに見る指揮者だ。
ザ・グレイト
B000CBO0KS ラトル(サイモン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 シューベルト

東芝EMI 2006-01-12
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:22| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月26日

ゲルギエフのショスタコーヴィチ『交響曲第5番』

 ちょっと臨時収入のあてができたので、3月のamazon「本やCD5000円以上買ったらその場で500円オフ」を使ってグールドの洋書を買った。金 欠のせいでもあったが、年に1冊は出て必ずといって翻訳されるグールド研究本は、翻訳できない悔しさのため和訳は図書館で読むだけにし、原書も買わずにい た。
 しかし、「なか見!検索」でちら読みすると英語はやさしい。もちろん得意の音楽だからそんなことでひるんでいたわけではないが、今となっては和訳に比べ てほとんど絶版になってしまった原書がamazonでは3冊ほどしか買えないのが残念だ。'04年の最新刊はまだ邦訳が出てないが、もう誰かがやり始めて るんだろうなあ。


 スターデジオは今週も今一つ。441chロベール・カサドシュ(ピア ノ)のLPで持ってたベートーヴェン協奏曲4の品のいい演奏を懐かしく聴いた以外は、442chくらい。ドホナーニ(指揮)のマーラー9はスローだがじっ くり聴きたい好演。MDに入らない長さなのが惜しい(結局そういう基準)。

 ショスタコーヴィチ交響曲特集は、ゲルギエフの5、デュトワの9、フェドセーエフの15は何度も聴いた。ゲルギエフの5はどうも空虚な感じが残る。シニ カルな9と15が良かった。7,8と大作を続けた後にベートーヴェンの第九のような曲を期待する人々をあざむく軽い9番、パロディー満載の最後の傑作 15番。
 この2つでカップリング録音したMDは今後かなり聴き続けていきそうだ。特に度派手なフェドセーエフが難解な15をどう料理するかが興味深かった。15 番は '72年作曲だから、私が初めて聴いた頃は作られてまだ10年も経っていなかったことになる。
 突然のウィリアム・テル序曲のメロに驚かされ、その後もワーグナー等のメロが見え隠れする。クライマックスは中間楽章にあり、フィナーレはトライアング ル、ウッ ドブロック、ティンパニという打楽器だけで神秘的に閉じていく。聴けば聴くほど不思議な曲である。下のリンクは、画像のあるゲルギエフの5番にしておく (汗。
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番&第9番
B000197JDQ ゲルギエフ(ワレリー) キーロフ歌劇場管弦楽団 ショスタコーヴィチ

ユニバーサルクラシック 2004-02-21
売り上げランキング : 26,181

おすすめ平均star
star立派な演奏だが、空しさが残る。
star素晴らしい出会い♪(笑
starロシアのオケはな〜〜

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:00| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月19日

Katz『Capturing Sound』〜ランドフスカのバッハ『ゴルトベルク変奏曲』

 帰省中に音楽に関しても毎日新聞でおもしろい本を知った。15日の「考える耳」というコラムで、渡辺裕がMark Katzの"Capturing Sound"というレコード史の研究書を興味深く読んだと語っている。今でさえレコードがライブの代用品に過ぎないと考える人はもう少数派だろうが、昔の レコードが意外にももっと自由な表現手段を持っていたことにカッツは着目している。
 これはグールドがレコードに抱いていた可能性と通じるものがあるし、amazonの「なか見!検索」で見るとやはりグールドに関して2ページ割いている ので買うことにした。本書は、今後講義のネタに使うという渡辺氏が訳すかもしれないが、こういう本が訳せればいいなあ。ちなみに氏は、私がリタイヤした次 の 年に阪大文学部美学科へ助教授で来ている。残念。
Capturing Sound: How Technology Has Changed Music (Roth Family Foundation Music in America Book)
0520243803 Mark Katz

Univ of California Pr 2004-11
売り上げランキング : 141,826


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 スターデジオ、今週は帰省のため2日余りしか聴けないので、今も最後 の新譜438chを聴いているところだ。441chエルネスト・アンセルメ(指揮)特集は、先週がモノラルの古いのばかりに対して、今週はステレオ録音で '68年の「火の鳥」は華麗で良かった。個人的に1910年版がいちばん好きでもある。

 ワンダ・ランドフスカ(チェンバロ・ピアノ)特集は、バッハの「平均率」の抜粋や「ゴルトベルク」、ピアノでモーツァルトの「戴冠式」。グールド以前は 抗うことができないバッハの権威として知られていたが、あまり聴いたことがなかった。
 やはり興味は'45年の「ゴルトベルク」一本だが、リピートなしで意外とテンポ設定もグールドが影響を受けている気がしてなかなか楽しめた。しかし、 チェンバロのソロは、それだけで個人的には聴く気がしないので録音まではしない。ストップが独特なのか高い風鈴のような音色がちらほらと聞こえてくる。
バッハ:ゴールドベルク変奏曲
B000068R8O ランドフスカ(ワンダ) バッハ

BMGファンハウス 2002-07-24
売り上げランキング : 54,750

おすすめ平均star
starゴールドベルク変奏曲は数多いが

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:21| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月10日

サラステの『シベリウス交響曲第3番』

 昨日の記事で言ったような母体の団体を持たない雑誌の発行は、勢いで語ったわりにはかなり魅力的だ。しかし、すでにJCAと朝霞チェスクラブが全国規模 で会報を出しているので、いくらいい物を作っても両方に年会費を払うのはやはり負担と感じられるだろう。
 どのみちそれだけで食えるほどの収入にならないなら、やはり地道に執筆、翻訳して年に1,2回でも出版するほうがいい。そのためには、ブログは不定期更 新でHPはブログの転載のみくらいになるだろう。出版宣伝メディアに成り下がるかもしれない。


 今週は早々に来週のカラオケに備える態勢に入っているが、スターデジオ のクラシックは、442chのシベリウス交響曲特集でヤンソンスの2やサラステの3等、初めて聴く組合せが楽しめたのが良かったくらい。来週は帰省でほと んど聴けそうにないけどどうなることやら。
 3番はセーゲルスタムの弦の弾み方が大好きだがサラステも重くならなくてなかなか良かった。本譜はしぶい3曲の組合せだが、クレルヴォを含む8曲全集版も4500円で出ている。こんな極上の演奏が安 く手に入るとはいい時代になった。私はもう何年もCDを買ってない(買えない)けど(汗。
シベリウス:交響曲第3&6&7番
B00005HHV2 フィンランド放送交響楽団 シベリウス サラステ(ユッカ=ペッカ)

ワーナーミュージック・ジャパン 1998-01-25
売り上げランキング : 3,413


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:15| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月04日

大植英次指揮大阪フィル『ショスタコーヴィチ交響曲第7番』

 WBC一次リーグが昨日始まった。結果的に中国に楽勝とはいえ、2-2に追いつかれた後、イチローのきわどい内野安打(私はアウトに見えた)がなければ コールドにまでなっていたかどうか。こういう大会はオフシーズンの楽しみになるし、いつまでも秋のメジャーとの隔年親善大会をやっている場合ではないとは 思う。
 オリンピックも含めてこういう大会では、厳密に国籍に縛られるのだろうが、そう考えるとチェス・オリンピックに、過去シュミット、ピノー氏らが代表で出 たのはずいぶん緩やかだった。国別の選手権大会でも必ずしも国籍は必要なく、参加資格を得られる予選を突破すればいいのが通例だ。これもまたおもし ろい。


 スターデジオは、スターデジオタイムズという月刊番組(曲目)雑誌を購 読しているが、今月号で期限が切れる。最近は聴くチャンネルも限られてきた(クラシック以外にはJ-POPの新譜程度)ので、振り込む郵便局も遠いし、月 あ たり200円という少額だがやめた。ウェブでチェックすれば十分だ。

 444ch、リュリ作品集、以前書評を書いたディドロの『ラモーの甥』で甥が演じた「アルミード」からの二重唱とかを聴いたが、肝心の作品中で「甥」が どう 演じどう批評していたかを忘れてしまって比較ができなかった(汗。私の中では未だにラモーもリュリもごちゃ混ぜになっている。
 442ch、クルト・マズア(指揮)特集、2回目はもういいよと思いつつ、マーラー1にはかすかに期待した。しかし、4楽章のところどころ空振りの金管 に がっかり。これは指揮よりオケのゲヴァントハウスが向いてないってことなんだろう。

 441ch、レオポルド・ストコフスキー(指揮)特集は、記憶にないほど久しぶりだ。オケ版のバッハ「トッカータとフーガ」などのアレンジはぞっとする が、「展覧会の絵」編曲版は演奏までストコフスキー本人で聴いたのはおそらく初めてだと思う。部分的におもしろくてもラヴェル編曲にはかなわない のが正直なところ。
 438ch新譜は、大植英次指揮大阪フィルのライブシリーズ、マーラー6、ブルックナー8に続いて今週はショスタコ7で、これがいちばん良かったかなと いう感じ。私はロストロポーヴィチあたりの演奏がいちばん好きだが、画像付きだから下に貼っておこう。演奏の熱さがこれだけで伝わってくる(笑。
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番
B000BX4BEM 大植英次 大阪フィルハーモニー交響楽団 ショスタコーヴィチ

フォンテック 2005-12-12
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 13:17| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月25日

トーマス指揮コープランド『アパラチアの春』

 一昨日と昨日でJPCAの会員名簿をデータ化した。存命中に何度も手紙のやり取りをした早川会長の筆跡は知っていたが、思っていたより「解読」に時間が 掛かった。しかし、今は住所の一部が分からなくてもウェブ検索でほとんど分かる。マンション名や寮の名前まで突き止められてしまう。
 かつて郵便戦で対局した方が若くして交通事故でなくなられていたり、私のつたない初翻訳コピー本の続編を期待し続けてくださった(おそらく)年配の方も 残念ながら故人となっていた。JPCAの歴史がずしりと詰まった3冊の大学ノート、使いやすいルーズリーフにしないところが早川さんらしい。


 スターデジオはほとんどクラシックしか聴かなくなったのがちょっともっ たいないので、483chのライトクラシックを久しぶりに聴いてみた。484chのクラシックピアノとともに、主に耳障りのいいBGM向け曲ばかりと思っ ていたのだが、どうしてかなりマニアックな曲も流れる。
 ただ、演奏がすべてカラオケDAMのBGMに入っている「GKオリジナル」なので、当たり障りのないつまらない感じは否めない。CD-Gカラオケの副 チャンネルに入っている持ち歌本人 ではない模範歌唱歌手のような感じだ(笑。とにかく、弟用においしいところをMDに詰め込んで持って行ってやろう。

 440chゲルハルト・オピッツ(ピアノ)、線が細いのに意外とブラームスがいける。ソナタ1は正に青年ブラームスという感じだが「8つのピアノ小 品」もいい。藤森亮一(チェロ)は、バッハの無伴奏6、曲がいいから誰が弾いてもいい。フランクのヴァイオリン・ソナタのチェロ版も あったが、そこまでするほどの人気が理解できない。フランクは交響曲のようなもっと禁欲的な世界が好きなのに。
 441chエフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)特集は、もう曲目がマンネリだが、ショスタコ10('76なのにモノラル)のドンチャン騒ぎぶりは、す でに聴いたフェドセーエフといい勝負で、先々週録ったトスカニーニの7と「カップリング」で録音した。なんて濃いMDだ(笑。

 442ch「振ると、まずい」じゃなくてクルト・マズア(指揮)はどうでもよかったが、手元にもなく長らく聴いてないシュトラウスの「アルプス交響曲」 を録音した。期待してなかったわりにはまあまあだったが、もっと流麗さが欲しい。これほど絵画や映像を想起させる曲はなかなかなく、昔図書館で借りたケ ンプ指揮のアルプス映像付きビデオがおもしろかった。

 今週の一押しは、438ch新譜のコープランド「アパラチアの春」の室内ヴァージョンだ。20世紀音楽でRVWと並んで好きなコープランドだが、室内版 はこの曲の現代音楽的な構造的側面を強調するおもしろさの反面、「大草原の小さな家」のような自然への讃歌の気分は損なわれる感じだ。
 この曲に引用されるシェーカー教徒の讃歌Simple Giftsの単純な旋律はどうしてこうも魅力的なのか。そういえばRVWもイギリス中の民謡を研究して引用しているのだった。紹介するのは現代音楽ならお 任せのマイケル・ティルソン・トーマスの名盤である。
ザ・ポピュリスト〜コープランド:管弦楽名曲集
B00005EGS7 サンフランシスコ交響楽団 コープランド トーマス(マイケル・ティルソン)

BMGファンハウス 2000-06-21
売り上げランキング : 86,258


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 14:27| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月19日

パユ他『モーツァルト : フルート四重奏曲 (全曲)』

 今TBS「アッコにおまかせ!」で深田恭子のドラマ「赤い衝撃」フィギュアスケートシーンを見た。これがトップスケーターの滑りかと突っ込みが入ってい たが、昔「ヤヌスの鏡」では杉浦幸がバケツに入りスタッフが押してごまかしていたのだから(笑。しかし、意外にスポーツ得意だし、CGに頼らずできるだけ リアルに見せてほしい。
 杉浦幸といえば、いかにしてパチプロアイドルになったかを先日フジ「Dのゲキジョー」で見たが、事務所社長の借金を押しつけられた大西結花といい勝負の 悲惨さとは知らず驚かされた。当時身に余るプロモーションの境遇にいながら、合わないアイドルの仮面をかぶったままで終わった無念は計り知れなかろう。


 スターデジオ、440chアルバン・ベルク四重奏団は、ドヴォルジャー ク「アメリカ」やシューベルト「死と乙女」とかメジャーなプロなのに、先入観のせいだろうか。ここは現代物の方がやはりしっくりくる気がする。エマニュエル・パユ(フルート)特集は何度もあるが、この人はとにかく音色がきれい。それだけ書くと底が浅いように思われそうだが、モーツァルトは誰にもお薦めできる申し分ない典雅な演奏だ。
 今週はあとは442chのパーヴォ・ベルグルンド(指揮)くらい。十八番のシベリウス中心でそれもいいが、「フィンランディア」が意外と地味で、交響曲も6と4 なので、これからじっくり聴かないとよく分からない。小編成のブラームス2がけっこうおもしろい。どうやら何度も同じ演奏を聴いてからでないとろくなこと が書けないことが分かってきた(汗。消化不良なり。
モーツァルト : フルート四重奏曲 (全曲)
B00005GJZV パユ(エマニュエル) ポッペン(クリストフ) シュリヒティヒ(ハリオルフ)

東芝EMI 1999-09-08
売り上げランキング : 2,568

おすすめ平均star
starモーツァルトファンを120%満足させてくれるCD

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 13:10| Comment(2) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

クラシックブーム?〜トスカニーニのショスタコーヴィチ交響曲第7番

 洋画オリバー・ツイストのCMにつられて、先日プロジェクト・グーテンベルクでオスカー・ワイルドの『幸福の王子』を思い出したように読んだら、翌 日まで目が腫れた。実はカッパ座の着ぐるみショーで見たことぐらいしかないから、和訳を読まないまま訳してみたい。特にツバメの無性別を何とか生かした い。


 スターデジオはマンネリ気味の上にしかも今週は外れだった。最近単に売 れてる物だけ扱ってるようでつまらないテレ東「たけしの誰でもピカソ」を、昨日は「誰ピカ流大人のためのクラシック入門」だったので見た。ややお姉系 (笑)の青島広志、高嶋ちさ子、N響オーボエ主席の茂木大輔がガイド役だった。
 いいとこどりクラシックCDが売れているのは、どこかで聞いたことがあるが題名が分からなかった。それをCDをまた聴けたというだけではなく、すっきり して知識欲も満たせたという理由が大きいと思う。そこからマニアになる特に若い層の加速度はジャンルを問わずすごい(笑。

 クラシックはブームになる性質の音楽ではないと思うが、むしろ「今」の音楽がマンネリで行き詰まると繰り返しこういう現象が起こる。あらゆる音楽を聴く 機会は開かれているというのに、未だにブームごときで一生聴く音楽が決まってしまうとしたらおかしな話である。
 地域的は主にヨーロッパとはいえ、過去の音楽をひっくるめたクラシックが音楽の宝庫なのは当然と言える。芸術は科学のように新しい方が優れている とはかぎらないし、音階の構造まで違う多くのアジアの音楽に比べたらずっと理解しやすい。むしろ、最新の音楽が自分の嗜好に合うことにこそ必然性がない。

 私の場合は極端で、すでに定評のあるものしか聴かないという立場かもしれない。そもそもCDという時点で定評を得たものに絞っていると言える。現代音楽 に関して も十年二十年後に生き残っていたら聴けばいいやという程度で、生き残るかどうかの評価を自ら下さずただ傍観者でいるというずるい立場である(汗。
 チェスだと、序盤で新手が発表されてもどうせすぐ対策が練られてとがめられるさ、という立場だろうか(笑。昨日訳したラスカーの『チェスの常識』 No.2も、もう一人のラスカーが『チェス戦略』ですでに焼き直していて、それもすでに私が訳している。チェスは芸術よりは科学だから古いむなしさは仕方 ない。

 スターデジオもいちおうやっておこう。442chウラジーミル・フェドセーエフ(指揮)特集。彼の大音量演奏は心得ていたが、今回のプロでは突っ込みオ ンリー芸人のような猪突猛進ぶりもよく分かった。優雅に流れないズタ切れのチャイコ5(汗。「シェエラザード」は良かった。
 今週これだけ聴けて良かったというのは、441chアルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)特集、世界にラジオ生放送されたショスタコ7伝説の'42年アメリカ初演である。トスカ ニーニのタコというだけで珍しいのに、反戦の気概こもった1楽章の行進の盛り上げからしてかなり粘っこい演奏を満喫した。
ショスタコーヴィチ : 交響曲 第7番「レニングラード」
B00005EGRB NBC交響楽団 ショスタコーヴィチ トスカニーニ(アルトゥーロ)

BMGファンハウス 1998-03-21
売り上げランキング : 124,594


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:26| Comment(7) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月04日

シュタットフェルトのバッハ:ゴールドベルク変奏曲

 昨日のNTV「謎を解け!まさかのミステリー」で、小学生が学校で大便を我慢することの解決法が問題になっていた。私の頃は、男子が大をすると「女便」 と言ってからかわれた。これはまだ男女の区別がない便所があったころだから仕方ない気もする。私は言われても全然気にしなかったが。
 最近は、「くせ〜」と言ってからかうらしい。家で誰もがすることを学校でするとそんなに珍しいのか。解答は、男子トイレ「も」全部個室にして大小の区別 を分か らなくしたということだ。男子小便器は、後ろからズボンを引っ張り上げるいたずらもされやすいし、その方がいいかもしれない。最近は小を座ってする男も増 えたらしいし。


 スターデジオ、先週は補足したように、マーラー「巨人」ザンダーの新譜 よりフルニエのドヴォルジャークを貼るべきだった。いずれ、クラシックのレビューもHPへ置きたいので、放送内容にあまりこだわらずに好きなCDをレ ビューしていきたくもある。しかし、チェス記事に比べて手抜きになってきた(汗。

 438ch新譜は、マルティン・シュタットフェルト(ピアノ)でバッハのゴールドベルク変奏曲があった。ピアノでありながらチェンバロをかなり意識した 演奏で、各変奏の後半のリピートは必ずといって右手をオクターブ上げている。チェンバロの上鍵盤だけを弾くイメージだが、毎度のことだと飽きてくる。
 グールドはむしろ超絶的なノンレガートタッチでチェンバロを意識させた。オクターブ移動は、パルティータのメヌエットなどここぞというところだけでやっ ている。マルティンは、カノンのリピートの経過的なパッセージでも即興処理をしているのが独創的だ。

 440ch、田部京子(ピアノ)特集は、シューベルトのソナタ21等以前に聴いた曲が多いが、やはり吉松隆の協奏曲「メモ・フローラ」がいい。これほど 肩が凝らないのに格調高い曲が他に思い浮かばない。たしか吉松が田部を想定した作ったこれを以下に推奨したいが、amazonにないのでゴール ドベルク変奏曲にする。
バッハ:ゴールドベルク変奏曲
B000BNM8MY シュタットフェルト(マルティン) バッハ

ソニーミュージックエンタテインメント 2005-11-23
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 14:37| Comment(9) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

マーラー交響曲第1番ザンダー指揮フィルハーモニア

 昨日深夜のフジテレビ「デザイン」のテーマが辞書なので見たら、『新明解国語辞典』の編者の一人倉持保男が「凡人」の独特の定義についてなるほどと思わ せる説明 をしていた。おもしろい辞書という紹介ばかりでは分からなかったことである。その定義は私の持っている第四版でも:
 「自らを高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人」。ずいぶん厳しい定義だが、広辞苑の 「特にすぐれた所のない、普通の人」では、逆に全く取り柄のない人などそんなにいるはずもなく、ちっとも普通の人ではないというわけだ。

 私は過去数回主にサブカルチャーの雑誌に取り上げられ、ハリウッド映画に造形物を提供もしたから、凡人の域はすでに脱している。地味な翻訳より、最近 停滞気味の造形でもっと世界へ向けて発信していかないとなあ(汗。
新明解国語辞典 第6版 並版
4385131066 柴田 武 倉持 保男 酒井 憲二

三省堂 2004-11
売り上げランキング : 31,543

おすすめ平均star
star言葉に興味を持てるようになると思います
star柴田武代表も認める、ありえない辞書!!
star新明解「勉強」のここがイケナイ。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 スターデジオ、440chミカラ・ペトリ特集。リコーダーは私も友人と アンサンブルを作ったほど、気合い入れてやった楽器だが、基本的にビブラートがないのでソナタとかではやはり単調だ。友人がフルートのようにリコーダーで もビブラートをかけていたのを思い出す(笑。
 441chピエール・フルニエ(チェロ)は'60年前後の特集で、特にバッハの無伴奏3が良かった。全曲聴いてみたい。ヴァーツラフ・ノイマン(指揮) チェコ・フィル、ベートーヴェン7とマーラー6はちょっと期待外れだった。

 442chクラウディオ・アバド(指揮)のマーラー5はライブでなかなか熱かった。アバドのマーラーは最近見直している。エリアフ・インバル(指揮)は ブラームス2とショスタコ7。タコはちょっとだるいがインバルらしい精緻な演奏だった。
 今週は438ch新譜でもマーラー1がザンダー指揮フィルハーモニアであった。今週はこれがベストかな。強奏の前のためがなかなかひつこくておもしろ い。晩年のマーラー自身にとっては、若気の至りのような恥ずかしい作品だったのかもしれないが、入門曲としても最適だし、第1交響曲としては並ぶ物なき最 高傑作である。
マーラー:交響曲第1番
B000BDJ49Y ザンダー(ベンジャミン) マルトマン(クリストファー) フィルハーモニア管弦楽団

ユニバーサルクラシック 2005-11-23
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:21| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月22日

クロノス・クァルテット等『ミニマル・セレクション』

 昨日の前書きの続きとなるが、義務教育の国語では感想文よりもっと自分の考えを適確にまとめる文章力を強化してほしい。英語教育関係者が昔から言ってる ことだから少しは改善されたのだろうか。全員が当たり前のように日本語を話せるから書くのも問題ないという甘えの構造があるのかもしれない。
 暇さえあれば本を読んでる読書家でも文章を書かせると、常体と敬体が入り交じったり語尾が話し言葉のようになったりとひどい場合がある。作文や 翻訳に使えそうな言い回しは常日頃から「こういうときに使える」とイメトレしないといざというとき使えない。記憶は引き出すのがいちばん難しいと言 われるゆえんだ。


 スターデジオ、440chクロノス・クァルテット特集、このSQの現代 物は以前からお気に入りで、今回はフィリップ・グラスのSQ2,4等を新たに捕獲できた。441chオイゲン・ヨッフム特集は、ハイドンの93,94がク レンペラーのように堂々たる名演、モーツァルト「プラハ」も39を超える名曲だと証明するかの充実ぶりだ。

 443chのマリンバ特集と444chのリュート特集は、どちらも編曲物中心のオムニバスという軽めの企画で、私も軽く聞き流したが、どちらも出した音 がすぐに減衰する「アタック」楽器なので、ビート系楽器中心の現代で受けるのかとも思った。オケの管弦は基本的にみんな音を伸ばせるのに。

 いちばん聴いたのは442chのシューマン交響曲特集、1ティーレマン、2シノーポリ、3ジュリーニだが、すでにこの演奏では全部録音済み。他の組合せ も聴きたい。1は初めて聴いたカラヤンの印象が未だに忘れられないから久しぶりに聴きたい。ティーレマンはちょっとたるい。

 今週これだけしか書けないのは、聴く時間が好きな演奏に片寄りすぎたせいかもしれない。結局クロノスの演奏「も」入っているライヒやグラスなどテクノの先駆けでもあるミニマル音楽の安い入門盤を推薦する。ジャケもマグリットみたいでさわやかだ(笑。

ライヒ、グラス&アダムズ:ミニマル・セレクション
B0000ZP4TW オムニバス(クラシック) メセニー(パット) ライヒ

ワーナーミュージック・ジャパン 2004-01-21
売り上げランキング : 17,490

おすすめ平均star
starとりあえず買ってみよう

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:06| Comment(0) | Classical Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする