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2005年11月29日

ソコルスキー実践:9〜三省堂『固有名詞英語発音辞典』

 来年にも、日本の出版物の著作権有効期限が作者の死後50年から70年に延長されそうである。映画はすでに70年になっており、本の70年もすでに アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどが採用しているから右へならえ的な動きは止められそうにない。
 作者の死後なんてその配偶者まではいいとしても子供は自分で稼げよと言いたくなるが、この法律でもうけているのは企業に他ならない。私の大嫌いなディズ ニーはその元凶だし、初代ウルトラマンの時期がそろそろ危うくなってきた円谷プロも何とかしようとするだろう。

 死後に権利が引き継がれなければ著作権は消滅する。私が翻訳中のエドワード・ラスカーは1981年まで長生きしていても切れているのはそういう事情だろ う。チェス翻訳に関しては「十年留保」という抜け道があるから'70年以前に関してはネタに困らないので私的には心配していない。
 「ダイソー文学シリーズ」は、帰省の車中で読むために買っているが、これもメジャー出版社の文庫売り上げに影響しているようだ。ダイソーの方が活字が見 やすく、写真資料や難語解説まで付いているのだから当然といえよう。著作権切れの本を他と同等の値段で売っている出版社の方がおかしい。

 もっとも、著作権が長くなれば企業は過去の遺産にしがみつき、短くなれば著作権切れ作品の発掘に向かうから、悪循環は免れないかもしれない。チェスの著 作権切れ本 も、Hardinge Simpole社の高い復刻版しかなくなってきたのが困る。いずれニムゾヴィッチ、レティ、アリョーヒンらは全部訳そうと思っているのに。


A. P. Sokolsky "The Modern Openings in Theory and Practice"
第2章 センターのマス d5マス 9

 ペトロシアンは、1958年の第13回オリンピックの対コズマ戦でd5マスを活用した。クイーンズポーン・オープニング。1. Nf3 Nf6 2. d4 e6 3. Bg5 c5 4. e3 b6? 5. d5 exd5 6. Nc3 Bb7 7. Nxd5 Bxd5(これで白がd5マスを完全に支配した。7...Be7の方がいい) 8. Bxf6 Qxf6 9. Qxd5 Nc6(9...Qxb2?だと 10 Rd1 Qb4+ 11 c3! Qxc3+ 12 Rd2 Qc1+ 13 Ke2でルックが取られる) 10. Bc4 Be7 11. O-O-O Rd8.
 序盤で白がセンターのd5マスを占拠してセミオープンのdファイルに沿って圧力をかけた結果、黒は弱い出遅れ(バックワード)ポーンを抱えた。
 12. Rd2 O-O 13. c3 Na5 14. Be2 Qe6.
 黒は交換させて白の圧力を和らげようとするが、白は当然e6では交換せず、ルックで取り返せるd5でのクイーン交換しかさせない。
 15. Rhd1 Qxd5 16. Rxd5 d6 17. Nd2 f5(黒 は Ne4の脅威を防ぐために陣形の弱体化を余儀なくされる) 18. f4 g6 19. g3 Rf6 20. e4 fxe4 21. Nxe4 Re6 22. Bf3 Kg7 23. b3 Nc6 24. R5d3 Nb8 25. Nf2 h5 26. Kd2 Bf8 27. Bd5! Re7 28. Ne4.









1n1r1b2/p3r1k1/1p1p2p1/2pB3p/4NP2/1PPR2P1/P2K3P/3R4 b - - 0 28

 白黒の陣形を比べれば、白に軍配を上げざるを得ない。d5のビショップとe4のナイトはどちらも申し分のない配置である。dファイル上の白ルックは、間 接的にd6のポーンを威嚇している。これらに加えて、白は Ne4-g5-e6+の強烈な狙いを秘めている。黒は、ナイトをc7へ回してその脅威から守らねばならない。
 28... Na6 29. Ke3 Nc7 30. Kf3 Nxd5 31. Rxd5(この重要地点d5を白のポーン、ナイト、クイーン、ビショップ、ルックが順繰りに占めてきたのはおもしろい。黒はこれで 敗勢になった。ペトロシアンはキング側ポーンの前進によって楽に勝てる) 31... Rde8 32. Re1 Re6 33. Re2 b5 34. h3 a5 35. g4 hxg4+ 36. hxg4 Be7 37. f5 Re5 38. Rxe5 dxe5 39. Rd2 Rf8? 40. Rd7 Rf7 41. Rxe7 1-0. 41...Rxe7の後 42 f6+となる。


 「てんぷら騎士団」さんちで固有名詞の発音を調べる問題に触れたので、英語圏の名前に関しては重宝している『固有名詞英語発音辞典』を紹介しておこう。 こんなマニアックな本は英語の専門家か翻訳家くらいしか買わないだろうが、今6300円にもなっているのでびっくりした。
 定価が帯にしか書いてなかったらしく私のはいくらで買ったか分からないが、買うまでは必要なときだけ本屋で見て調べていた。チェス書の翻訳をしなければ 買わなかったかもしれない。ちなみに「レヴィ」だとばかり思っていたLevyは「リーヴィ」だったことに最近気付いた(汗。
 '69年に初版を出した三省堂の先見の明には敬服するが、ずっと改訂なしの92500語では物足りなくなった。洋書でもっといいものがあってもよさそうだがこれ以上のものが見あたらない。 アルファベット圏人はちゃんと読めなくてもカナに直さずそのまま書けばいいから用途が限られてしまうのだろう。
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この記事へのコメント
著作権で儲けているのは企業。
その通りですな。私もその様に感じます。
しかし、その一方で企業に儲けさせない様な作品を製作した方を褒めたいです。例えば、英国のDAVE CLARK 5のリーダーである
Dave Clarkは、自身がOK!しない限り、過去の作品をCD化しないとの事。今現在この
グループのCDの入手はかなり難しい。本人が、レコード会社に対し、廃盤にしろと、圧力をかけたとか??などと言う噂があるくらいだから(あくまでも噂)
話変わりますが、今回のチェスの盤面ですが、素人の私でも明らかに白が優勢であると判ります。ただ、何手でチェックメイト
になるかは判りませんが・・・・・
Posted by 鷹野晴信 at 2005年12月01日 00:49
 最初のレコード会社との契約内容によるでしょうが、気骨のあるアーティストがいるものですね。自分の曲をカラオケに入れさせないアーティストもいるようで。

 チェスは消耗戦なのでよほど棋力に差がないと中盤でメイトにはなりません。上記の場合はわり と差がある方なのですが。
 『ボビー・フィッシャーのチェス入門』が受けたのは、メイトという目的の分かりやすさが将棋と共通したからかもしれませんが、現実のチェスのフィニッシュはあれとはほど遠いものです。
Posted by 水野優 at 2005年12月01日 13:42
コメント遅れました。。。名前まで出していただいたのに!!
固有名詞の辞典があるのですねぇ、いやしかし・・・高い・・・。
予算と相談して購入を考えますw
Posted by てんぷら騎士 at 2005年12月04日 01:54
 いえいえ>遅れました
 記事前後のネタを提供してもらったと思っています(笑。発音くらいネット上で調べられればいいんですけどねえ。
 主要言語の綴りと発音の関連をまとめた本を出せば確実に売れそうだけど。私が適任者なら三省堂に企画を出すところですが。
Posted by 水野優 at 2005年12月04日 11:10
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