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2005年11月25日

マスターズ第7回:スタントン〜ロボワード

 ピノー氏の新刊『チェスの花火』についてWEB上で盛んに議論されている。批評の域を超えて批判的な論調にさえなっている。氏が 何かを背負って出版しているわけでもないのに、哲学やニューサイエンスの方へ行ってしまったと「危惧」する声まで聞こえてくると、いささか滑稽にも思 えてくる。
 チェスの新刊書はめっきり出なくなったといっても、初心者に『〜入門』といった本を先に手に取るべきという判断力がないとまで考えるのは初心者に失礼で さえある。チェスの和書という理由だけでネット通販で購入する人には、それだけの覚悟を持って買ってもらうしかない。というのは冷めすぎた意見だろうか。
 プロ将棋棋士の推薦文とルールの説明を付けていればそこそこ売れるだろうと思っているのか、「チェスの本を一冊くらい出してみよう」という出版社だから か、内容にノーチェックっぽいのは気になる。それに、『クレイジー・チェス』でさえ日本語の及第点を与えられない私としては…。


 ディヴァン・チェスクラブそしてイギリス・チェス界に君臨したのは、頑 固で怒りっぽい憎まれ屋ハワード・スタントンだった。彼は分析にも 優れていて、フィッシャーは「史上最高の序盤研究家」と評しているほ どである。スタントンは1843年に聖アマンを破って世界チャンピオンを自称した。
 その後ハルヴィッツホルヴィッツを倒して防衛し、アンデルセンモーフィーの出現までそれは続く。スタントンはチェスの著述やジャーナリスト もこなし、シェークスピア研究でも一時期高い評価を得る。1851年の世界初の国際大会開催に尽力し、講演や同時対局に駆け回り、チェスの未来に貢献した。

 カーライル州伯爵フレデリック・ハワードの非嫡出子として生まれた スタントンは、若い頃はあまり教育も受けず、父からもらった金もすぐに浪費し、しばらくは舞台の役者に挑戦した。1830年代の半ばからディヴァン等のチェス・カフェによく顔を出すようにな り、20歳までは駒の動かし方も知らなかったが、やがてイギリス中の プレーヤーをしのぐようになる。
 1841年に創刊した『チェスプレーヤー新聞(Chess Player's Chronicle)』には1854年まで編集に携わる。『チェ ス プレーヤーのハンドブック』(1847)や『チェスプレーヤーの手引 書(... Companion)』(1849)は、あらゆる序盤やゲームを分析したもので、版を重ねてフィリドールの本に取って代わった。
 著作を終えた頃には、チェス・セオリーに関する知識は他のプレーヤーとは比べものにならないほどになっていた。さらに、1844年から没年1874年ま で 『イラストレーテッド・ロンドン・ニューズ』誌にコラムを連載し、1849年には今日まで世界的に使われているの形をデ ザインする。

 スタントンは、著作の中でも遠慮なく対戦相手を酷評する。彼が ルールブックだったのだ。読者からの手紙に対して書く返事も辛辣で、 注意散漫な子供のように読者を扱った。強者に対しては、高飛車に威 嚇して事実を都合のいいようにねじ曲げた。
 歳を取るほどさらに頑固になっていく。アマチュアの振りをするのを 好み、金のないときには知人を1ゲーム3ペンスで誘う。180cmほどの長身と、 サテン地に刺繍入りのベストや金の鎖付きスカーフ等でも彼は威厳を表 した。注目の的であるためにはそうしなければならなかったのである。


 以前、チェスのアップデートな情報先として紹介すべきサイトの募集をしたが、反響はなかった。量的には少ないとはいえ、maroさんの「戎棋夷説」のよ うな洗練された情報源があるから、今のところは不得手なジャンルにまで手を伸ばさないでおこうと思っている。
 最近復活されたという「テンプラ騎士団」さんの英語で弱っているという話を聞いて思いだしたが、WEB上の英単語をいちばん速く調べるには、マウスカー ソルを単語の上に置くだけで訳が表示されるソフトがある。皆さんは御存知だろうか。
 私は旧VAIOノートのバンドルソフトで「ロボワード」を使っていたが、今は以下のように翻訳ソフトに進化している。2週間無料使用できるシェ アウェア「訳しマウス」とい うのがあるので、まずはこれがお薦めである。
ロボワード V8 for Windows 研究社 新英和/新和英中辞典 + 英日/日英文章翻訳
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posted by 水野優 at 15:44| Comment(4) | マスターズ(チェス近代史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「チェスの花火」amazonに在庫1冊とあったんで今注文した。

>初心者に失礼でさえある。
一連の書き込みは何十行にもわたって本文を引用したりしていて(ちょっとコメントしにくいが)どうしたのかなあ、という感想だ。よっぽど何か心の琴線にひっかかるものがあったのだろう。
Posted by kathmanz at 2005年11月25日 18:29
 注文ありがとうございます。やはり背景テンプレート変えました(汗。
 「チェスの本を買って行間を読んでも分からないなど夢にも思わなかった読者と、自らのチェス経験がすべての読者に共有されうると信じて疑わない著者(言い過ぎ?)の悩ましいすれ違い」
 これを帯に付けたらどうでしょう(笑。表記だけでも、ピノー著、何某訳とする必要もありますが。
Posted by 水野優 at 2005年11月25日 19:54
「スタントン」と「ストートン」、どっちかが正しいんだけど、本人はその庶民的な響きを嫌って、異なる方の呼称を好んだ、と渡井美代子の本(もう手元に無い)にはありましたね。
例の駒については、私の記憶では1835年にナサニエル・クックがデザインして、その採用を後にスタウントンが提唱した、ということでした。
「テンプラ騎士団」の文章量はありがたいですよね。私も英語は苦手なので助かります。ちなみに私は「長い文章を書く自分」というのが美意識として許せないので、時間をかけて、言葉を刈り込んでいきます(このカキコミも一時間以上いじってる)。
ピノー本については、本自体についてもさることながら、正確にあるいは論理的に解説できる人が居ない点にも驚いてます。私もできません。
Posted by maro_chronicon at 2005年11月26日 13:31
 スタ「ウ」ントンはひどかったので今回分だけ直しました(汗。合衆国大統領にもいるのですね。ストーントンと呼ばれるのを嫌った話は私も覚えています。
 たしかに駒デザインまで直にやったとは思えなかったのですが、「野球」の名付け親を正岡子規にした方が受けがいいというレベルの話なんでしょうね(笑。
 翻訳学校では特に年配の人に、うまいけど訳文が長い人が多かったと思います。同じことを伝えるには短い方がいいに決まっているので、私も特に技術的なものでは気をつけています。コメントに1時間とはすごいですね。敬体で書くと間延びするからかもしれません。私はブログ記事でも1〜2時間くらいです。
 ピノーさんの方向性は嫌いじゃない方なんですが、フランス語が読めて原文を見ればなるほどと思えるのかもしれません。
Posted by 水野優 at 2005年11月26日 18:27
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