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2008年05月01日

中山元『フーコー入門』書評

  中山元の『フーコー入門』を読んだ。著者は東大中退の翻訳家で、在野の思想家という風が魅力的だ。実践的な観点から生涯にわたって思想が変遷したフーコーを、逆に一本筋の通った哲学者として描こうとしている。

目次(下位区分割愛)
序 現在の診断−フーコーの方法
 ミシェル・フーコー年譜
第1章 人間学の〈罠〉
第2章 狂気の逆説−『狂気の歴史』『臨床医学の誕生』
第3章 知の考古学の方法−『言葉と物』『知の考古学』
第4章 真理への意志−『監視と処罰』
第5章 生を与える権力−『知への意志』
第6章 近代国家と司牧者権力
第7章 実存の美学−『快楽の活用』『自己への配慮』
終りに 真理のゲーム

あとがき

 カントとニーチェの影響が強いが、フーコー自身はゲイだったので、同性愛を断罪するカントを克服する必要があった。ゲイであることに関しては共感以上に悲壮感が漂う。著作の引用から最も印象に残った部分を以下に挙げる(訳著者)。

 十九世紀の「人間愛」が、狂気を「解放」という偽善的な形式で閉じこめたこの「道徳的なサディズム」なしには、この心理学というものは存在しなかっただろう。

フーコー入門 (ちくま新書)
中山 元
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posted by 水野優 at 13:02| Comment(6) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フーコーと聞くと「フーコーの振り子」を思いだしてしまいますが、多分、別のフーコーさんですよね?
5月3日に新潟県立自然科学館に行ったら、フーコーの振り子があってとても感動しました。実物を見るのは初めてだったので(笑)。
あと、ウンベルト・エーコが書いた「フーコーの振り子」も読んだ記憶があるのですが、内容がまったく思い出せない。


追伸:アマゾン・マーケットプレイスに出品されていた「How to Reassess〜」は前から欲しかったので、先ほど注文してしまいした。よろしくです(笑)。
Posted by NoMercy at 2008年05月07日 00:00
 さすがに別のフーコーさんです。いろいろ思うところあるのに、さっぱり長い書評を書く気力がなくなってしまいました(汗。

 amazon注文ありがとうございます。発送が金曜になってしまいますが、半端なチェス雑誌をおまけに付けておきますので、ご了承くださいませ。
Posted by 水野優 at 2008年05月07日 13:04
了解!楽しみに待っています。

アマゾンのレヴューに「チェス初心者向きではありません」と「如何に相手の攻撃手段を未然に防御するかという趣旨の解説」とあり、この二つの言葉に心揺れ動きカートから何度も出し入れしていました(笑)。
Posted by NoMercy at 2008年05月08日 00:52
 郵便局から冊子小包で発送しました。2日ほどお待ち下さいませ。
 たしかにいい本ですが、ちと難しいですよ。
Posted by 水野優 at 2008年05月10日 01:12
無事到着しました。おまけも付けて頂き、ありがとう御座いました。

厚さと英文ビッシリに少々ビビってしまいましたが、28ページの「If seems difficult don't panic!」に勇気づけられ(笑)、ザクっと25〜52ページまで読んでみました。Understanding chess Move by Move/J.Nunnよりも読みやすい印象。加えて、現在直面している問題を解決出来そうな内容に、買って良かったと思っている次第であります(笑)。
Posted by NoMercy at 2008年05月12日 22:12
Silmanはちと語彙にくせがあると思うのですが、ざくっと読めるほどだとかなり英語力も上達されたようですね。
 とにかく良かったです。
Posted by 水野優 at 2008年05月12日 23:58
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