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2008年04月29日

一川誠X池上彰『大人になると、なぜ1年が短くなるのか』書評

 一川誠X池上彰の『大人になると、なぜ1年が短くなるのか?』を読んだ。誰もが疑問に思ったことがあるテーマだろうし、けっこう売れた本らしいので気になっていた。一川は山口大で「時間学」を研究する認知科学者。池上はおなじみのジャーナリスト。

目次(下位区分割愛)
[はじめに]一川誠
第1章 ヒトはどうやって時間を感じているのか
第2章 文化がヒトの時間を作る
第3章 からだ時間とこころ時間
第4章 こども時間に比べておとな時間はなぜ速く流れるのか
[おわりに]池上彰
参考文献・時間学の入門書

 1〜3章が本題の予備段階となっていて、1章は認知科学的考察。(赤・緑・青以外の)四番目の橙色錐体細胞が発見された話や、フラッシュラグ現象によってサッカーのオフサイド判定は人間の審判では無理という議論が興味深い。

 2章の文化による時間感覚の違いは、よく言われるような日本人の厳格さやせっかちさ等。効率化や合理性の中でいかに我々が多くのものを失っているか。通勤から解放されても放送メディアに拘束される私にも頭の痛い話だ(汗。
 3章は、生理学心理学的データに基づいた時間の考察。結局これが4章と最も関連深い。

 100年ほどからある俗説「今まで生きた時間の長さと比べるから、歳を取ると相対的に時間が速く過ぎるように感じる」がどう扱われているかを知りたいことも、本書を借りた理由だった。これにも触れられているが、個人差が大きいので信憑性は薄いらしい。
 本書が根拠とするのは、代謝、心理的時間、イベント数等である。特に代謝が減退する午前中は心理的時間が遅いので物理的時間が速く進み、代謝が盛んな子供は時間が遅く進むように感じる説明は納得できる。

 私は会社を辞めてフリーになって9年になるが、速く経ったとは思わない。充実していなかったからと言えばそれまでだが、充実した時は速く経ち、「充実度X心理的時間」の総量が一定なら、結局物理的時間と同じく、誰もが公平な時間を体験しているのかなとも思う。ずいぶんしみったれた考え方だが(笑。

大人になると、なぜ1年が短くなるのか?
一川 誠 池上 彰
大人になると、なぜ1年が短くなるのか?
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posted by 水野優 at 14:19| Comment(0) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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