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2005年11月17日

マスターズ第6回:カフェ・ディヴァン

 最近はなかなか新宿でゆっくり本を見る機会もないので、洋辞書をamazonで買う前に手にとって見るために、帰省の新幹線に乗る前に日本橋の丸善に久 しぶりに寄った。しかし、何と改装中で仮店舗はお話にならない大きさ。完成は再来年らしい(汗。
 実家から神戸市立博物館へたぶん初めて行った。お目当ての展示内容でもないのでそれはどうでもいいが、帰りに元町の丸善を覗こうとしたら、またない。 10年前の震災以来行ってないからそのときに閉店か移転したのだろう。たまたま近くに洋書専門店があったが英英のシソーラスさえろくに置いていなかった。
 帰りの新幹線で芥川龍之介の遺稿『歯車』を読んでいると、著者が幻覚を見ながら日本橋の丸善に立ち寄るくだりが偶然出てきた。この帰省では3回も「丸 善」と縁がありながらも目的を果たせなかったのだ(笑。最初から東京駅近くのでかい書店(何だっけ?)に行けば良かった。


 フランスのレジャースにあたるイギリスのカフェは、ロンドンのチェス・ディヴァンであり、そこで15年ほどヨーロッパ最強を誇ったのがハワード・スタウントン(1810-74)だった。19世紀中葉のロンドンには多くのチェ スクラブがあったが、このストランド通りのディヴァンが最も重要である。
 ディヴァンは1階にあったが1847年に2階に移動してシンプソン・ディヴァンと呼ばれるようになり、1886年に2階に有名なシンプソン・レストランが開店すると3階に移動した。老メンバーは3階まで登りたくないので ロンドンやウェストミンスターのクラブへと離れ、19世紀末までは強豪が残ったものの、現在ではもう指されていない。

 その良き時代には、ディヴァンはレジャース以上に社交場としての役 割を果たしていた。メンバーはソファーでくつろぎ、コーヒーを注文し、新聞や雑誌を読む。寒いときは店の四隅で薪がくべられる。チェスプレーヤー以外に も、役者芸術家政 治家などが多く出入りした。
 あるとき経営者がきれいに店内改装をして、大理石のテーブルにマス 目が石のモザイクでできた盤をはめ込んだ。信じられないことだが、ほとんどが保守的な イギリス人の常連はこれを使いたがらなかった。盤の段差がないので、ずるいプレーヤーが取られた駒をまた盤上にもどしやすいからだったという!

 イギリス人のスポーツマン精神を疑う出来事だが、残念ながらチェスのあるところに汚 い手はつきまとった。1853年のダーニエル・ハルヴィッツ(ディヴァンの常連)とヨハン・レーヴェンタールのマッチの様子を『ブリティッシュ・チェス・マガジン』で チャールズ・トムリンソンは以下のように伝えている。

 レーヴェンタールの優勢が決すると、誰かが私に聞こえる声で少年に窓の前でオルガ ンを弾くように言い、神経質で知られる彼の集中力をそいだ。彼はタバ コ嫌いでもあるので観戦者に吸わないように求めていたが、ある者はレーヴェンタールのロウソクで火を付けたタバコの煙を彼の顔に吹きかけ た。

 このマッチはハルヴィッツが1ポイント差で勝利した。


 amazonに「なか見!検索」機能なるものが加わった。まだ多くは出版社側の対応待ちだが、対応した本は、表紙から目次を含めた最初の数ページと裏表 紙(和書なら奥付も)を大きな画像で見ることができる。フォント等の見やすさや印刷の質までも分かるから、下手なレビューの立場がますますなくなる(汗。
posted by 水野優 at 14:01| Comment(8) | マスターズ(チェス近代史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ところで(本文読んでコメントしとんのかいな、とつっこまれそうだが)今福岡掲示板がピノーさんの本のことでもちきりである。

どうも評判が良くないのだが、これでますます買わなきゃなーと思えてきた(笑。とても売れそうにない内容らしい。
Posted by kathmanz at 2005年11月17日 20:33
 ええ、福岡掲示板は盛んですね。図書館で(いずれ)借りられる本を買う余裕はないので私は静観するしかないですが、『クレイジーチェス』の方向を深化したものと想像します。
 一般向けでないならマニア向けかもしれないけど、ベクトルが棋力向上より文化や歴史に向いているとなると、ほんとにどの層に向けて書いた本なのやら。出版社はこれでよかったんでしょうかねえ。
Posted by 水野優 at 2005年11月18日 13:17
一連の福岡チェスクラブ掲示板の書き込みに対しては、さまざまな反応があるでしょう。冷静に見守って行きたい。(へたにかきこんでヤケドしたくない?、汗)

「チェスの花火」とにかく私は注文します。ますます読みたくなってきました。

それから「クレイジーチェス」も読み損なっていたので、amazonで買います。ここには「クレイジーチェスのリンク」は貼ってあるのかな(笑。
Posted by kathmanz at 2005年11月21日 19:32
 福岡の、管理人がブログを他の商売につなげていて自らはチェスの記事を書かない(個人のブログならともかく)という形態が納得いかないので関わりたくなかったんですけどね(笑。
 クレイジー・チェスはうちで書評したのでリンクありますよん。検索から行かれた方が速いでしょうが。半月ぐらいアソシエイト注文がないのでぜひここから注文してくださいまし(汗。
Posted by 水野優 at 2005年11月21日 20:05
さっそくのご返事ありがとうございます。注文します。「チェスの花火」は在庫切れなので、近所の書店ででも注文します。

私は、「別の見方」があるはずだとにらんでいます。楽しみです。
Posted by kathmanz at 2005年11月21日 20:31
 ありがとうございます。
 今日は柏の新星堂で探したけどなかったです>チェスの花火
Posted by 水野優 at 2005年11月22日 17:38
水野さん、おじゃまします。りんりんです。
福岡チェスクラブのHPに、管理人さんが
自分の商売のことを押し出している点については
私も「やめといたほうがいい」と思ってます。
特に「すべらんぜよ」のすぐそばに
「儲ける方法」について書いてあるHPへの
バナーがつながっているのはいただけない。

ただ、いまは私もあのHPにお世話になって
カキコさせていただいている身分なので
強くいえないんですよ。
Posted by りんりん at 2005年11月22日 22:08
 どもです。
 私も細々とチェスをアフィリエイトのネタにしているわけですが、チェス以外の商売を本気でするならチェスのコンテンツなんてむしろマイナスだと思うんですよねえ。
 チェスのメインHPを早く作りたいのですが、本職のHPをドメインを取って他に移動するのが先なので滞っています(汗。
Posted by 水野優 at 2005年11月23日 15:15
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