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2005年11月01日

ソコルスキー実践:6〜「見返り」?

 昨日久々にamazonに注文した。お得なシソーラス辞書Random House Word Menuと、ここのネタ用に以前から欲しいと思っていたIllustrated Dictionary of Chessである。これで8月に5000円以上注文でゲットしたギフト券を期限内に使えてやれやれと思ったのだが…。
 24時間以内に発送と3〜5週間以内に発送という最悪の組合せなのに気付いた(汗。辞書は明日にでも欲しいのに。というわけでネタ本はまた延期にな り、 『足長おじさん』の原書とで強引に1500円以上24時間以内発送ペアにしてしまった。
 ちなみに、自分の注文のときはいつもアソシエイトのことを忘れていて、今回も忘れていたら偶然自分のアソシエイトに付いていた。自分の注文でも可能なの ね。そんなことも初めて知った次第だった。


 ソコルスキー訳は第2章に入る。テーマ別にはなっているが、散文的なのでシステマティックな感じがしない。訳すのは楽なのでそのまま進めてい く。ちなみに図5は単にセンター(d4,d5,e4,e5)と拡張センター(c3-c6-f6-f3で囲まれた16マス)の説明だけなのでブログでは省略 する。


A. P. Sokolsky "The Modern Openings in Theory and Practice"
第2章 センターのマス


 オルテガ(キューバ)対コルチノイ(ソ連)戦からの局面、1963年ハバナでの国際大会、を検討しよ う。









r4rk1/pb3ppp/3b1n2/3q4/3ppB2/6N1/PPP1BPPP/R1Q1R1K1 b - -
(↑この文字列ををクリップボードにコピーしてからWinboard等に局面データとしてペーストすると、以下の手順をソフト上で動かせる。ただし手順番 号は1から始まる)

 コルチノイのセンターポーンがずいぶん前進している。そのために、相手のピースは動きを制限され、黒はピースの動ける空間を確保している。黒は、クイー ンが重要なd5マスを占拠し、マイナーピースも互いに連係し合った見事な位置を占めている。
 自陣の優位を生かしつつ、コルチノイは決定的な攻撃を始める。17...d3! 18 cxd3 e3! 黒は、長いダイアゴナルを開かれてメイトの脅威にさらされた。
 19 Bf3 exf2+ 20 Kxf2 Ng4+ 21 Kg1(も ちろん 21 Bxg4?はだめ。21...Qxg2+ 22 Ke3 Bxf4+ 23 Kxf4 Qf2+ 24 Kg5 Qf6+ 25 Kh5 g6+ 26 Kh6 g5+ 27 Kh5 Qg6#) 21...Qd4+ 22 Be3(22 Kh1だと白はスマザード(窒息)メイトを食らう。22...Nf2+ 23 Kg1 Nh3++ 24 Kh1 Qg1+! 25 Rxg1 Nf2#) 22...Nxe3 23 Qxe3 Qxe3+ 24 Rxe3 Bc5. これで白はエクスチェンジ損になるので、コルチノイは駒得を生かして楽に勝てる。

 当然ながら、すべてのセンターのマスを占拠することや上記のような局面は、相手がミスを犯さないと起こりえない。通常は、センターのマスをめぐる争いの 中で、プレーヤーは相手が仕掛ける妨害に直面する。センターのマスをすべて占領できることはまれであり、プレーヤーは、一般にセンターの1つか2つの マスを占拠しようとする。白にとっては、d5とe5のマスを占めることはひじょうに重要である。それらのマスに置いたピースが黒の指し手を制限するからで ある。それに比べると、黒がd4とe4のマスを占めて強化する機会は乏しい。序盤においては防御側として、黒はe5かd5のいずれかを占拠することで互角 を 維持してよしとすべきである。


 またチェス翻訳の話だが、私はcompensationの一般的な 訳語として「代償」以外に「見返り」という訳語を「チェス英日翻訳用語集」に挙げてい た。しかし、「見返り」という言葉は、調べるとこの逆の意味にしか使えないようなのだ。
 元々は、自分が相手から何か恩恵を受けたことに対して自分が返礼することで、「借金の見返りに担保を差し出す」は典型的な用例である。派生した用法を見 ても、「物資が尽きたので見返りの品を送る」といった感じである。

 共通しているのは、見返りが得られた状態が見返り以前の状態より良くなっていない、「やむをえない代わり」である。調べると「代償」も同じで、比喩的に 「ある目標を達成するために払う犠牲や損害」(広辞苑)とあるが、それはcompensationよりむしろsacrificeと思える。
 となると「サクリファイスの代償として展開で勝った」という山ほど見て書いてきた表現はどうなるのか。用語だと開き直るしかないのか。「代わ りに償う」ではなく「(相手がこちらの駒損の)代わりに償ってくれたもの」と勝手に意味が派生したのだろうか。しかし、今さら「埋め合わせ」ではしっくりこない(笑。

 ちなみに類語辞典でいちばん使っているのが↓である。私のは'91 年の初版。「見返り」も「代償」も見出し語にないし、はっきり言ってこの本に出て くる類語くらい全部連想できないとお話にならない程度だが、1万円以 上もするどでかい本で誰も知らない漢熟語を見つける必要は感じないの で、こ れが手を伸ばせば届くところにあれば十分と思っている。
三省堂実用 類語選びの辞典
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