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2008年02月09日

渡部昇一『英語の語源』書評

 渡部昇一英語の語源』(講談社現代新書480、'77/6、p.206)を読んだ。人 間、思考、性、自然、家等の基本語成立過程を古代までさかのぼり、東洋言語との大胆な関連仮説まで呈示する。単語レベルの語源本とは一線を画す必 読の傑作。

目次(下位見出し省略)
はじめに
序−語源をさぐる意味
1−「人間」のイメージ
 最初はいきなり漢語等も出てきて面食らうが、目から鱗の話が多くて 徐々に引き込まれていく。キリスト教への改宗に際して、その神を自国 の言葉で表すと土着の神が消え、別の言葉で表せば土着の神が残るという話が、その実例とともに特に興味深い。

2−思考・音楽・記憶
 日本で音楽に関する緻密な学問体系が生まれなかったことを、当時言われ出した西洋人との右脳左脳の違いを引用して済ませてしまっている。私は、もっと前 にマックス・ウェーバーが推測したように、残響音の長い石造りの教会 に比べて障子や襖でできたデッドな家では複雑な和声体系が生まれなかったのが当然と思う。

3−女性・生まれ・血統
 女性=包まれた男、gentleと夏目漱石、キングとエンペラーの違い等がおもしろい。

4−自然−生み出す力
5−家・パン・領地−家父長のイメージ
 チェスに関する記述(p.156〜157):
「 英語にはイタリア語から入った単語は比較的少ないから、ドンナの方はあまり使われないが、フランス語からきたdameやmadamはよく用いられた。 ま ず「ma」(私の)がつかないdameの方であるが、これは当初は、語源どおり「女主人」の意味に用いられたことはladyの場合と同じである。チェスで も、昔はクイーンといわずよくデイムといっていた。また歴史的には貴族の夫人や令嬢にも用いられていた。細かくいえばladyよりひとつランクが下の階級 に用いられたが、現在のわれわれには関係がないであろう。」
 ドンペリのドンは家(Don)から来ている。ホストクラブの頭の悪 そうなホストと客はほとんど知らないことだろうが、私もドンペリがシャンパンだということすら長らく知らなかった(汗。

6−母性と父性−保護者のイメージ
●−索引
 feminineやfeminaのfe-は、吸う→豊かさを表してきた。コスプレでよく見た「吸血鬼ハンターD」のFeliciaが豊満なのが納得できる(笑。

英語の語源 (講談社現代新書 480)
渡部 昇一
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posted by 水野優 at 12:58| Comment(0) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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