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2005年08月21日

湯川博士&若島正『将棋ファンにも楽しめる初めてのチェス1手・2手詰集』書評

 昨日から、7月末に松戸チェスクラブで行われたサマートーナメントの棋譜入力作業をしている。序盤から相手の意表を突くプランでレイティング的に下のプレーヤーが金星を上げたゲームなどが興味深い。
 レパートリー・ブックの話で私も触れてきたとはいえ、実際に序盤からメジャーな定跡を避ける傾向は強い。松戸の例会メンバーだけとしか今まで指していない私としては、少々驚いた。
 しかし、実戦では相手だって、わざとであろうとなかろうとなかなか本の通りには指してくれない。刻々と変化する局面に対して、当初のプランを貫くか臨機応変に対応するかは難しい問題だ。
 
 和書の書評はしばらくお休みと言ったばかりだが、読んだことのある本を覚えているうちに紹介しておこう。将棋とチェスの橋渡しに尽力してきた湯川さんと、プロブレミスト若島さんがタッグを組んだことがタイトルにうまく表現されている。
 王手(チェック)の連続である必要がないために、プロブレムは詰将棋とは全く違うパズルの道をたどってきたが、それを将棋ファンにも分かりやすく説明しようというのが本書の狙いである。
 
第1章 やさしい1手詰(1手詰のルール ルック詰 ほか)
第2章 連続王手(チェック)の2手詰(連続王手の2手詰のルール 2枚ルック ほか)
第3章 チェス式の2手詰(Mate in 2)(2手詰とは 逃走阻止 ほか)
第4章 チェスガイド(序盤の指し方 4つの定跡(オープニング) よく使う戦術用語と例題 ほか)
 
 なので、2章までの半分は詰将棋的なプロブレムになっている。19世紀の前半まではプロブレムの主流も連続チェックだったらしいが、駒が減っていくチェスでは複雑なものが作れないからすたれていったそうである。
 湯川さんが関わっている朝霞チェスクラブの会報『チェックメイト』も、創刊頃にはあえて「新」スタイルとして初手チェックの投稿プロブレムが多く載せられていた。将棋からチェスに入る人はまずこの方がとっつきやすいし、本書のアイデアの源泉がここにあることは間違いない。
 
 プロブレムは苦手だからいやという人も食わず嫌いの人も、これほど親切で周到な前置きがあれば、3章のプロブレムも答を先に見ずにすべて解けるのではないだろうか。プロブレムは門外漢の私でさえ全部解くことができた。
 プロブレムもレアなケースでは実戦に役立つし、John Nunnのようにプレーヤーとプロブレムの両方で一流という場合もある。中途半端ながら普通のチェスを扱う4章は、チェスの普及には欠かせないし、ご愛敬というところか。
 
 大阪で会って以来10年以上ぶりに湯川さんに再開したのは、ちょうどこの本が出たときだったので、「買って!」と言われたが図書館で済ませた。書評書いたから許してちょんまげ(汗。 
将棋ファンにも楽しめる初めてのチェス1手・2手詰集
438110482X湯川 博士

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posted by 水野優 at 17:17| Comment(2) | TrackBack(0) | チェス(和書評) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
ヤクルト軍の古田選手がチェス指したら
どの位強いのだろう?水野さんがもし
対局する機会があると?面白いのだが?
などと、考えてしまいました。

実際に見てみたいです(切望)・・・・・
Posted by 鷹野晴信 at 2005年08月23日 05:18
 一時、古田の将棋好きがID野球と結びつけられていましたねえ(笑。チェスなら私が勝たないとどうしようもありませんが。
 ヤクルトの選手たちと普通に友人付き合いしている夢をよく見ます。そのときは都合良く自分は男です(汗。周防監督がうらやましい。
Posted by 水野優 at 2005年08月23日 12:04
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