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2007年08月29日

Vukovic『チェスの攻撃技術』序論 メイト攻撃の技術

メイト攻撃の技術

 さらに厳密な区分をするために、メイト攻撃の基本概念から生じる一連の疑問を洗い出さねばならない。それは同時に、今日のチェス技術の最も難解な部分を扱うことでもある。

 本質的なことは、メイト攻撃とゲーム内で生じる他の作戦との関連である。

 メイト攻撃は、実際の盤上局面によってある程度決まってしまうのか、攻撃者の能力に大いに依存しているものなのか?

 メイト攻撃に付きもののリスクはどこにあるか?

 今日の棋士がメイト攻撃を未だ懐疑的に思う根拠は何か?

 これらの疑問は個別に提起したが、互いに関連し合っていることが容易に見て取れる。しかし、個々の疑問に個別の解答が得られないとしても、個別の答えを得ようとすべきである。

 メイトは最終目的、つまり競技に勝利することであり、メイト攻撃は、他の寄与的(contributory)に過ぎない作戦とは対照的に究極的(ultimate)である。したがって、メイト攻撃には他の作戦より多くの条件が必要とされる。メイト攻撃には多くの必要条件が存在し、これらが共同して攻撃者側に要求される相当な優位を形作る。優位が卓越している場合は、攻撃者に多大な知識と能力は要求されない。しかし、優位が正確な攻撃の判断を必要とする微妙な場合は、最大限の能力(maximum skill)が攻撃の遂行に際して要求される。ロマン派の棋士たち(The Romantics)にはあまり知識はなかったが、自信がみなぎっていた。最初の小さな知識の増加によって、彼らの棋風は方向を変えることになる。今日なお受け入れられているその新たな法則は、一連の予備作戦を実行することである。わずかな優位さえあれば、いずれメイト攻撃に十分な優位が得られるのである。しかし、この結果、攻撃技術を全開することに失敗し続け、マスターたちは攻撃に付きもののリスクに目を奪われ始めた。リスクがありえない場合でさえも…。攻撃のリスクは、知識が不十分なときに生じる。未だに、最小限の必要条件、つまりメイトにどういう類の優位(kind of advantage)が必要なのかは明らかになっていない。例えば、ゲーム内で二度と再現しないある局面が疑問になりうる。もう一つ未解決なのは、攻撃の準備に際して必要な義務を判断する(weighing up the obligations)棋士の能力に関する疑問である。準備の手順はとりわけ重要である。唯一単純なのは、伴う義務がより少ない指し手をもっと義務に縛られた手より先に指すべきという原則である。しかし、この原則を実践に生かすには多大な能力が要求される。これまでのところ、この種の能力を十分に所有していたのはカパブランカ(Capablanca)とアリョーヒン(Alekhine)だけである。


 mating attackは「メイトにする攻撃」としてきたが、頻出するので縮めた。他にも斜体強調(訳文では太字)ゆえに用語的に訳出せねばならない制約にも弱った。これがなければ文脈に溶かし込めるのに、硬い文体にせざるをえない。と、言い訳しておこう(汗。

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posted by 水野優 at 19:35| Comment(0) | Vukovic『チェスの攻撃技術』戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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