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2007年08月24日

Dickins『フェアリーチェス入門』2 フェアリー駒 その2

リーパー(跳び駒)、ライダー(走行駒)、ホッパー(跳び越え駒)の動き方

 a1マスからの様々なピースの動き方を考察して、これらすべての動き方の仕組みを詳細に検証しよう。

図5 1歩リーパー(a1からの動き方)
 2 
 1 
   
 
1 2

 図5は、2つのリーパー、WAZIR(大臣)(0-1)とFERS(女王)(1-1)(どちらもイスラム期の駒)のa1マスからの動きを 示している。大臣は縦横、女王は斜め四方に1マス動く。この2つの基本的な動き方が、他のすべての駒の動きの基となっている。オーソドックスな駒のキング は、これらの動きを兼ねている。大臣と女王の合体が王権となっているのである。

図6 1歩ライダー
 3 
 2 
 1 
   
 
1 2 3

 図6は、一歩目と同じ方向に「走行(riding)」し続けると認められるようになった駒のa1マスからの動きを示している。オーソドックスなクイーン、ルック、ビショップである。

 ルックは大臣ライダー(Wazir-rider)、ビショップは女王ライダー(Fers-rider)、クイーンは(King-rider)または(大 臣+女王)ライダー((Wazir + Fers)-rider)と言える。

図7 ナイト 2歩リーパー(a1からの動き方)
 2 
 1 
   
 
1 2

 図7は、最初の2歩リーパーであるナイトの動きを示している。他のリーパーも、ナイトと全く同じ方法で直接行き先の各マスへ移動するのであり、それ以外のマスは関係ない。

図8 2,3歩リーパー(a1からの動き方)
 3 
 2  D A
 1 
    D
 
1 2 3
A=Alfil, C=Camel, D=Dabbaba (図15も参照)

 図8は、他の2つの2歩リーパー、DABBABA(戦車)(0-2)とALFIL(僧正)(2-2)と3歩リーパーCAMEL(ラクダ)(1-3)(す べてイスラム期の駒)の動きを示している。4,5歩以上の名前のあるリーパーも存在するが、それは後に検討する。Dictionnaire des Echecsは、誤って現代のAlfilは空のマスしか跳び越えられないとしている。

図9 2,3歩ライダー(a1からの動き方)

AR

AR

ARCR
CR
DRDRDR
=ナイトライダー
AR=僧正ライダー
CR=ラクダライダー
DR=戦車ライダー

ライダー(図9参照)
 どのリーパーも、一歩目の方向「走行線(riding-line)」に沿って跳び続ければ「ライダー」になる。戦車ライダー(Dabbaba-rider)のa1マスからの水平方向の行き先は、c1かe1かg1となり、b1, d1, f1にどんな駒があろうと関係ない。これらのマスはこの戦車ライダーには影響せず、その動きを妨げることはない。ナイトライダー(図3,9参照)はすでに説明した。ラクダライダー(CAMEL-RIDER)の動きはナイトライダーと類似しているが、3歩跳びの走行線上を動く。8 x 8マス盤上では、ナイトライダーは一手で3回しか跳べず、ラクダライダーは一手で2回しか跳べない。僧正ライダー(ALFIL-RIDER)は、ダイアゴナル上を1マスおきに跳び続けられ、跳び越える各マスに駒があるかどうかには影響されない。

走行線
 走行線は、駒が定められた動き方で移動する際に立ち寄るマスの中央を結んだ目に見えない線である。水平、垂直、ダイアゴナルのどれとも違う(ナイト、ラクダ等の)走行線は、斜角線(ANGULAR LINE)と呼ばれる。走行線が見えるように紙に(または盤上に)書く場合は、駒が立ち寄らないマスも横切る。斜角線ならそれらのマスの中央を通らないが、水平、垂直、ダイ アゴナルに沿う走行線ならそれらのマスの中央も通る。肝に銘じておくべきは、走行する駒が立ち寄らないマスは、そこをどんな駒が占めていようと、走行する駒やその動きに影響を与えないということである。

図10 1,2,3歩ホッパー(a1からの動き方)








NH=c5を越えるナイトライダーホッパー
AH=e5を越える僧正ライダーホッパー
CH=d2を越えるラクダライダーホッパー
DH=e1を越える戦車ライダーホッパー
RH=a4を越えるルックホッパー
BH=b2を越えるビショッパー

ホッパー(図10参照)
 ホッパーは、ライダーがその走行線上で行き先のマスより1つ(ときには2つ以上)手前のマスに敵味方いずれかの駒がいなければならず、それを跳び越せる。T. R. ドーソンによるこのモダンな考案は、中国象棋の駒に変更を加えたものである。走行線の長さは最低でも2マスになる。行き先のマスと、その走行線上に駒のいるマスが1つ必要だからで、駒のいるマスは通常行き先のマスの一つ手前である。図10の戦車ライダーホッパー(DABBABA-RIDERHOPPER)は、c1と白のキングがいるe1を跳び越えてg1へ行き着く。黒のビショップがいるd1は、走行線上にないマスなので全く無視される。

 他の駒を跳び越える動き方は、オーソドックスなチェスには見あたらないが、1955年のFIDEのチェス規則によると、キャスリングをするときは、まずキングを同じランク上の最も近い同色のマス上に移動し、それからルックがキングを「跳び越え」てキングの隣のマスへ移動する。正にルックホッパーのようである。

 ナイトライダーホッパー(NIGHTRIDER-HOPPER)の2歩斜角跳び越えとラクダライダーホッパー(CAMEL-RIDERHOPPER)の3歩斜角跳び越えも、図10に示されている。さらに、戦車ライダーホッパーと僧正ライダーホッパー(ALFIL-RIDERHOPPER)のそれぞれ(縦)横と斜めに2歩単位の跳び越えと、ルックホッパー(ROOKHOPPER)の縦(横)方向に1歩単位の跳び越え、ビショッパー(BISHOPPER)のダイアゴナル方向に1歩単位の跳び越えも、すべてa1からの位置である。図10で示されているのは、各駒のa1からの動きのすべてではない。白のルックホッパーはd1を跳び越えてe1へは行けない。e1マスに駒がいるからである。e1を跳び越えてf1へ行くこともできない。e1へ行く途中のd1がビショップに占領されているからである。a1のルックホッパーが黒の駒だと、白のキングにチェックをかけていることになる。d1のビショップが白でも黒でも、これらの指し手には全く影響しない。


 駒名称の英字(原語)、カナ読み、漢字の3種併存という問題をまだ引きずっている。イスラム期の駒は、僧正や女王として現代のビショップやクイーンと動きが違うことを示した。アルフィル等のカナにすると意味が分かりにくくなる問題がある。
 リーパーは前回「跳び駒」にしたが、ライダー、ホッパーとセットの訳語が作れず、漢字+カナの名称になった。ラクダは駱駝にしないとカナに埋もれるが、動物を全部漢字にするのも硬い。キャメルライダーの方が格好いいし、戦車に乗るのはライダーじゃないだろう(?)と、ツッコミどころ満載である。
 資料の寄せ集めがまとめ切れていない原書の散文的な構成に振り回されるのはバカバカしいし、もう少し整理して仕切り直すまで連載を中断するかもしれない (汗。
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