ホームページは「チェストランス」です。古い記事では図の駒が表示されません。

2007年08月15日

Vukovic『チェスの攻撃技術』序論 メイトの基本形

メイトの基本形

 メイトにするためには、キングが盤の中寄りにいると9マス、縁にいると6マス、隅にいると4マスに駒を利かせねばならない。これらのマスの中には、キングが行けない、つまり味方の駒に占められているものもあるが、残りのマスは、攻撃側のピースやポーンで制圧しなければならない。キングを取り囲むすべてのマスにキングが行けなくなり−味方の駒に占められるか、「チェック」の状態になっている−キングのいるマスにもチェックがかかっていて、その防御手段がないと、キングがチェックメイトされたことになる。これは有名なことだし、メイトの基本形構造(anatomy)から始めるのは退屈かもしれないが、実際に、基本原則はこの論拠においてのみ定式化できるのである。

図3
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
8/1K1Q4/6pB/4kB2/3b1n1P/5p2/8/8 b - -

 図3は黒番だが、4種類のメイトを避けることができない。白は 2 Bg7#(第1メイト型)を狙っている。1...Kf6にも、2 Bg7(第2メイト型)がある。黒のナイトが動くと 2 Qe6#(第3メイト型)。1...gxf5には、2 Bg7+ Ke4 3 Qxd4#(第4メイト型)となる。

 最終的な局面、つまりメイトの局面をメイト型(mating pattern)といい、この用語は、特に覚えておくべき型の場合に有益である。メイト型には、典型的なもの(つまり、よく生じるもの)から型にはまらないものまである。関連するすべてのマスに2つかそれ以上の攻撃駒が利いているメイト(またはメイト型)を純粋(pure)と呼ぶ。したがって、1...Ne2 2 Qe6は純粋メイトだが、1...Kf6 2 Bg7はそうではない。f5のビショップがなくてもメイトが成立するからである。純粋メイトはプロブレムにおいて有意義だが、実戦では重要性がない。

 今見たメイト型では、黒キングを囲むマスのいくつかが味方の駒に占められ、残りのマスが敵の駒に制圧されていた。これらの要素が組み合わさったものが、メイトの包囲網(mating net)と呼ばれる。


 「形」と「型」の使い分けにはよく悩まされる。「基本形」は一般的な形を総称しているから「形」、「メイト型」は個々の形を指しているから「型」としたが、英語ではどちらもpatternだ。こういう場合の漢字のバラエティはうっとうしい。
 純粋メイトの説明がやや分かりにくいが、キングに隣接するマスを占める攻撃駒が他の隣接マスに利いていない場合に、その駒は不要(他の攻撃駒に守られていないとキングに取られるのでむしろお荷物)なので純粋メイトにならないという意味である。
posted by 水野優 at 13:30| Comment(2) | Vukovic『チェスの攻撃技術』戦術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
水野さん、こんにちは。

「純粋メイト」はいまだによく分からないです。

>Thus 1...Ne2 2 Qe6 is a pure mate, whereas 1...Kf6 2 Bg7 is not, though it would be if we were to remove the bishop on f5.
(1998,algebraic版)

「f5Bをのけたとしたら純粋」ということからして、要は(他の駒が存在しない)キング周辺のききにダブりがないこと(f5Bがあるとe6マスがQとBでダブる)を「純粋」としているのかと考えたのですが・・・。いずれにせよ、この本ではあんまり重要な概念ではなさそうです。

Posted by kanedaitsuki at 2007年08月17日 09:22
 新訳引用どもです。
 旧訳は、is notがis no longer soとくどくなっていますが、私も無視したニュアンスなので新訳者に同感というところでしょうか(笑。

 たしかに「利きにダブりがない」の方が純粋の正確な表現ですね。やはりプロブレムの経済美に関わることなんでしょう。
Posted by 水野優 at 2007年08月17日 13:34
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。