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2007年08月14日

エイベ『チェス終盤の手引き』2-10: マイナーピース+2P 対 マイナーピース その2

 138 Cheron(1945)の見事な分析が、端ポーンがクイーンになるマスと違う色のビショップを持っているときの正しい指し方を示している。

 黒がビショップを犠牲にしてgポーンを取ろうとするので、白は、ビショップを楯にしてポーンの前進を守らねばならない。

1... Bh3 2 g3 Kf6
 2...Kh6 3 Bf1 Bg4 4 h4 Bf5 5 Kf2 Bg4 6 Ke3 Be6 7 Kf4 Bd7 8 Bd3 Bh3 9 Bf5 白のビショップが、gポーンを進める楯になる。9...Bf1 10 g4 Be2 11 g5+ Kh5 12 Kg3.
3 Bf1 Be6 4 Kf2 Ke5 5 Ke3 Bd7 6 h4 Bg4 7 Be2 Be6 8 Bd3
 白は、次にキングをf4へ向かわせようとしている。
 8 h5? Kf5だと、黒がキングをg5に据え、9 Bd3+ Kg5 10 Bg6 Bg4 または 9 Kd4 Bf7 10 Bd1 Be8 11 Kd5 Bf7+ 12 Kd6 Kf6 13 Kd7 Kg5で、白のポーンをブロックする。

図138 白勝ち
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
8/8/4b3/6k1/8/8/4B1PP/6K1 b - -

8... Bf7
 白に h5の狙いがあった。8...Bg4 9 Bg6 Bd1 10 h5 Kf6 (さもないと 11 h6) 11 Kf4 Be2 12 Be8 Kg7 (12...Ke7 13 h6 Kf6 14 g4 Bxg4 15 Kxg4 例100) 13 Kg5 Bd3 14 Bg6 Be2 15 h6+ Kg8 16 Kf4 Bd1 17 Be4 Be2 18 Bf3 結局gポーンが前進する。
9 g4 Be6
 9...Bh5 10 gxh5 Kf6 11 h6 Kf7 12 Bh7 例100.
10 g5 Bf7 11 Kf3 Bh5+ 12 Kg3 Kd4
 黒がツークツワンク状態。12...Be8 13 Kg4 Bd7+ 14 Kh5 または 12...Bd1 13 Bg6から h5.
13 Bb1 Ke5 14 Bc2 Ke6 15 Kf4 Kf7 16 Bf5 Bd1 17 Bg4 Bc2 18 h5 Bd3 19 Bf5 Be2 20 h6 Bh5 21 Ke5 Kf8 22 Kf6 Kg8 23 Be6+ Kh8 24 Bf7 Bd1.
 白が後4手でメイト。

 この終盤で黒がビショップの代わりにナイトを持っていても、白が勝てる。


 139 白のポーンがつながっていないので、黒の唯一の望みは、クイーンになるマスの色がビショップと違う端ポーンだけが残るようにすることだが、白はたいていこれを回避できる。

1 Be8
 正しいプランは、まず楯になって「良い」ポーンをできるだけ前進させることである。端ポーンは、進みきるとおとりの役割を果たせなくなる。黒がすぐ取れるようになるからである。
 1 h5? Be2 2 Be8 Bg4だと、Goglidze対Kasparyan(トビリシ(グルジア)、1929)で生じた局面になる。3 Kd8 Kh6 4 Bd7 Bxh5 5 e6 Kg7 6 e7 Kf6 7 Be8 Bd1 8 Bf7 (ビショップがすぐにh5へ行けないので貴重な手待ちをする) 8...Ba4 9 Bh5 Ke5 10 Bg4 Kd6.
 1 h5? Be2 2 Be8 Bg4後のもう一つの変化は、3 Kd6 Kh6 4 Bd7 Bxh5 5 e6 Kg7 6 e7 Kf6 7 Ba4 Bg6 8 Kd7 Ke5 9 Kd8 Kd6.
 どちらの変化でも、黒には端ポーンを取る余裕があり、その後、例129のような垂直オポジションを取りにもどれる。
1... Kh6
 1...Bg4 2 Kd6 Kh6 3 Bd7. 1...Bb3 2 Bh5 Kh6 3 Bg4は本譜に移行する。

図139 白勝ち
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
8/4KBk1/8/4P3/7P/8/8/3b4 w - -

2 Kf6
 2 Kd6 Bb3 3 Bc6?は、hポーンを捨て石にするのが早過ぎる。3...Kh5 4 Bd5 Bc2 5 e6 Kxh4 ドロー。
 代わりに、白はビショップを有利なg4に置いてから、上記の変化で手得になるタイミングで最終的にhポーンを捨てる。
2... Bg4 3 Bg6 Bd7 4 Bf5 Ba4 5 Bg4 Bb3 6 Ke7 Bc4
 白がキング周りを再編成する間、黒にできるのは手待ちだけ。
7 Kd6 Bb3 8 Bf3 Bc4 9 Bd5 Bd3 10 e6 Bg6 11 e7 Kh5
 手損だが、11...Kg7だと 12 Kd7 Kf6 13 Kd8 Ke5 14 Bc6 Kd6 15 Be8 Bc2 16 Bf7 Ba4 17 h5.
12 Kd7 Kxh4 13 Kd8 Kg5 14 Bc6 Kf6
 斜線オポジションを失うが、14...Bh5だと 15 Be8 Bd1 16 Bf7 Ba4 17 Be6.
15 Be8 Bc2 16 Bh5 Ba4 17 Bg4 Ke5 18 Bd7.

 fポーン+クイーンになるマスの色がビショップと違うhポーンに対してなら、黒はほぼ確実にドローにできる。しかし、ポーン同士が遠く離れている(dポーン+hポーン等)と、白の楽勝である。
 つながっていないポーンに対する一般的なケースでは、黒は一方をキングでブロック、他方をピースで牽制するしかない。白のキングが黒のピースへ向かうと、黒のピースは、牽制するポーンとの相撃ちを余儀なくされる。


 次項はポーンが2対1の例題が10個なので、説明も長めになってきたから2題ずつ5回に分けて紹介しよう。このブログに盆休みはない(笑。
posted by 水野優 at 13:52| Comment(2) | Euwe『チェス終盤の手引き』終盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご紹介いただいたラカン本を読んでます。
NPP対Nを期待してたんですけど、無いんだあ。
139の「1 Be8 正しいプランは、まず楯になって」は「縦」でなく「楯」でいいんですね?
Posted by maro_chronicon at 2007年08月16日 23:26
 NPP対Nはピース交換強制しやすいからでしょうか。
 「楯」です。138にも出てくるし、1 Be8では駒を楯に並べただけなので変換ミスに見えますね(笑。
 どちらも原文はshieldで、杓子定規に「楯になる」としましたが、「壁を作る」とかでもよさそうです。
 表現はともかく、139はその後のプランも含めて楯になるという意味でしょう。
Posted by 水野優 at 2007年08月17日 13:28
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