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2007年08月10日

Dickins『フェアリーチェス入門』1 歴史 その3

 イスラム(Muslim)・チェス(西暦750〜1500)の期間には、長方形(Oblong)チェス、デシマル(Decimal)チェス(10 x 10マス)、円形(Circular)チェス、天文(astronomical)(7つの同心円を12の扇形マスに分割)チェス、リム(Limb)チェス等、様々な新しい形式のチェスが試みられた。いくつかは、H. J. R. MurrayのA History of ChessやJ. Boyerの文献で紹介されている。その中で有名な「大(Great)チェス」や「完全(Complete)チェス」等と呼ばれるものは、11 x 10マス盤で指され、モンゴルの大皇帝ティムール(タメルラン)(1336-1405)のお気に入りだったと伝えられている。通常の駒に加えて、このゲームには、1つの大臣(Wazir)、2つの戦車(Dabbaba)、2つの偵察兵(Talia(scout))、2つのラクダ(Camel)、2つのキリン(Giraffe)がある。大臣、ラクダ、キリンの動きは今日のものと全く同じである。他に使われていたフェアリーピースは大チェス(12 x 12盤に各32個の駒を用いる)に由来し、ライオン(Lion)、雄牛(Bull)、番兵(Sentinel)、ワニ(Crocodile)、主計官 (Paymaster)(ビショップ+ナイト)、王子(Prince)(クイーン+ナイト)、警察署長(Chief of Police)、サイ(Rhinoceros)、ガゼル(Gazelle)、他にも動きを組み合わせた駒がある。

クーリエ(急使)・ゲーム

クーリエ・ゲーム
C=急使 M=男 S=卑劣漢 Bishop=Alfil Queen=Fers

 1202年に言及されているヨーロッパでの初期の最も興味深い改変は、クーリエ・ゲームと呼ばれた。急使(Courier)は今日のビショップの動きと全く同じ、卑劣漢(Sneak)は今日の大臣(Wazir)に相当し、男(Man)はキングのようにすべての隣のマスへ進めた。このゲームはドイツに起源を持つようで、多様化されたチェスの一つとして、19世紀初めまで終の棲家となるシュトレベック(Strëbeck)という村に痕跡を残している。したがって、1500年の直前から300年間、クーリエとAlfilは共存したことになる。今日のビショップと同じ強大な威力とその動きへの関心によって、クーリエは、オーソドックスなゲームのフィルと完全に取って代わった。

 今世紀(20世紀)には、ヨーロッパのとりわけプロブレムにおいて今まで以上に大量の新たな形式が発明されてきた。たしかにそれらの多くは忘却の彼方へと消え去ったが、屈強に生き長らえてやがてオーソドックスなチェス盤へ活路を見出すものがあるかもしれない。将来の世界選手権がクイーンの代わりにグラスホッパーで使って争われるかもしれないという脅威を感じているチェスクラブや団体がたしかに存在する。しかし、未来に何が待ちかまえているかなど、誰にほんとうのことが分かるだろう?


 Alfil、卑劣漢(もう少しましな訳はないものか(汗))、グラスホッパー等、駒名称が3通りの書き方で方針の統一なく来てしまったが、次章からは基本的にカナで紹介していく。最後に出てくるAlfilは原文ではFilだが、単にアラビア語の接頭語Alを省略したと思われる。
 ウェブ上の「フェアリーチェス」を探すと、日本で代表的な「日本チェス・プロブレム協会」にしても将棋との共存が目立つ。将棋駒との混合表記だと、Camelは「駱」となるようで、上記のCourierと紛らわしくなる「C」より分かりやすい。先人のいいところは取り入れられればと思う。

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