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2007年07月12日

ソコルスキー『現代定跡の理論と実践』Sokolsky-Veresov

Sokolsky-Veresov スパルタカス選手権準決勝 1962 シシリアン・ディフェンス カナル=ソコルスキー

1 e4 c5 2 Nf3 d6 3 Bb5+

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
rnbqkbnr/pp2pppp/3p4/1Bp5/4P3/5N2/PPPP1PPP/RNBQK2R b KQkq - 0 3

 このシシリアン・ディフェンスに対して実行可能な変化の一つで、白は展開での優位を目指している。白はもうキャスリングできるのに、黒はまだキャスリングするにはキング側を展開しなければならない。
 3 Bb5は、2...d6ではなく 2...Nc6の場合でも可能である。Nezhmetdinov-Boleslavskyソ連スパルタキアド1959では、2...Nc6 3 Bb5 g6 4 c3 Nf6! 5 e5 Nd5 6 0-0 Bg7 7 d4 cxd4 8 cxd4 0-0 9 Nc3 Nc7 10 Bc4 d6 11 Qe2 Bg4 12 Rd1 dxe5 13 dxe5 Qc8 ほぼ互角。
 Kholmov-Keres第26回ソ連選手権1959では、白は堂々たる勝利を挙げた。2...Nc6 3 Bb5 Nf6 4 e5 ここでケレスは 4...Ng4 (4...Nd5の方がいい) とした。5 Bxc6 dxc6 6 0-0 g6 7 Re1 Bg7 8 h3 Nh6 9 Nc3 b6 10 d4 cxd4 11 Nxd4 c5 12 Nc6! Qd7 13 Nxe7! Kxe7 14 Bxh6 Bxh6 15 Qf3 Bg7 16 Nd5+ Kd8 17 Rad1 白の脅威は退けられない。

3... Bd7
 白マスビショップの交換によって、白はセンターに好ポーン形を築き、あわよくば白マス上で圧力をかけることもできる。3...Nc6の方がいい。例えば、4 0-0 a6 (4...Bd7 5 c3 Nf6 6 Re1 a6 7 Ba4 e5 8 d4 b5 9 dxe5 dxe5 10 Bc2 Be7 11 Nbd2 ルイ・ロペスのチゴリン・ディフェンスの白が有利な変化に移行した。Sokolsky-Gellerソ連選手権準決勝1950) 5 Bxc6 bxc6 6 d4 cxd4 7 Qxd4 e5 8 Qd3 Be7 9 Rd1 Qc7 10 Na3 Be6 11 Nc4 Rd8 12 Be3 (12 Bd2の方がたぶんいい) 12...Nf6 13 Bb6 Bxc4 14 Bxc7 Bxd3 15 cxd3 Rc8 16 Ba5 ドロー (Sokolsky-Kholmovウラジーミル1960).

4 Bxd7+ Qxd7 5 0-0
 すぐに 5 c4も可能である。5...Qg4でポーンを取ろうとするのは、6 0-0 Qxe4 7 d4 cxd4 8 Re1以下、白に強襲される。実例は、8...Qc6? (8...Qg4の方がいい) 9 Nxd4! Qd7 (9...Qxc4には、10 Na3から Nb5) 10 Nb5 e6 11 Bf4 白の攻撃は抗いがたい (Sokolsky-Schutinskyハリコフ(ウクライナ)1948).

5... Nc6 6 c4
 白マス交換後は、白はポーンを白マスに置く方がいいと考える。この序盤の精神に背くと、例えば、6 c3は黒の ...e6から ...d5とする反撃を許す。
 Kholmov-Spassky3局大会1964では、6 d4 cxd4 7 Nxd4 Nf6 8 Nc3 g6 9 Nf3 Bg7 10 Qe2 0-0 11 Nd5 Rac8 12 c3 Ne8 13 Bd2 e6 14 Nf4 Nc7 ほぼ互角。

6... g6
 黒は 6...e5でセンターを封鎖することもできるが、そうすると両ビショップの相対的違いが明らかになる。白の良いビショップは黒マスを守り、クイーン側で活動を維持できる。一方、黒の不良ビショップは不活発なピースとなる。

7 Nc3 Bg7 8 d3 Nf6 9 h3 0-0 10 Be3 Ne8
 この黒ナイトの後退後、d4によって白がセンターで優位になる。この突きを 10...e5で防ぐのが戦略的誤りであることは、すでに考察した。しかし、10...Rc8 (訳注:Rac8とRfc8を区別していない。両方を指しているのかもしれない) の方が良かった。

11 d4 cxd4 12 Nxd4 Rc8
 12...Rc8は反撃に不十分で、白はたやすくクイーン側陣形を確保できる。黒は 12...Nc7とすべき だった。

13 b3 Nc7 14 Rc1 Ne6 15 Nde2
 良くないのは 15 Nxc6(e6) bxc6(fxe6) 16 c5 Rcd8で、黒の防御が有望 (訳注:これも 15 NxN PxNと、取るナイトを区別していない。両手順を指しているのかもしれない)。

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
2r2rk1/pp1qppbp/2npn1p1/8/2P1P3/1PN1B2P/P3NPP1/2RQ1RK1 b - - 0 15

 白陣の方が優勢である。センターの重要な戦略拠点d5を支配し、Qd2, Rfd1, Nd5と続けてピース配置を強化できる。c5の狙いが白の切り札となっている。このセンターでの戦略に、黒は側方からの一撃 ...f5くらいでしか対抗できず、本譜通り、この局面での黒の反撃は功を奏さない。

15... f5 16 Qd2 Rf7 17 Rfd1 Rcf8 18 exf5 gxf5
 18...Rxf5には見込みがない。f2へ圧力をかけても黒に得るものがないからである。本譜では、黒は半開きのgファイルにピースを結集させる望みにすがる。しかし、事態は急速に進展し、黒はまずセンターとクイーン側の防御を考慮せねばならない。

19 Nd5 b6
 さもないと c5が強烈になる。しかし、これでこの突破を回避できたわけではない。

20 b4 Kh8 21 c5 bxc5 22 bxc5 Nxc5 23 Bxc5 dxc5 24 Rxc5
 ラインが開いた結果が評価できるようになった。白のメジャーピースが開いたc,dファイルにいるのに、黒の両ルックは味方のfポーンに邪魔されている。さらに、黒は開いたgファイルの利用を構想することすらできない−単に時間的余裕がない。ゲームの残りで白の優勢が確定する。

24... Rd8 25 Qc2 e6
 強制的。一見すると、25...Nb4が好手に思えるが、26 Qb3でとがめられる。26...Nxd527 Rcxd5でルック損になる。

26 Rxc6 exd5 27 Nf4 d4 28 Qc4 Be5 29 Ne6 Re8 30 f4
 これで駒損が避けられない。黒の次手は結末を早めたに過ぎない。

30... Bd6? 31 Qxd4+ 1-0


 「3局大会」はThree-match-tournamentだが、チェスは基本的に奇数局勝負はしないので引っかかる。誰かご存知の方いませんか? (汗。次回はアリョーヒン・ディフェンス。

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この記事へのコメント
私も「Three-match-tournament」という言葉は見たことがありませんでした。対局年や断片棋譜からすると第31回全ソ連選手権戦のプレーオフのことを言っているようです。前年の11月23日から12月27日にかけて行われた選手権戦でSpassky,Kholmov,Steinの3人が12ポイントで同点首位になりました。年が明けてこの3人で同じ相手と2戦ずつのプレーオフが行われました。Stein2.5ポイント、Spassky2ポイント、Kholmov1.5ポイントでSteinが優勝しました。紹介の断片棋譜はこのプレーオフの時のものです。
Posted by Yamagishi at 2007年07月12日 20:50
 早速の情報ありがとうございます。
 私も検索するとフットボールの記事とかであったのですが、やはりチェス史から調べるべきでした(汗。
 3人プレーオフですね。HPの方で対応しておきます。
Posted by 水野優 at 2007年07月13日 14:57
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