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2007年07月05日

ソコルスキー『現代定跡の理論と実践』Rashkovsky-Bukhover

Rashkovsky-Bukhover ソ連スパルタキアド 1963 シシリアン・ディフェンス ポイゾンドポーン

1 e4 c5 2 Nf3 d6 3 d4 cxd4 4 Nxd4 Nf6 5 Nc3 a6 6 Bg5 e6 7 f4 Qb6

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
rnb1kb1r/1p3ppp/pq1ppn2/6B1/3NPP2/2N5/PPP3PP/R2QKB1R w KQkq - 0 8

 シシリアン・ディフェンスの中で最も激しくて未解決な変化の一つ。
 黒は、必要な展開をする代わりに早期にクイーンを出動させてb2のポーン取りを狙い、貴重な時間を費やしている。ポーンの見返りに、白は展開と強力な攻撃でかなりの優位に立つ。しかし、白の課題は一筋縄ではいかない。クイーン側ビショップをキング側へ繰り出してから f4としたために、白陣の多くの黒マスは無防備で、黒の黒マス上での反撃が危険になりうる。白は、攻撃を精力的かつ正確に行わねばならない。この方法によってのみ、序盤の展開原則に反する黒の戦術をとがめることに期待できる。
 7...h6 8 Bh4と準備してから 8...Qb6とする手順もある。この場合、黒はh4のビショップとf4のポーンがどちらも無防備な点につけ込めるかもしれない。白の最善手は 9 Qd3!で、e6でのナイト・サクリファイスをからクイーンをg6に侵入させて決着を付ける狙いである。Mikenas-Talリガ国際大会1959で は、9 Qd3 Qxb2 10 Rb1 Qa3 11 e5 Nd5 (11...dxe5 12 fxe5 Nfd7?は 13 Nxe6!で良くない。どの場合でも基本的にfファイルを開かれるのは無益) 12 Nxd5 Qxd3 13 Bxd3 exd5 14 e6! Nc6 (14...fxe6 15 Bg6+から 16f5も、黒の防御が困難) 15 Nxc6 bxc6 16 exf7+ Kxf7 17 Rb6 c5 18 c4 d4 19 0-0 白優勢。

8 Qd2
 もちろん、白はポーンを放棄しなければならないわけではない。単に 8 Nb3で、8...Qe3+後のクイーン交換で良しとすることもできる。実例は、9 Qe2 Qxe2+ 10 Bxe2 Nc6 11 Bf3 Bd7 12 0-0-0 Be7 (12...0-0-0の方がいい) 13 Na4! 0-0-0 14 Bxf6 gxf6 15 Nb6+ Kb8 16 Nxd7+ Rxd7 17 Bh5 白優勢 (Stein-Gligoricストックホルム1962).
 8 Nb3には 8...Nbd7ともできるが、9 Qf3以下白が活発になる。実例は、9...Qc7 10 a4 b6 11 Bd3 Bb7 12 0-0 Be7 13 Qh3! e5 14 Rad1 (Stein-Parmaソ連対ユーゴスラビア戦1962).
 8 a3なら、黒はbポーンを取れない。9 Na4でクイーンを失う。8...Bd7!とすれば、bポーン取りの狙いが復活する。

8... Qxb2 9 Rb1
 めったに指されないとはいえ、9 Nb3にも考慮すべきメリットがある。

9... Qa3 10 e5
 Gipslis-Korchnoi第31回ソ連選手権1963では、他の道筋が取られた。10 f5 Nc6 11 fxe6 fxe6 12 Nxc6 bxc6 13 e5! dxe5 14 Bxf6 gxf6 15 Ne4! (15 Be2は 15...Qd6!で良くない) 15...Be7 16 Be2 0-0 17 Rb3 Qa4 18 c4! Kh8 19 0-0 Ra7 20 Qh6 白の狙いが強烈。黒は、13 e5に対して 13...Nd5 14 Nxd5 cxd5 15 Be2 dxe5とすべきだったようだ。16 c4以下、白が主導権を保つとしても。
 10 Bxf6 gxf6 11 Be2でも、白は攻勢になる。実例は、11...Bg7 12 0-0 0-0 13 Rf3 Nc6 14 Nb3 Rd8 15 f5 Ne5 16 Rg3 Kh8 17 Rf1 (Tal-Sakarov第31回ソ連選手権1965).

10... dxe5
 この交換は強制的。黒は、キング側ビショップを活躍させないと反撃できないからである。Keres-Fudererガザンバーグ1955では、白が 10...Nfd7後に抗しがたい攻撃 11 f5!を仕掛けた。

11 fxe5 Nfd7 12 Bc4!
 活発な展開手で、攻撃への最強手順である。12 Ne4も試みられたが、12...h6! 13 Bh4 Qxa2 14 Rb3 Qa1+ 15 Kf2 Qa4!で、黒が攻撃を退ける (Korchnoi-Tolush第25回ソ連選手権1958).

12... Be7
 Bednarski-Tringovケチェケメート(ハンガリー)1963では、12...Nxe5 13 Nxe6! Qa5 (13...fxe6 14 Qd8+ Kf7 15 0-0+...) 14 Bd8 (さらに強力なのは 14 Rb6+ Qxb6 15 Nd5) 14...Nf3+ 15 gxf3 Qe5+ 16 Ne4 fxe6 17 Bh4 Nc6 18 0-0 b5 19 Bd3 Be7 20 Bxe7 Kxe7 21 h4 白がポーンの代償分の攻勢。
 Tringov-Fischerハバナ1965では、12...Bb4! 13 Rb3 Qa5 14 0-0 (14 Bxe6 0-0!) 14...0-0 15 Nxe6 fxe6 16 Bxe6+ Kh8 17 Rxf8+ Bxf8 18 Qf4 Nc6 19 Qf7 Qc5+ 20 Kh1 Nf6! 黒が攻撃をはね返した。

13 Bxe6!

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
rnb1k2r/1p1nbppp/p3B3/4P1B1/3N4/q1N5/P1PQ2PP/1R2K2R b Kkq - 0 13

 華麗なサクリファイス! 最初に現れたのはDuckstein-Dr. Euweスイス1958で、その後さらなるサクリファイスも含めて分析されてきた。
 目標は、どんな犠牲も払っても黒のキングを仕留める! このスローガンが、ゲームの残り部分を支配する。
 Ortega-Ivkovハバナ1963の手順も興味深い。13 Rb3 Qc5 14 Nd5!? Bxg5 15 Qxg5 g6. 黒が攻撃をはね返すには、かなりの犠牲を払わねばならなかった。

13... 0-0!
 絶対手。白の脅威は、以下のクイーン・サクリファイス含みの強烈な手順で示される。13...Bxg5 14 0-0! Bxd2 15 Bxf7+ Kd8 16 Ne6+ Ke7 17 Nd5#.

14 0-0!
 白は、展開してコンビネーションを生み出しながら、依然サクリファイス含みの攻撃を維持する。

14... Bxg5
 上記のDuckstein-Dr. Euweスイス1958では、14...fxe6 15 Nxe6 Nc6 (15...Rxf1+ 16 Rxf1 Bc5+ 17 Kh1 Nc6 18 Nd5! 抗しがたい攻撃).

15 Qxg5 h6!
 見事な変化になるのは、15...Qxc3 16 Nf5 Qxe5 17 Nh6+ Kh8 18 Nxf7+ Rxf7 19 Qd8+ Nf8 20 Qxf8+ 次手でメイト。

16 Qh5!
 16 Qg3には、16...Qc5から 17...fxe6とできる。Bilek-Fischerインターゾーン大会1962では、16 Qh4 Qxc3 17 Rxf7 Rxf7 18 Qd8+ Nf8 19 Bxf7+ Kxf7 20 Rf1+ Kg6 21 Rxf8 Bd7 そして黒が勝った。
 エイベの推奨する 16 Qd2は、16...fxe6 17 Nxe6 Rxf1+ 18 Rxf1 Qe7 19 Qd5 Nb6 20 Qd8+ Qxd8 21 Nxd8 Nc6 22 e6 Bd7 白投了 (Schmidt-Minic第9回世界学生チーム選手権1962).

16... fxe6
 ついに黒はビショップを取るが、実際他に手がない。白が戦力をf7に集中しているので、16...Qe7は 17 Nd5でとがめられる。

17 Nxe6 Qe7
 取れるピースを取って交換する方が単純に思えるが、17...Rxf1+ 18 Rxf1 Qe7 19 Qf5! (20 Nd5の狙い) 19...Nb6 20 Qf8+! Qxf8 21 Rxf8+ Kh7 22 Ne4から 23 Nd6は、黒が絶望的 (Boleslavskyの分析).

18 Nxf8 Nxf8 19 Nd5
 新たなサクリファイス! 白はナイトも捨てて攻撃を強化する。

19... Qc5+ 20 Kh1
 ルックをピンにさらさずに、白は最も正確な方法で攻撃を続ける。Rotstein-Sakharovウクライナ選手権1963では、20 Rf2 Qxd5 21 Qe8 Nd7 22 Rbf1 Kh7! 23 Rxf8 Qd4+! 24 R8f2 Nxe5 白の1ルックに対して2つのマイナーピースを持つ黒が優勢。

20... Qxd5
 Kolpakov-Nikitinソ連スパルタキアド1963で生じた 20...Be6は良くない。21 Nb6 Ra7 22 Qe8 Nd7 23 Nxd7 Bxd7 24 Qf7+ Kh7 25 Qxf8 Qxe5 26 Rae1 Qg5 27 Rf7 1-0

21 Rad1 Qb5
 21...Qc5には、22 Rd8 Nd7 23 Qf7+ Kh7 24 e6.

22 Qf7+ Kh7 23 Qxf8 Bg4 24 Rd8 Be6 25 Qh8+ Kg6 26 Re1 Qa5 27 Re3! Qb6 28 Rg3+ Kh5 29 h3 Kh4 30 Qxg7! Qxd8 31 Rg4+! 1-0


 長かった。黒17手目の解説変化、22 Ne4に対しては 22...Bxe6で単純に黒勝ちにしか見えない。狙いが 23 Nd6とあるので 22 Ne4が誤植とも考えられない。お手上げ(汗。

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この記事へのコメント
22. Nc7 Ra7 23. Ne4(24. Nd6)なら、白が優勢な感じがします。本に棋譜の抜けがあるのでは・・・
Posted by 通りすがり at 2007年07月06日 20:24
 ご指摘ありがとうございます。
 全くその通りですね。抜けの可能性をすっかり見逃していました(汗。白はまだ1ピース取り返さねばならないのですし。
Posted by 水野優 at 2007年07月07日 14:15
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