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2007年06月26日

ファイン『定跡の背後にある考え方』4 dポーンの定跡 クイーンズ・ギャンビットその7

図24(再掲)
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r1b1kb1r/pp1n1ppp/2p1pn2/q2p2B1/2PP4/2N1PN2/PP3PPP/R2QKB1R w KQkq - 0 7
ケンブリッジ・スプリングズ・ディフェンス

 III. 7 cxd5は今日最も見られる変化で、主な狙いは、黒のセンターの弱体化である。浮いた白のクイーン側ビショップに仕掛けられる罠も防いでいる。

 ポーンで取り返すと、クイーンの出撃が全く無意味になり、せいぜいエクスチェンジ・ヴァリエーションの不利な変化に移行させることしかできない。なので 7...Nxd5がほぼ強制的となる。

 再び黒は、...e5か ...c5で自陣を解放しようとし、身の毛もよだつ複雑な変化が続く。また戦術的考察が優先されるが、...c5が通常 ...e5より劣る。白はナイトを 8 Qb3か 9 Qd2で守れる。8 Qb3 Bb4 9 Rc1 e5!では、黒が迅速な展開のためにポーンをサクリファイスし、8 Qd2 N7b6 9 Rc1では、白がピースを早く繰り出すためにポーンを捨てる。どちらの場合も、最善を尽くすと混戦は決着が付くまでには至らない。原則として、ポーン得には走らず、初志貫徹が賢明である。したがって、8 Qb3 Bb4 9 Rc1 e5には 10 Bc4!が最善で、8 Qd2には 8...Bb4が好ましい。これらの変化は駆け足で片づけたが、基本的に新たな考え方を含んでいないからである。

 ケンブリッジ・スプリングズの主たる欠点は、白が回避できることである。主変化 (1 d4 d5 2 c4 e6 3 Nc3 Nf6 4 Bg5 Nbd7 5 Nf3 c6) の6手目に 6 cxd5でエクスチェンジ・ヴァリエーションへ移行したり、6 a3や最も斬新な 6 e4!さえ試せる。この作戦では、早期に黒のセンターを一掃できれば、白の優れた展開が永続すると確信する。白の主たる希望は、強力な攻撃を確保するためにポーンをサクリファイスするか、黒が自陣を早く開きすぎる可能性である。例えば 6 e4 dxe4 7 Nxe4 Be7 (または 7...Qb6 8 Bd3!?) 8 Nc3 0-0 9 Qc2 e5 10 0-0-0 白有望。

 マンハッタン・ヴァリエーションは、1 d4 d5 2 c4 e6 3 Nc3 Nf6 4 Bg5 Nbd7 5 Nf3 Bb4 (図25) から生じる。

図25
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r1bqk2r/pppn1ppp/4pn2/3p2B1/1bPP4/2N2N2/PP2PPPP/R2QKB1R w KQkq - 0 6
マンハッタン・ヴァリエーション

 黒の作戦が反撃なのは明白である。そういう変化が意義を持つのは、やがて ...c5や ...e5やその両方が続く場合に限られる。黒の強みは、その両方の手がやがて可能となることである。しかし残念ながら、黒は、白の通常の展 開をとがめられないことに気付く。

 白がまず考えるのは、6 cxd5 exd5でセンターを固定する(黒が主変化から外れた場合にたいてい良い作戦となる)ことである。そして白は、来る狙いに注意しながら単純に展開を続けられる。 7 e3 c5 8 Bd3 Qa5 9 Qc2 c4 10 Bf5 0-0 11 0-0 Re8 12 a3 ポーン形の堅牢さで白優勢。

 ラスカー・ディフェンス:基本的作戦は、早期の ...Ne4によるピン外しだが、この手は様々なタイミングで可能な手であり、交換によって黒を解放する利点を持つ。害はないので、黒はナイトが跳ぶ前に ...h6 Bh4としておいた方がいい。そこで主変化は 1 d4 d5 2 c4 e6 3 Nc3 Nf6 4 Bg5 Be7 5 e3 0-0 6 Nf3 h6 7 Bh4 Ne4 (図26).

図26
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rnbq1rk1/ppp1bpp1/4p2p/3p4/2PPn2B/2N1PN2/PP3PPP/R2QKB1R w KQ - 0 8
ラスカー・ディフェンス

 白はいくつかの交換を強いられる。そこで通常は、ポーン形を良好に保つことで優位を確保しようとする。黒のクイーン側ポーンの数的優勢がその後長期的には相殺されると見なす白の判断は正しい。8 Bxe7 Qxe7 9 cxd5 Nxc3 10 bxc3 exd5 11 Qb3! (...c5に対する何かが必要) 11...Qd6. ここで 12 c4なら 12...dxc4 13 Bxc4 Nc6!が互角にする最速の方法だが、11...Rd8も可能。黒が防御すべきは、白がセンターを堅実に保持してクイーン側へ展開する強力な圧 力である。

 白が他に使える作戦は、優勢な展開を単に維持することだが、エクスチェンジ・ヴァリエーションへ移行する選択肢もある。このためには、cファイルをふさいではいけないので、8 Bxe7 Qxe7 9 Qc2とする。9...Nxc3ならオーソドックスとほぼ同様に進むので、黒は自陣を解放するのが少し難しくなる。代わりに 9...Nf6!が意外にも好手で、ここからエクスチェンジ・ヴァリエーションにするのは白の損になる。早期の ...c5を阻止できず、白が素直に展開すると直ちに ...c5とされるからである。すべてを考慮すると、ラスカー・ディフェンスは、黒の最良の主防御の一つと言える。最大の欠点は、白の緩手 に対してさえも、ドローしか望めないことである。


 一昨日のETV「日曜美術館」の最後の情報コーナーで、二人の紳士がチョコレートでできた相手の駒を互いに取っては食べながらチェスをしている映像を見た。これは、深澤直人が企画する「チョコレート」をフィーチャーした企画展(赤坂の21_21 DESIGN SIGHT、4/27〜7/29)で見られるようだ。

 ↓訳ではまだだが、アクセプテッドの本が多いので(汗。
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A. Raetsky M. Chetverik
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この記事へのコメント
日曜美術館のって、前に私のところで紹介したのと似てませんか?このコメントのURLのやつです。
Posted by maro_chronicon at 2007年06月27日 01:12
 私もどこかでこういうのを見たと思ったのですが、日曜美術館のは、カラーで棋士の顔も違ったと思います。撮影アングルも様々に変化していました。
 定跡はスカンジナビアで、これはすぐにポーンを食べ合えるからでしょうね(笑。
Posted by 水野優 at 2007年06月27日 14:36
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