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2007年05月31日

ファイン『チェス棋士の心理学』3 世界チャンピオン エイベ

 8) マックス・エイベ(1901-1981:執筆時存命)は、1901年にオランダのアムステルダム近郊で生まれた。チェスの経歴は早期に始まる。10歳でアムステルダムの1日大会で優勝したが、家族はその神童性を伸ばそうとせず、平穏に学業を全うした。1921年、20歳のときオランダ選手権で優勝する。それほどのレベルに達していたにもかかわらず、1926年に数学の博士号を取得するまではチェスに真剣には取り組まなかった。彼の職業は常に数学教師だったのである。

 エイベが最初に国際的な成功を収めたのは、惜しい敗北だった。1926年にアリョーヒンとのマッチに41/2-51/2で破れたときである。それでも、翌年の世界選手権でのカパブランカよりははるかに善戦したといえる。大会での成績が徐々に向上した後、1935年の世界選手権でアリョーヒンを破った。そして、2年後にリターンマッチでタイトルを失う。

 第二次大戦後、エイベは学校を5年間休職してチェスに没頭する。世界中を旅行して多くの大会に参加したが、その結果はすでに戦前の水準には及ばなかった。

 一個人としても、エイベは昔のチャンピオンたちとひじょうに対照的である。彼は結婚し、3人の子供をもうけ、模範的で、一般的平均と比べてもかなり幸福な人生を過ごしてきた。社会にうまく順応した一般人を超えるような根深い精神的葛藤や心配性の兆しは見られない。

 エイベは職業教師であり、チェス界に対する教師でもあり続けている。過去30年間に渡り、多数の本を執筆し、著名な新聞や雑誌のコラムを編集してきた。

 このような男にとってチェスはどういう役割を果たすのだろうか? 人生の早い時期にチェスと数学という2つの選択肢があった。具体的な違いは、一方は競技でもう一方はそうではないことにある。チェスでは攻撃が知性化され、うまく昇華される。同時に、攻撃は常識的な範囲内に抑えられる。勝利が誇大妄想的征服欲を喚起するわけでもなく、敗北が絶滅に向かうわけでもない。

 エイベの棋風は、用意周到な準備と論理に重点が置かれている。彼は定跡に関する大家であり、序盤を逸脱して指すことはほとんどありえない。逆に、序盤の新手にはひどく驚き、ろうばいする−明らかにそのすべてが対戦相手の知るところとなる。

 学校の先生としての規則正しい生活が、彼の人格に典型的な用意周到さの反映であることは言うまでもない。そのような生活において場違いな戦術的不意打ちは、チェス盤上においても戦術的不意討ちとなるのである。


 今回のみのエイベは常識人だからかおもしろい逸話はないらしい。次回からボトビニク。

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