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2007年03月21日

バルト著、蓮實+杉本訳『映像の修辞学』書評

 ロラン・バルト著、蓮實重彦+杉本紀子訳、『映像の修辞学』(162ページ、'05年9月、ちくま学芸文庫)である。先日書評したホーキング本の直後なので、哲学書を読む気が正直萎えてしまった(汗。
 やはり『エクリチュールの零度』とかを先に読まないとだめのようだ。バルトの翻訳出版が集中した'80年前後はもっぱら図書館で音楽書をあさっていたが、記号論を気にしつつも背表紙を見るだけで終わった。


目次
イメージの修辞学 パンザーニの広告について
 三つのメッセージ
 言語的メッセージ
 外示的イメージ
 イメージの修辞学
写真のメッセージ
 写真のパラドックス
 共示の手法
 1 トリック
 2 ポーズ
 3 被写体
 4 撮影効果
 5 美的配慮
 6 構成法
 テクストとイメージ
 写真の無意味性
映画について 「カイエ・デュ・シネマ」誌によるインタヴュー

ロラン・バルトまたは複数化する断片 蓮實重彦
 断片は誘惑する
 誘惑と媚態
 「突拍子もないもの」
 具象と抽象
 二つの肉体=二度の魅惑
訳者あとがき 訳者
文庫版訳者あとがき 言葉に魅せられた/魅入られた人 杉本紀子

カバー裏表紙より:
イメージは意味の極限である。映像=イメージをめぐる3つのテクスト(2篇の論文と1篇のインタヴュー)が1冊に。広告写真からいくつもの記号を掬い上げ、イコン的なメッセージと言語的メッセージを丹念に読み取ってみせる「イメージの修辞学」。報道写真やグラビア写真などを取り上げ、フォトジェニックな構図・手法、テクストとの関係を記号学的に論じる「写真のメッセージ」。作品の意味が宙吊りになる魅力についてブニュエルの「皆殺しの天使」を引きながら闊達に語る「映画について」。イメージから記号を読み取る鮮やかな手つき、言葉の持つ官能性を存分に味わえるロラン・バルトの独壇場。

カバー表紙見返しより:
ロラン・バルト(Roland Barthes)
1915‐80年。記号のシステムとしてのテクスト分析により、それまでの批評言語を刷新し、現代思想に計り知れない影響を与えたフランスの批評家。当初、“社会的神話学”から出発し、“記号学”“テクスト性”“モラリテ”の時代を経て、テクストの快楽の実践へと至った。1980年、名声の絶頂期に交通事故により死去

蓮實重彦
東京大学大学院博士課程修了。東京大学名誉教授

杉本紀子
東京大学大学院博士課程修了。和光大学表現学部教授。専攻、フランス文化


 「映画について」までがバルトの著作で、この3編をまとめた本書の構成は独自のものである。写真や映画という卑近なテーマゆえに、一流の芸術評論としても読めるが、映画に関しては当該作品を見ておく必要があるだろう。
 蓮實の「ロラン・バルトまたは複数化する断片」は、過去のバルト和訳の問題点等に触れながらもその文体自体がバルトの和訳より翻訳調で、一種のパロディといった風である。その一方で「訳者あとがき」は短すぎる。

 結局、最後の杉本の「文庫版訳者あとがき」がいちばん分かりやすい解説になっている。ソシュール言語学を言語以外にも拡張し、イデオロギーに関してサルトルから影響を受ける。そして、翻訳を拒絶するかのような官能的(バルトはやたらこう形容される)な文体。
 講義中に一学生から方法論について受けた質問を真摯に受け止め、それがきっかけでバルトの関心の方向までもが変わったという話は特に印象深い。見習うべき姿勢だと思った。
映像の修辞学
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ロラン・バルト映画論集 表徴の帝国 明るい部屋―写真についての覚書 エクリチュールの零(ゼロ)度 物語の構造分析
posted by 水野優 at 11:23| Comment(0) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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