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2007年03月14日

ファイン『定跡の背後にある考え方』3 eポーンの定跡 カロカン・ディフェンスその2

 II.3 exd5 cxd5 4 c4 数年前にカロカン・ディフェンスを廃業寸前に追いやった攻撃手順である。

 この攻撃の強さは、直ちに黒のセンターに仕掛けてかつ激しく攻撃する点にある。黒は、他の変化のように惰性的には進めず、直ちに困難の解決を迫られる。それは、センターを維持する方法とクイーン側ビショップの最適な居場所である。...e6でそのビショップを閉じこめると、カロカン・ディフェンスの主たる利点を放棄することになる。しかし、ビショップをf5やg4へ(いずれ)繰り出すと、センターを維持できないかクイーン側がひどく弱体化する可能性がある。これらが、黒が指し手を決めるさいの拠り所となる。

 もちろん、黒はクイーン側ビショップにはかまわず、まずナイトを繰り出すことができる。したがって、4...Nf6 5 Nc3 (d5への圧力を増すので、他のナイトの手より強烈) 5...Nc6. ここで白の手は枝分かれする。6 Bg5でセンターへ圧力をかけ続けると、6...e6がほぼ強制的となる (6...dxc4 7 d5だと、実戦的には黒の負け)。黒がセンターを固めたところで(特に...Be7後)、白が優位を保つ方法は2つある。攻撃を仕掛けるかクイーン側でポーンの数的優位を作り上げるかである。攻撃は 7 Nf3 dxc4 8 Bxc4 Be7で実現し、図15Cのポーン形となる。この場合は他のケースよりさらにやや白がいい。黒のd5支配が完全ではない、つまりそこにピースを置くことは好都合だが、維持するのが難しいのである。クイーン側ポーンの数的優位は 7 c5で始動する。黒は、白のポーン形を ...b6で壊すか弱める必要がある。このような場合は、ポーンを寸断しようとする ...e5を白が許したり、黒の十分な反撃を可能にするほど白自らが窮屈になることがなければ、白は優勢になる。この手の局面はすべて、戦術的にしか解決できない。

 白が6手目で 6 Bg5の代わりに 6 Nf3としても、考え方は基本的に同じである。6...Bg4(この場合はそれほど悪くない)の場合のみ、異なる変化手順となる。このピンが攻撃の邪魔をするので、白は上記のクイーン側ポーンの数的優位を築くか、弱体化した黒のクイーン側につけこもうとする。後者の手筋では白の優位はわずかである。7 cxd5 Nxd5 8 Qb3 Bxf3 9 gxf3 e6 10 Qxb7 Nxd4 11 Bb5+...

図15C
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
チャンスは互角。

 III.3 exd5 cxd5 4 Bd3 もっと穏やかな単純化の手筋だが、IIに比べると将来性に乏しい。通例の 4...Nc6 5 c3後、ポーン形は図15Dとなる。白の強さの根拠はe5の支配だが、早くナイトも利かせるべきである。Bf4に続けてキング側へ駒をなだれ込ませられれば、白の攻撃は強力になる。しかし、その見込みは長くは続かず、終盤へ入ると劣勢になる。黒はクイーン側にかのポーン・マイノリティを擁しているので、bポーンをb4まで進 めて白陣に弱点を作り出すことができる(クイーンズ・ギャンビット参照)。黒は、フィアンケットするか白のキング側ビショップとの交換を画策するかで防御できるが、キング側へのフィアンケットの方が持ちこたえられる。

 したがって、5...Nf6 6 Bf4 g6が最善で、クイーン側ビショップはf5へ繰り出せる。しかし、6...Bg4 7 Nf3 e6 8 Qb3! Qc8 9 Nbd2 Be7 10 0-0 0-0 11 h3 Bf5 12 Rae1 Bg6 13 Bxg6 hxg6 14 Ne5は、白が優勢。この変化は、黒がビショップを繰り出さずに ...e6とする手順よりも白が強力である。

図15D
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
黒のポーン形の方が優勢。

 IV.3 e5 窮屈なポーンチェーンを築くが、窮屈を被るものがないので、フレンチ・ディフェンスのそれとは違って全く使い物にならない。3...Bf5 4 Bd3 Bxd3 5 Qxd3 e6後、黒はフレンチ・ディフェンスの欠点を除いた長所だけを持つことになる。...c5後、黒は最低でも互角になる。f5が、フレンチ・ディフェンスの多くの手筋と同様に、ナイトの強力な拠点となる。(図14B)

図14B(再掲)
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
典型的なフレンチ・ディフェンスの陣形。f5が黒ナイトの強力な拠点になっている。


 V.3 f3 唯一 3 Nc3以外で緊張を維持し、有利な可能性を保持する手である。反撃の応手 3...dxe4 4 fxe4 e5! 5 Nf3 exd4 6 Bc4!は、黒のf7が攻撃にさらされるが、3...e6だとフレンチ・ディフェンスの手筋にいずれ移行する。白は緊張をいつまでも維持できないからである。

 白の変則的な2手目は、数少ない新たな考え方をもたらす。最も興味深いのは 2 c4で、黒はしばしば手得と引き換えにdポーンを捨てる。例えば、2...d5 3 exd5 cxd5 4 cxd5 Nf6 (4...Qxd5は通常の変化へ)。余剰ポーンを戦術的に利用する可能性が生まれる。白はこのポーンに執着する(通常うまくいかない)か、黒に弱点を作るために捨てるかを選択できる。例えば、5 Bb5+ Nbd7 6 Nc3 g6 7 Nf3 Bg7 8 d6! exd6 黒のdポーンが標的となる。

 手順前後で不都合な序盤に移行することも避けねばならない。2 Nc3 d5 3 Nf3 e6? 4 d4だと、フレンチ・ディフェンスの黒が不利な一変化になる。そうならないようにきちんと展開すれば互角にできる。

 注目すべきことに、カロカン・ディフェンスには、クイーンズ・ギャンビットと多くの類似点がある。ポーン形図15Cは、クイーンズ・ギャンビット・アクセプテッドから起こりうるし、図15Dはコーレ・システムから生じることもある。


 IIはカロカンで最も激しいパノフ・ボトビニク・アタック。IV(アドバンス・バリエーション)がV(ファンタジー・バリエーション)より低評価なのが意外だ。フレンチのアドバンスよりカロカンのアドバンスの方が、黒が ...c5でセンター崩しをすると手損になる点では悪くない。次回からシシリアン・ディフェンス。
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この記事へのコメント
カロカン、フレンチ。e4はいろいろ勉強しないと。

当方も書き込みを休止してました。PC復帰後プロバイダー(Oらら)から突然電話が。「ひかりにしませんか」工事費無料、Oヶ月無料等につられて、NTTの工事。ところがインターネット接続がエラー。それから4日間Oららに電話したがつながらない。今やっと接続できました。原因はむこうのミス。
「プロバイダーのアフターサービスはひどい」
Posted by kathmanz at 2007年03月14日 19:44
 こちらもADSLの変更は面倒なので何とか安いプラン(IP電話なし)に変更しただけです。でも安くなるキャンペーン期間にまた変更したい。
 面倒でもしょっちゅう変えた方がキャッシュバックや無料期間で得になるようですね。
Posted by 水野優 at 2007年03月15日 14:17
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