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2007年01月31日

ソコルスキー『現代定跡の理論と実践』Spassky-Arutiunian

Spassky-Arutiunian スパルタキアド 1955 ルイ・ロペス スミスロフ・ヴァリエーション

 1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 Bb5 a6 4 Ba4 Nf6 5 0-0 Be7 6 Re1 b5 7 Bb3 d6 8 c3 0-0 9 h3 h6

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1bq1rk1/2p1bpp1/p1np1n1p/1p2p3/4P3/1BP2N1P/PP1P1PP1/RNBQR1K1 w - - 0 10

 スミスロフが提唱したピースの再構築を準備する手。黒は、...Re8, Bf8としたいが、すぐに 9...Re8では 10 Ng5とされる。

 10 d4 Re8 11 Nbd2 Bf8

 スミスロフ・ヴァリエーションの基本局面。黒は、gポーンを強化しただけでなく白のeポーンに圧力を加えている。これは黒番でスパスキーがよく指す変化で、ケレスのような強豪に対してマッチで用いた。

 12 Nf1

 Keres-Spasskyマッチ第2戦では、12 a3 Bd7 13 Ba2 a5 14 Qb3 Qe7 15 Nf1 a4 16 Qc2 g6 17 Ne3 Bg7. キング側ビショップをフィアンケットした黒が優勢。

 12... Bd7

 センターポーンをかすめ取ろうとするとピース損になる。例えば、12...exd4 13 cxd4 Rxe4? 14 Rxe4 Nxe4  15 Bd5!.

 13 Ng3

 ポーン交換 13 dxe5がKeres- Spasskyマッチ第4戦で生じたが、白には何ももたらさなかった。13...Nxe5 (13...dxe5も悪くない) 14 Nxe5 dxe5 15 Qf3 c5 16 Rd1 c4 17 Bc2 Qe7 全く十分な黒は、以下の白の弱い手以降優勢になる。18 b3 cxb3 19 axb3 Rec8 20 Bb2 a5 スパスキーが主導権を取った。

 13... a5 14 Bd2 a4 15 Bc2 Na5

 黒はナイトをc4に据えたく、白はこれを阻止する。

 16 b3! axb3 17 axb3 c6

 後にもう1手かけて ...c5とするので、手損である。

 18 Be3 Qc7 19 Nd2 c5 20 d5 b4

 20...b4は急がなくてもよく、20...Nb7で緊張を維持した方が良かった。

 21 cxb4 cxb4 22 Bd3 Rec8 23 Qe2 Qb7

 さもないと 24 Ba6!. しかし、もうほとんどの黒ピースはクイーン側へそらされているので、白のスパスキーは、aファイル上の圧力とキング側への攻撃を組み合わせて優勢になる。

 24 Ra2 Be7 25 Rea1 Bd8 26 Nh5! Nh7

 黒はナイトを交換したくない。26...Nxh5 27 Qxh5後にh6でサクリファイスされる恐れがあるからである。しかし、交換は必須だった。

 27 Qf3 Nf8

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1rb1nk1/1q1b1pp1/3p3p/n2Pp2N/1p2P3/1P1BBQ1P/R2N1PP1/R5K1 w - - 0 28

 ここまでは平穏な駒繰りが続いているが、驚くべきサクリファイスの連続がゲームの性格を一変させる。

 28 Rxa5! Bxa5 29 Rxa5 Rxa5 30 Bxh6! Nh7

 最後のサクリファイスには応じられない。30...gxh6 31 Qf6で、メイトが避けられないからである。f6を守っていた黒マス・ビショップがなくなったのが致命的。

 31 Nxg7 f5

 自暴自棄! しかし、Qg3の脅威に対して満足に守れない。

 32 exf5 Kh8 33 Nh5 Rg8 34 f6! 1-0

 34...Raa8としても、35 Bg7+ Rxg7 36 fxg7+ Kg8 37 Qe4 Ng5 38 Qg6で、完膚無き 39 Nf6#の狙い。


 最後あたりの「自暴自棄」は原文desperationである。あまりお目にかからないし、一般語から十分類推できる用法はチェス用語とするほどでも なさそうだ。「悪あがき」としてもいいだろうが、31...f5には駒損してもクイーンの横利きで守りを強化する狙いがあり、全くでたらめのはったりというわけではない。
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