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2007年01月16日

ソコルスキー『現代定跡の理論と実践』Stein-Spassky後半

 前半の手順:
 1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 Bb5 a6 4 Ba4 Nf6 5 O-O Be7 6 Re1 b5 7 Bb3 O-O 8 c3 d5 9 exd5 Nxd5 10 Nxe5 Nxe5 11 Rxe5 c6 12 d4 Bd6 13 Re1 Qh4 14 g3 Qh3 15 Be3

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1b2rk1/5ppp/p1pb4/1p1n4/3P4/1BP1B1Pq/PP3P1P/RN1QR1K1 b - - 0 15

 マーシャル・ギャンビットのほとんどのゲームは、実質的にはこの局面から始まる。黒のすべてのピースが白のキングに狙いを定めている。クイーン側ビ ショップがすぐにg4へやって来て、クイーン側ルックはe8経由でe6に繰り出す。白は、敗北を防ぐためにはかなりの正確さが要求される。本局で指されたように、一つの防御手段は白がクイーンをf1へ運ぶことである。

 15... Bg4

 Boleslavsky-Saiginベラルーシ選手権1961では、黒が興味深い展開をした。15... h5 16 Qf3 h4 17 Nd2 Bg4 18 Qg2 hxg3 19 fxg3 Qh5. ここでは 20 Bd1としてビショップを交換すべきで、それなら防御しやすかった。

 16 Qd3 Rae8

 黒には他の攻撃方法もある。例えば、16...f5 17 f4 (...f4を防ぐために必須) 17...Rae8 (弱いのは 17...g5 18 Qf1 Qh5 19 Nd2 Kh8 20 Bxd5 cxd5 21 fxg5 f4 22 Bxf4 Bxf4 23 gxf4 Bh3 24 Qe2! クイーン交換後、白は攻撃を駆逐) 18 Nd2 Kh8 19 Bxd5 cxd5 20 Qf1 Qh5 21 a4! g5 22 axb5 axb5 23 fxg5 Rxe3(!) 24 Rxe3 f4 25 gxf4 Bxf4 26 Rg3 Qxg5 27 Kh1 Rg8 28 Nf3 Qf5 ここで白は 29 Ne5で優勢になれた。Boleslavsky-Talソ連チーム選手権1962.
 チェコスロバキアのプレーヤーたちは、無線同時対局で巧妙な作戦を使った。Tal-Trapil 1961では、16...g5! 17 Bxg5 f5 (サクリファイスの意味は、白が 18 f4とできないこと。18...h6 19 Bh4 Bxf4) 18 Qf1 Qh5 19 f4 Rae8 20 Nd2 Kg7 21 Bxd5 cxd5 ここで白は 22 Qf2とすべきだった。黒が2つ目のポーン・サクリファイスを正当化するのは難しくなっただろう。
 最後は、Spassky-Gellerマッチ1965で試みられた新しい変化である。16...Nxe3 17 Rxe3 c5 18 Bd5 Rad8 19 Nd2 Bb8 20 Bg2 Qh5 混戦。

 17 Nd2 Re6

 Valiev-Mamatovソ連スパルタキアド1963では、17...f5 18 f4 Kh8 19 Bxd5 cxd5 20 a4 g5 21 Qf1 Qh5 ここで 22 axb522...a5!で、白にa6でポーンを取らさない。23 Qf2 Re4! 24 Nxe4 fxe4 黒が攻勢。

 18 a4

 他の防御には 18 Qf1がある。 Suetin-Geller第31回ソ連選手権1963では、18...Qh5 19 a4 bxa4 20 Rxa4 f5 21 c4!? 途方に暮れる混戦。21...f4! 22 cxd5 Rxe3 23 fxe3 fxg3 24 dxc6+ Kh8 25 hxg3! Rxf1+ さらに激しい交換後、ドローに終わった。

 18... bxa4

 黒のクイーン側ポーンが弱体化する。Tal-Spasskyマッチ1965の最初のゲームでは、18...Qh5! 19 axb5 axb5 20 c4 (20 Nf1の方がいい) 20...bxc4 21 Nxc4 Bb4 22 Rec1 Be2 23 Bd1 ここから黒は互角にできた。23...Bxd3 24 Bxh5 Bxc4 25 Rxc4 Nxe3 26 fxe3 Bd2.

 19 Rxa4 f5 20 Qf1!

 Novopashin-Spassky第31回ソ連選手権1963では、早く決着が付いた。20 f4 Bxf4! 21 Bf2? Rxe1+ 22 Bxe1 Re8 0-1.

 20... f4 21 Qxh3 Bxh3

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
5rk1/6pp/p1pbr3/3n4/R2P1p2/1BP1B1Pb/1P1N1P1P/4R1K1 w - - 0 22

 一見すると、黒の攻撃は狙いを達成したかと思われる。22 gxf4 Rg6+ 23 Kh1 Bg2+ 24 Kg1 ここで黒は 24...Bh3+で強制的にドローにできるし、24...Be4+ 25 Kf1 Bd3+で勝利を目指すこともできる。しかし、Steinは驚くべきピース・サクリファイスを用意していた。

 22 Rxa6! fxe3 23 Rxe3!

 23 fxe3は良くない。23...Bb8 24 e4 Kh8から、黒にはfファイルにルックを重ねる狙いがある。

 23... Rxe3

 23...Nxe3には 24 Rxc6!.

 24 fxe3

 ここで黒は、25 Rxc6と 25 e4に対して防御しなければならない。

 24... Be7 25 Rxc6

 優位がなくなるミスである。好手は 25 e4! Bg5 26 exd5 Bxd2 27 dxc6+ (Parma-Spasskyユーゴスラビア対ソ連マッチ1965).

 25...Bg5! 26 Bxd5+ Kh8

 白はかなり駒得だが、27...Bxe3+の狙いがあるため、ある程度駒を返す必要がある。

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
5r1k/6pp/2R5/3B2b1/3P4/2P1P1Pb/1P1N3P/6K1 w - - 0 27

 27 Bg2!

 27 Nf3?としたくなるが、これは敗北へ向かう。27...Bxe3+ 28 Kh1 Ra8! 29 Ng1 Ra1. この変化では、すべてが黒に有利に働いている。白のルックがビショップのh1〜a8ダイアゴナルを邪魔している一方で、黒のビショップは急所のc8マスを 守っている。

 27... Bxe3+ 28 Kh1 Bxg2+ 29 Kxg2 Bxd2

 混戦の結果、白の3つのポーンと黒の余剰ピースが均衡を保つ終盤に到達し、ドローとなる。

 30 b4 g5 31 g4 Be1 32 d5 1/2-1/2.


 知る人ぞ知る強豪シュタインとマーシャル・ギャンビットを仕掛けるスパスキーのゲーム、2回に分けても見応えがありました。黒17手目変化の解説「白にa6でポーンを取らさない」も、最後まで読めば意味が分かりますね。プロブレムのような終盤もおもしろい。
Leonid Stein: Master of Risk Strategy
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この記事へのコメント
マーシャルアタックはやっぱ楽しいなあ。ソコルスキーの選局センスも良いですね。
解説をNunnの本と比べてましたが、ぜんぜん古くないです。
Posted by maro_chronicon at 2007年01月19日 02:38
 本局はややサイドラインに入ったからでしょうが、この解説は現代でも通じると思っていました。
 この連載、特にタリをたくさん紹介できるのが私も楽しみです。
Posted by 水野優 at 2007年01月19日 18:22
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