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2006年12月13日

エドワード・ラスカー『チェス戦略』2部ゲーム48

ゲーム 48

白:ブラックバーン 黒:ニムツォヴィッチ

変則オープニング

1 e3 d6

 黒の応手のせいで変則的な序盤になった。1...d5とすれば、無難なクイーンポーンの定跡になったか、2 f4後にダッチ(バード)・オープニングになっただろうに。

2 f4 e5 3 fxe5 dxe5

 黒が優勢になった。センターにポーンがあり、ピースの自由度も勝っている。

4 Nc3 Bd6

 前例があったように、ビショップよりナイトを先に繰り出す方がやや良い。ナイトの方が、指し手の選択肢が制限されているからである。4...Nf6 5 Nf3 Bg4 6 Be2 Nc6の可能性もあった。

5 e4

 白もセンターにポーンを進めたが、展開で1手後れている。

5... Be6 6 Nf3 f6 7 d3 Ne7 8 Be3 c5 9 Qd2 Nbc6 10 Be2 Nd4 11 0-0 0-0 12 Nd1 Nec6 13 c3

 黒はd4を支配して優位に立った。白のcポーンの前進は、居座る黒のナイトに指さされたようなもので、白はdポーンが「出遅れ」になってしまう。

13... Nxe2+ 14 Qxe2 Re8

 ここで 15 d4だと総交換後に ...Bd5でeポーンを失う。

15 Nh4

 白のキング側での反撃が脅威になってきたので、黒はクイーン側での作戦を細心の注意をもって続けねばならない。黒は、キング側の防御のためにいつピースを集結させることになるか分からないからである。

15... Bf8 16 Nf5 Kh8 17 g4 Qd7 18 Nf2 a5

 黒は、クイーン側のファイルを開きたい。

19 a3

 クイーン側ルックを(aポーンの守りから)解放する。

19...b5 20 Rad1 Rab8 21 Rd2 b4 22 axb4 axb4 23 c4 Ra8 24 Qf3 Ra2

 白のdポーンの弱さにつけ込んでクイーン側での優位を目指す前に、黒は、白が危険な戦力を結集したキング側に気をつけるべきである。24...Ra2後、ルックは全く蚊帳の外となる。

25 g5 g6?

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図167
4rb1k/3q3p/2n1bpp1/2p1pNP1/1pP1P3/3PBQ2/rP1R1N1P/5RK1 w - - 0 26

 黒は単純に 25...fxg5とすべきだった。26 Bxg5 Nd4 27 Nxd4 Qxd4 28 Be3 Qd6. 25...g6後は、白の攻撃が圧倒的になる。

26 Ng4!

 白は2つのナイトと引き換えに1つのルックと2つのポーンを得る。これ自体は等価交換である。しかし、この状況では決定的に白に有利となる。黒は、手薄なキングの守りにルックをもどすのに手数がかかるから。

26... gxf5 27 Nxf6 Nd4

 27...fxe4なら、28 Qh5 Qf7 29 g6 Qxg6+ 30 Qxg6から Nxe8で白勝ち。

28 Qf2 Qc6 29 Nxe8 Qxe8 30 Bxd4 exd4 31 exf5 Bd7 32 Re1 Qf7 33 Qh4! Ra8

 33...Bxf5は、34 Rf2から Ref1とされて良くない。

34 Rf2 Bc6 35 Qg4

 g6でhファイルを開いて両ルックでキングを攻撃する狙い。

35... Re8 36 Rxe8 Qxe8

 ...Qh5とするために 36...Bxe8の方が良かっただろう。クイーンがなくなれば、2ビショップを持つ黒に勝つチャンスも生まれる。しかし、白は交換を避けて 37 Qf4後にルックでeファイルを制圧するかもしれない。

37 Re2 Qd7 38 Re6 Ba8

 ...Qb7か ...Qa7とするため。

39 g6! hxg6

 39...Qb7 40 Re8!, 39...Qa7 40 Qh4. いずれも白の勝ち。

40 Rxg6 Qh7 41 Qg3

 狙いは Qe5+.

41... Qh5 42 Rg4! 1-0


 2部(ゲーム集)の途中からブログ更新と平行したからとはいえ、最初に翻訳し始めたこのエドワード・ラスカーの『チェス戦略』、やっと終わりました(最後の定跡表はブログでは割愛)。実は序文や最初のルールが未訳ですが、おいおいHPでのみ補完します。
 次回からは、ソコルスキーの『現代定跡の理論と実践』から本ブログで連載していた第2部の定跡解説で、「別ゲーム」として割愛していた実戦解説を紹介していきます。年代はこれよりずっと新しくなり、旧ソ連のレアなChessGames.comにもないゲームも出てきます。
posted by 水野優 at 00:35| Comment(2) | Ed.Lasker『チェス戦略2』実戦(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
HPへのアップ、期待しています。
当方は、アジア大会が終わりmixiのトピックも一段落。ブログを続けるのはしんどいです、正直。Email戦が一局残っているのですが返信が滞り相手に迷惑をかけています。
Posted by kathmanz at 2006年12月16日 08:19
 うちのコンテンツにはちゃんとしたルール記述がないのでいちおうやっておかねばとは思っています。
 mixiでのブログとは日記かコミュニティの掲示板ですか? 今日は松戸の忘年会ですね。日頃行かない私が、拠出金の充当をあてにして行きたいところでしたが、昨日のカラオケでこの更新も止まるほどヘロヘロになってます(汗。
Posted by 水野優 at 2006年12月17日 10:48
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