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2006年10月25日

エドワード・ラスカー『チェス戦略』第2部ゲーム41

ゲーム 41

白:ニムツォヴィッチ 黒:タラッシュ

クイーンズ・ギャンビット・ディクラインド

1 d4 d5 2 Nf3 c5 3 c4 e6 4 e3 Nf6 5 Bd3 Nc6 6 0-0 Bd6 7 b3 0-0 8 Bb2 b6 9 Nbd2 Bb7 10 Rc1 Qe7 11 cxd5

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  a b c d e f g h  
r4rk1/pb2qppp/1pnbpn2/2pP4/3P4/1P1BPN2/PB1N1PPP/2RQ1RK1 b - - 0 11

 クイーン側ナイトをc3ではなくd2へ繰り出す場合は、Ne5から f4と続けるのが最もありふれた手順である。11 Ne5に対して、11...cxd4 12 exd4 Ba3で、dポーンを弱めることはまだできない。13 Bxa3 Qxa3 14 cxd5 Nxe5 15 dxe5 Nxd5 16 Nc4から Nd6とされるからである。

11... exd5 12 Nh4

 黒に弱点となる ...g6を指させようとしている。そうなれば、白にはa1〜h8の大ダイアゴナル上の攻撃チャンスが生まれるが、明らかに2手をむだにした。黒は、白の 不利を展開で大いに上回ることができる。

12... g6 13 Nhf3 Rad8

 13...Ne4はまだ早い。14 dxc5 bxc5? 15 Bxe4 dxe4 16 Nxe4.

14 dxc5

 白陣は居心地が悪く、満足な変化を見つけるのが難しい。忍耐強いプランなら、Qe2, Rfd1, Nf1-g3がおそらく最善だったろう。14 dxc5はクイーン側で仕掛ける準備だが、黒のセンターでの見晴らしを良くさせてしまった。

14... bxc5 15 Bb5

 白は、...d4をサポートする黒のナイトを消したい。

15... Ne4 16 Bxc6 Bxc6 17 Qc2

 白は来るべき災難に気付いていない。さもなければ g3としただろう。その場合でも、2ビショップがあってクイーンとナイトが好配置の黒が優勢だが。

17... Nxd2

 メイトを狙う見事なコンビネーションの始まり。

18 Nxd2 d4!

 白がクイーンでナイトを取り返しても、黒はこの手を選んだだろう。

19 exd4

 19 e4の方がまだましだが、黒の攻撃は 19...f5から 20 f3 Bf4...で圧倒的となる。

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
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  a b c d e f g h  
図159
3r1rk1/p3qp1p/2bb2p1/2p5/3P4/1P6/PBQN1PPP/2R2RK1 b - - 0 19

19... Bxh2+!! 20 Kxh2 Qh4+ 21 Kg1 Bxg2!

 エマヌエル・ラスカーも、同様の2ビショップ・サクリファイスを決めたバウアーとのゲーム(アムステルダム、1889年)で栄誉を称えられている。おそ らくそういう事情で、このタラッシュの名局は、ペトログラード大会(1914年)では名局賞の2位に甘んじたのだろう。

22 f3

 22 Kxg2なら、22...Qg4+ 23 Kh1 Rd5 24 Qxc5 Rh5+ 25 Qxh5 Qxh5+ 26 Kg2 Qg5+から ...Qxd2.

22... Rfe8

 22...Qg323 Ne4でだめ。

23 Ne4 Qh1+ 24 Kf2 Bxf1 25 d5 f5 26 Qc3 Qg2+ 27 Ke3 Rxe4+! 28 fxe4 f4+

 28...Qg3+の方が黒は2手早くメイトにできる。

29 Kxf4 Rf8+ 30 Ke5 Qh2+ 31 Ke6 Re8+ 0-1

 32 Kd7 Bb5# または 32 Kf6 Qh4#.

脚注:エマヌエル・ラスカー対バウアー:1 f4 d5 2 e3 Nf6 3 b3 e6 4 Bb2 Be7 5 Bd3 b6 6 Nc3 Bb7 7 Nf3 Nbd7 8 0-0 0-0 9 Ne2 c5 10 Ng3 Qc7 11 Ne5 Nxe5 12 Bxe5 Qc6 13 Qe2 a6 14 Nh5 Nxh5 15 Bxh7!! Kxh7 16 Qxh5+ Kg8 17 Bxg7! Kxg7 18 Qg4+ Kh7 19 Rf3 e5 20 Rh3+ Qh6 21 Rxh6 Kxh6 22 Qd7 そして白勝ち。


 ハイパーモダン派の新鋭ニムツォヴィッチと古典派の末裔タラッシュ、論敵同士の戦いはタラッシュの力業に軍配が上がった。そういえば新しいMy Systemはamazon発売後すぐに3〜5週間待ちの実質品切れに。また翻訳は先送りだ(汗。
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posted by 水野優 at 00:06| Comment(0) | Ed.Lasker『チェス戦略2』実戦(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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