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2006年10月18日

エドワード・ラスカー『チェス戦略』第2部ゲーム40

ゲーム 40

白:ルービンシュタイン 黒:カパブランカ

クイーンズ・ギャンビット・ディクラインド

1 d4 d5 2 Nf3 c5 3 c4 e6 4 cxd4 exd4 5 Nc3 Nc6 6 g3 Be6 7 Bg2 Be7 8 0-0 Rc8

 8...Rc8は、この時点ではふさわしくない。むしろ、類似の局面でよく生じるコンビネーションを許すことになる。つまり、黒のクイーン側ビショップを交換されて残ったeポーンが、白のキング側ビショップにh3〜c8ダイアゴナルから圧力を受けるのである。8...Nf6とすれば、その後の白にいかなる優位があるとも言いがたい。

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図157
2rqk1nr/pp2bppp/2n1b3/2pp4/3P4/2N2NP1/PP2PPBP/R1BQ1RK1 w k - 0 9

例えば、9 Bg5 Ne4 または 9 Be3 Ng4 または 9 a3 または 9 dxc5 Bxc5 10 Bg5 Be7. しかし、9 dxc5に対してクイーンで取り返すのは良くない。E. コーン対Ed. ラスカー(マッチ、1909年)では、9...Qa5 10 Ng5 Qxc5 11 Be3 Qa5 12 Qb3 この後、黒はポーンを1つ捨てねばならない。12... 0-0-0 13 Nxe6 fxe6 14 Bh3...

9 dxc5 Bxc5 10 Ng5 Nf6 11 Nxe6 fxe6 12 Bh3 Qe7 13 Bg5

 13 e4から exd5後に Bg5を狙う方が強力である。13...d4は 14 Nd5でとがめられる。

13... 0-0 14 Bxf6 Qxf6

 ここから、白が時機を見計らった複雑なコンビネーションでポーン得になる。カパブランカは、ルービンシュタインの巧妙な17手目を考慮していなかった。そうでなければ、すぐにポーンで取り返しただろう。しかし、その場合でも白の優勢は終盤まで続く。15 Nxd5 exd5 16 Qxd5+ Kh8 17 Bxc8. キング側が開けているので、白の両ルックがやがてそこで活躍できる。

15 Nxd5 Qh6

 15...Bxf2+はだめ。16 Kg2 Qf7 17 Nf4!

16 Kg2 Rcd8 17 Qc1

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図158
3r1rk1/pp4pp/2n1p2q/2bN4/8/6PB/PP2PPKP/R1Q2R2 b - - 0 17

17... exd5

 17...Rxd5なら、白はクイーンを交換してから Bxe6+とする。

18 Qxc5 Qd2 19 Qb5 Nd4 20 Qd3

 1ポーン得なので、白はクイーン交換を強要する。黒は拒否できない。20...Qxb2は 21 Rfb1でナイトを取られるし、20...Qb4は 21 Rfd1から Be6+でdポーンを失う。

20... Qxd3 21 exd3 Rfe8 22 Bg4

 22 Rfe1では、黒ルックの侵入を防ぐことができない。22...Nc2 23 Rxe8+ Rxe8 24 Rc1 Re2 25 Bg4 Rd2. 黒はポーンを取り返し、ナイト対ビショップの終盤さえ有利に運びかねない。

22... Rd6 23 Rfe1 Rxe1 24 Rxe1 Rb6

 黒は、まずキングをf6まで動かして白のルックがe5に来られないようにすべきである。dポーンだけが最重要ではなく、bポーンでもその埋め合わせは十 分できる。しかし、ナイトが威圧的な位置から追い払われれば、居心地の悪かったビショップが復活する。24...Rb6後でさえ終盤戦はひじょうに難解なため、勝利に導くためには ルービンシュタインの全力プレーが要求される。

25 Re5 Rxb2 26 Rxd5 Nc6 27 Be6+ Kf8 28 Rf5+ Ke8 29 Bf7+ Kd7 30 Bc4 a6

 黒の唯一の望みはクイーン側の余剰ポーンである。ナイトをビショップと交換するために 30...Kd6 31 Rf7 Ne5 32 Rxg7 Nxc4とするのは、最も大事な時間の浪費となる。白はその間にキング側を掃除してからhポーンを進め、クイーンをできるだけ早く作るために最終的には黒 の残っているポーンとルックを交換する。その後は、3つのパスポーンが黒のルックにたやすく勝てる。このようなルックの終盤では、できるだけ早くパスポーンを作るために数が多い側のポーンを進めるのが、一般的に賢明である。そうすれば、敵のルックはパスポーンがクイーンにならないように牽制せねばならず、相手の優勢なポーンに直面したときでも、より動きやすい自軍のルックが負けを防げることが多い。

31 Rf7+ Kd6 32 Rxg7 b5 33 Bg8 a5 34 Rxh7 a4 35 h4 b4 36 Rh6+ Kc5 37 Rh5+ Kb6 38 Bd5 b3

 白はルックを捨ててポーンを取る狙いだが、まだ有効ではない。Bc4から Rb5+, h5-6等としなければならない。38...b3後、白はプロブレムのような精緻な手順を披露した。

39 axb3 a3 40 Bxc6

 40...a2なら、白は単純に 41 Rb5+ Ka6 42 Rb8から Ra8

40... Rxb3 41 Bd5 a2 42 Rh6+ 1-0

 白のルックがaポーンを逃がさないからである。例えば、42...Ka5 43 Bc4から Ra6+、または 42...Ka7 42 Rh8...


 カパブランカの見落としそうな序盤の緩手をとがめたまま、カパの聖域終盤戦でそのまま押し切ってしまうルービンシュタイン。生涯34敗しかしてないカパとの初対戦での勝利である。ルービンシュタインの本、やっぱり買わねば(買ってないんかい)。
 Chess Fundamentalsを翻訳用にいつ買い直そうかと思ってたらPrimer of Chessもあったかあ。
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posted by 水野優 at 00:12| Comment(0) | Ed.Lasker『チェス戦略2』実戦(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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