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2011年10月22日

トーマス・ベルンハルト/岩下真好訳『破滅者 グレン・グールドを見つめて』書評

 いずれグールドをモデルと した人物が登場する映像作品を作るつもりなので、ちょっと気が早いが借りてきて読んだのだが、じつにひどい小説だった。今月の帰省の車中から読み始め、途 中で何度やめようかと思ったが、やめておいたほうが良かった。

 作家はオーストリアの劇作 家、小説家、詩人で、正規の音楽教育も受けている。'82年のグールドの訃報を聞いてから1年余りで書き上げて'83年に発表した話題作だが、自国の政 治、国民、風土をぼろくそにけなす(ウィキペディアによると)持ち前の過 激ぶりが全面に出ている。
 訳者はドイツ語を専門とす る音楽評論家だが、いくら本 書がグールドの十八番「ゴルトベルク変奏曲」の小説版だと解釈できるとしても、「…だっけ、と、私は思った」のような表現を何百(誇張ではない)も訳でそ の通りに再現されてはたまらない。それを別にしても訳は稚 拙レベルだ。ドイツ語の翻訳家はどれほど不足しているのだろう。

 私は、グレン・グールドの 音楽が好きな人が本書を読む必要は全くないと断言する。私は、この作家と訳者の他の本を今後読むことはない。ストーリーという殻をかぶって作家自身のルサンチマンをぶちまける、こんな読みにくい だけの散文小説でプロとしてやっていけるのが不可思議だ。
 もちろん、直接的な表現を 避けるために芸術という形を 取るなら普通のことだが、この作者は主人公にそれを一人称で語らせているから、直接表現と変わらない。それほど自国に文句があるなら政治家になるか、国外 へ移住すればいい。

 最近は動画制作のための実 用書を読むことが多くなったし、これをきっかけにますますそうなるだろう。1並びの2011年11月11日に、水野倶楽部の初作品としてチェストランス出版 のCM第1弾を発表する予定 だ。

破滅者―グレン・グールドを見つめて
トーマス ベルンハルト Thomas Bernhard
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posted by 水野優 at 17:57| Comment(6) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チェストランス出版が日本の「アップル社」になる日も近いかもしれない・・・なんていう意味不明のコメントじゃなくて・・・

本日「161ミニチュア集」届きました。
実は、この英語版私は持ってました。
チェスを始めて1年もたたないころにある方からいただいたものです。
やはり、日本語は読みやすいです。それに棋譜も代数式で読みやすいし。そのうちに「皇帝掲示板」に宣伝に行ってきます。
Posted by ちぇすのすけ at 2011年10月22日 20:53
 お買い上げありがとうございます。原書は隠れた名著という感じですね。ミニチュアでこれほどレベルの高いものはないような気がします。始めて1年のときだと難しかったでしょうが、簡単な定跡書代わりにもなりますね。

 皇帝掲示板の話になりますが、TBSはあのカラフルででかいチェス駒をよく使っていますよ。国旗のデザインのなどは、私もCGで作ってみようかと思います。

 アップルファンではないけど、ジョブズに言われる前からhungry & foolishです。どん欲というより腹が減ってるだけかも(笑。

 動画制作の水野倶楽部は数年前から構想していたのに翻訳のせいで遅れてしまいましたが、どうせなら出版のCMを作れば一石二鳥という結論に。
Posted by 水野優 at 2011年10月22日 23:54
社長さん〜!
皇帝掲示板に営業に行ってきました〜!
なにしろ閑古鳥が鳴いている(?)ところなので、効果は分かりませんですけど。
それから、アマゾンのページには早速五つ星評価のコメントが出ましたね。こりゃ増刷のの準備をしないと・・・なんてまだ早いかな?

チェストランス出版社の動画CMが出来たとして、どこで発表しますか?
チェス関係の(関係なくても?)掲示板にドカドカ入れるとか・・・、まさか本ブログとHPチェストランスだけじゃないですよね。
Posted by ちぇすのすけ at 2011年10月25日 18:47
 営業どもです(笑。amazonレビューは影響が大きいのでありがたいです。
 新刊のたびに前の本もついでに買っていただけるようで、ラインナップが増えれば相乗効果は期待できます。

 CMはもちろんYoutubeやニコニコ動画に上げます。ここにも張りますが、それでは集客になりません。
 まあ、買う層が限られている本を動画で宣伝しても労力に見合いませんが、動画制作そのものをまず楽しんで(今は修行中)いるわけで、一般の関心をチェスに向けさせる効果はあるでしょう。

 世界に通じる日本のチェス動画にご期待ください。
Posted by 水野優 at 2011年10月26日 12:12
こんにちは・・^^
初めてお便りさせていただきます・。

(もう英語が苦手だからチェスを勉強できないとは言わせない)・・・^^;
この強烈なインパクトに日本語の本があるのかと、勢いこんで「チェス終盤の基礎知識」、「実戦的スタディ集」、「チェックメイトの技法」をとりあえず購入して今コツコツと勉強してます・・^^;
一年半も過ぎようとしてるのに、レイティング1500あたりをうろうろしてます・・・ww
なかなか身につかないもんだな〜と思いながらも本と毎日格闘と言うか自分との格闘してます・・・w
でも日本語で読めるのは凄く助かってます・・^^
要望といいましょうか・・今ひとつ欲しいものはopeningの解説書はないでしょうか・・?
僕は英語が全くだめなもんで・・w・・
水野さんのopeningの解説書を出してほしいと切に希望します・・。(出来れば変化が沢山載ってるもの)・・^^;
ながながと書いてしまいましたが、これからもがんばってくださいね・・・^^!

Posted by ponta at 2011年11月16日 13:00
 初めましてpontaさん。
 3冊もお買い上げいただき、ありがとうございます。

 1年半で1500は悪くないと思いますが、最近停滞気味ということですね。うちの訳本は初級→中級向けですから、ここからは実戦やもっと高度な戦略本等で学んでいかれる必要もあるかと思います。相手がウェブかソフトかOTBか、早指しかどうかも重要な要素です。

 ちょうど次に予定している序盤本を半分まで訳したところです。しかし古さと変化の少なさを補足するくらいなら自分でまとめるほうがいいと思い、来年いっぱいまでで定跡書を書くことにしました。記事にも書きます。

 応援ありがとうございます。
Posted by 水野優 at 2011年11月16日 15:33
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