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2006年08月26日

メイソン『チェスの技術』第2部コンビネーション:図134〜137

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図134
r7/3q1k1p/2p2p2/p1Pp2p1/Pp1P2P1/1P2RN1P/5PK1/4R3 w - -

 両ルックとナイトの連合は、クイーンとルック組を凌駕する。フレンチ・ディフェンスから。

1 Nh2 h5? 2 gxh5! Rf8 3 Ng4 Qd8 4 Nh6+ Kg7 5 Nf5+ Kh8 6 Re7 Rg8 7 Ra7

 そして7段目にもう一つのルックが侵入すれば楽勝である。
 黒がナイトをf5に来させまいとする試み 1...h5は功を奏さない。ポーンがh4まで到達できたとしても、ナイトにはe3経由の進入路もあるからである。黒の最大の誤りは、その前に ...g5としてしまったことである。f5にナイトがいるために全く反撃ができず、黒のクイーンとルックは白の戦力に圧倒されている。クイーンの価値は、実質的にはルック並に下がっている。
 7 Ra7後は 7...Re8もかなわない。8 Nd6!で、白が最低でもエクスチェンジ得になるからである。

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図135
4R3/1pp2p1n/1p4qk/4QR1p/1P2P1rP/1BP3P1/P2r4/5K2 w - -

 見事なコンビネーション。ジオッコ・ピアノから。

1 Rg8! Qxg8 2 Rxh5+ Kg6 3 Qf5+ Kg7 4 Qxg4+ Kh8 5 Qf4 Qd8 6 Bd5 Rb2 7 Qxf7 白勝ち。

 白は 1 Rh8で 2 Rxh5+や 2 Rxh7+を狙っても勝つことができた。
 黒の連係に欠ける陣形に注目されたし。

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図136
5r1k/1pp3pB/1p2b2p/4q3/8/2P4P/PPQ3P1/3R2K1 b - -

 ヴィエナ・ゲームから。1878年のパリや1883年のロンドン大会で優勝した有名なJ. H. ツカートルト博士が、1877年のライプツィヒで当時のドイツ最高棋士の一人C. ゲーリング教授の餌食になったゲームである。白の半分とらわれのビショップが、黒の発動するきっかけとなる。

1... Bxh3! 2 gxh3 Qg3+ 3 Kh1 Qxh3+ 4 Kg1 Qg4+ 5 Kh1 Qh5+ 6 Kg2 Qg5+ 7 Kh2 Rf4! 8 Rd4 Rf3 9 Qg2 Qe5+ 10 Kg1 Qe1+ 11 Kh2 Rf2 12 Be4 Rxg2+ 13 Kxf2 g5! 14 Kf3 Kg7 15 Rd7+ Kf6 16 Rh7 h5 0-1

 17 Rxh5や 17 Bxb7とするとピースを取られるが、そうしなくても絶望的である。白の最善策は、ポーン損で我慢して最初のチェックを避け、ドローを目指すことでした。 一方、黒は手順のようにルックを効果的に使う前にd8を防御(6...Qg5+) しておく必要があった。

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図137
5rk1/1pr1qnp1/p2p1p1p/2pPpP1Q/4N1PP/1P2P3/1PP3R1/5RK1 w - -

 迫り来るコンビネーションを事前に強く予感させる局面である。白のピースは攻撃に絶好の配置なので、防御ポーンに裂け目さえ作れればいい。ジオッコ・ピアノから。ピルズバリー対ショーウォーターのマッチ、ニューヨーク、1897である。

1 Kh1! c4 2 Rfg1 cxb3 3 cxb3 Rfc8 4 g5! hxg5 5 hxg5 Nxg5 6 Rxg5! fxg5 7 Nxg5 g6 8 Qxg6+ Qg7 9 Qe6+ Kh8 10 Rg3! Rc1+ 11 Kg2 R8c2+ 12 Kf3 Rf1+ 13 Ke4 Rh1 14 Qe8+

 後2手でメイト。
 4 g5!で始まるこじ開けは、致命的でほとんど防ぎようがない。そこで、黒の両ルックは、防御位置から離れて独自の方策を続ける。このような決着になる可能性について、攻撃を無力か大失敗にするような欠点や事故がありえなかったかどうかも含めて、両棋士とも、差し当たって疑問に思わなかった。(訳注:この文の訳自信なし(汗))
 9...Kf8には 10 Qxc8+!があることに注目されたし。
 全体的にピルズバリーの力強く優美でお手本のような手順である。白キングの進軍もおもしろい。


 メイソンの原文は、コンマでフレーズをつなげるだけの前後関係が分かりにくい文が多い。たいていは内容で類推してしのいできたが、今回ちとギブアップした(汗。上記の「訳自信なし」と書いてある文である。原文以下:
 The probability of such a termination was doubtless for some time present to both players, with the question whether some flaw or accident might appear in the process, nullifying the attack or converting it into total failure.
 ちゃんと節で書くより楽だから私もよくこういう書き方はするが、コンマで区切られた3部分のつながりをどう考えてもつじつまのいく内容にならない。上のこじつけた訳でも、「差し当たって疑問に思わなかった」では後に疑問に思ったみたいだからおかしい。doubtlessがdoubtfulの間違いと考えるしかないのか。

 それはともかく、amazonによると"My System"が10月に再版される。残念ながら英訳版(独語原書は独amazonならいつもあるのに)だが21th版とは全然違うデザインと出版社でHardinge Simpoleみたいに高くないから、買い直してしまいそう(汗。
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この記事へのコメント
「両者にとってこのような結末になる可能性はしばらくの間、確かにあったのだが、その筋を無効化するか、または完全な失敗に帰するような間違いや事故があり得たかも知れない」?
こういう文章はどうとでも取れそうで、本人がどう考えていたかを想像するしかないですかね…
個人的には、こういうコンマでどんどん後ろに繋げる英文は、日本語で言うと、「…なのだが、…だが、…」
と「が」で無意味に接続するのに対応することが多いように思います。
Posted by kshara at 2006年08月26日 11:02
うーん、やはり文章の順序をそのままに、
「両者にとってこのような結末になる可能性はしばらくの間、確かにあったのだが、その経緯には間違いや事故がありえたかも知れず、その場合にはその筋は無効化されたか、あるいは完全に失敗に帰していたかも知れない」?
すみません、何度も。こういうのは割と気になる質で。
Posted by kshara at 2006年08月26日 11:42
 コメントありがとうございます。氷解しました。私のミスはdoubtlessを副詞と気付かなかったことです(汗。逆にpresentをfor some timeの添え物くらいに判断していました。HP版だけ直しておきます。
 「が」は必ずしも逆説ではない「が」というやつですね。
 それにしても、白黒ともに特に疑問符も付かずに白の攻撃が決まった手筋に対して、「白が失敗したら攻撃が決まらなかったかもしれない」などとわざわざ付け加えるのが解せません。「ちょっとしたミスでもあったら命取りだったろう」くらいのニュアンスなのかなあ。
Posted by 水野優 at 2006年08月26日 11:46
 送信したら同時に書かれていたようですね。
 私も後半を仮定とその帰結のように訳すべきと思っていたので意見は一致しましたね(笑。
 貴重なお時間をありがとうございました。
Posted by 水野優 at 2006年08月26日 11:50
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