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2006年07月31日

ラスカー『チェスの常識』No.10,11,12その7

エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.10,11,12 その7

黒:モーフィー
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
白:ハルヴィッツ
4r1k1/pbp4p/1p1p1np1/1P1P1p2/2P2P2/P3P1P1/6K1/1B2RN2 b - -

 引用した局面は、モーフィーのマッチのある局で生じたものです。ゲームは以下のように進みました。

1... a6 2 a4 axb5 3 axb5 Ra8

 最初の利点として、相手のルックがいない開いたファイルにルックを回すことができました。

4 Nd2 Ra3 5 e4 fxe4 6 Nxe4 Nxe4 7 Bxe4 Rc3 8 Bf3

 もちろん、白は Re8+から Rb8を狙っているのです。

8... Kf7 9 Re4 Bc8 10 Be2 Bf5 11 Rd4 h5

 この手で黒は、重要地点f5を強化しました(訳注:白の g4を阻止)。

12 Kf2 Kf6 13 Rd2 Bc2 14 Ke1 Be4 15 Kf2 Kf5

 白のキングは黒のルックに抑え込まれていますが、黒のキングはチェックされずに前進できます。

16 Ra2 h4

 キングの侵入口をこじ開けます。これがやがて危険な攻撃となります。

17 gxh4 Kxf4 18 Ra7 Rh3 19 Rxc7 Rh2+ 20 Ke1 Ke3

 すべての抵抗を鎮圧しました。

黒:シュタイニッツ
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
白:ラスカー
4k3/1p2b2p/r2pp1p1/1p6/r2BP3/1KPR1P2/1P4PP/7R w - -

 上記は、シュタイニッツ氏とのマッチの一局で生じた局面で、白番です。

1 Rhd1 e5

 すぐに 1...Kd7だと、2 f4で白が指しやすくなります。

2 Be3 Kd7 3 Bc5 Ra1 4 R1d2 Ke6 5 Ba3 g5 6 Rd5 Rb6 7 Kb4

 白のキングが積極的に参戦してきました。

7... g4

 形勢を逆転しかねない巧妙な反撃の始まりです。

8 Ka5

 まずはポーンをもらっておくのが賢明でした。したがって、8 fxg4 Re1 9 Ka5 Bd8 10 Rxb5 Ra6 11 Kb4 Rxe4+ 12 Kb3 ポーン得を維持。

8... Ra6+ 9 Kxb5 h5

 または 9...Rh1 10 fxg4 Re1 11 h3 Rxe4 12 c4.

10 Rd1 Rxd1 11 Rxd1 gxf3 12 gxf3 Ra8 13 Kb6 Rg8 14 Kxb7 Rg2 15 h4 Rh2 16 Kc6

 黒陣が持ちこたえられない作戦です。

16... Bxh4 17 Rxd6+ Kf7 18 Kd5 Bf6

 18...Rd2+ 19 Kxe5 Bg3+ 20 f4 Rxd6 21 Bxd6 h4 22 Bc5 h3 23 Bg1だと、4つのパスポーンがビショップにたやすく勝ちます。

19 Rd7+ Kg6 20 Ke6

 黒のキングの前進を牽制するためです。

 20...Kg5だと、21 Rf7 Bd8 22 Rf8 Bb6 23 Be7+ Kg6 24 Rg8+ Kh7 25 Kf7 続いて Bf6で、黒のキングはメイトの包囲網にかかります。

20... h4 21 Rd1 h3 22 Rg1+ Rg2 23 Rxg2+ hxg2 24 Bc5

 後はパスポーンを数手動かせば勝ちです。


  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
白:モーフィー
3b3r/3P1kp1/3p2p1/1B1P1p2/5P2/6P1/7P/4R1K1 w - -

 モーフィーのエネルギッシュな終盤の攻撃をもう一つ。

1 Re8 Rf8 2 Kf2 g5 3 Ke3 g4 4 Kd3 g5 5 Bc6 gxf4 6 gxf4 Rg8 7 Kc4

 黒の全戦力が白のルック、パスポーン、ビショップの共同攻撃にかかりきりなので、勝敗を決するためには白のキングの協力だけで十分です。

7... Rf8 8 Kb5 Rg8 9 Ka6 Rf8 10 Kb7 Rg8 11 Kc8 Bb6 12 Rxg8 Kxg8 13 d8=Q+ Bxd8 14 Kxd8 1-0


 最後の局面は、エネルギッシュというよりエチュードのような感じだ。これもメイソン『チェスの技術』第1部にあったと思う。この連載訳は後3回で終わりそうだ。後釜にはいよいよファインの『序盤の背景にある考え方』を予定している。
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posted by 水野優 at 00:02| Comment(0) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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