ホームページは「チェストランス」です。古い記事では図の駒が表示されません。

2011年07月04日

ダンセイニ『世界の涯の物語』書評等

 本は少しずつでも読んでいるが、以前のように書評をする気も時間もなくなった。しかし、本の売り上げに影響する(?)ので、チェスがらみくらいはやって おこう。

 ロード・ダンセイニ(1878 -1957)はアイルランドの 男爵で、アーサー・C・クラークにまで影響を与えたファ ンタジー作家、チェスの腕前も国内チャンピオン級だったらしい。本書には、2つの短編集「驚異の書(The Book of Wonder)」と「驚異の物語(Tales of Wonder)」が収められている。チェスが出てくるのは後者の中の「チェスの達人になった三人の水夫の話(The Three Sailors' Gambit)」で、12ページしかない。
 今までにも何回か触れたので、内容については省略する。私は「文 学」好きでもないのに翻訳家になった(ノンフィクション指向)変わり種だが、ファンタジーはその中でも何がいいのかさっぱりわ からない。『指輪物語』あた りでやっと広く知られるようになったジャンルだから、ダンセイニは時代を先取りしすぎたのだろう。
 この作品の訳は長らく古いものしかなかったようだが、この安 野玲の新訳はチェスに関しても問題なくていい。特に台詞の処理がうまいので、ちょっとずつ進めていた私の翻訳はやめることにし た。本書には4人の訳者がいるが、古株らしき中野善夫は時代後れも甚だしい。

 未訳の短編なら今後翻訳を出すかもしれないが、私は短編向きではないようだし、来年にはジョン・ブラナーのSF The Squares of the Cityを チェストランス出版で出せればと思っている。『ボビー・ フィッシャーを探して』でさえまだ出ないように、一般出版社からチェス小説を出すのは難しい。
 私は未読だが、ベルティーナ・ヘンリヒスの『チェスを する女』は、amazonで見るかぎりうちの本より売れていない。海外では映画化されるほど売れているから邦訳しただけのこと なのだろう。日本で無名の作家に日本で売れる保証はない。

 「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィン チャー監督とスパイダーマンのト ビー・マグワイア主演でボビー・フィッシャーの伝 記映画が制作されることになった。公開は再来年だが、この二人の話題性を考えればチェスの日本でのマイナー性を差し引いても、 「ボビー・フィッシャーを探して」よりは大きな扱いになるはずだ。特にフィンチャーは「スター・ウォーズ」等のVFXをやってきた人だから、チェスをエキサ イティングなエンタメに仕立て上げるだろう。
 この追い風すら生かせずに『ボビー・フィッシャーを探して』を出せないようなら、「出版社がアホやから翻訳が出されへん」と決別 し、以後自社からしか出さない。その頃にはもう映像制作にすっかりはまっているような気もするが。

世界の涯の物語 (河出文庫)
ロード・ダンセイニ 中野 善夫
世界の涯の物語 (河出文庫)
河出書房新社 2004-05-01
売り上げランキング : 223513
投稿時 ¥893 中古:¥350

Amazonで詳しく見る
 
posted by 水野優 at 13:01| Comment(0) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。