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2006年07月23日

メイソン『チェスの技術』第2部コンビネーション:序文

 『水野優の窮境のチェス』のネタ(最後期の棋譜)が紛失したのか見つからないので、とえあえず新連載、メイソンの『チェスの技術』第2部を始める。第1部 終盤はすでにHP「チェス トランス」のみで全訳を発表済みである。第2部はコンビネーション問題と解説160問よりなる。


ジェイムズ・メイソン『チェスの技術』(1898)
第2部 コンビネーション

 たしかに、ほとんどまたはすべてのゲームにおいて、チェス盤上には終盤戦より印象的な経過段階が生じる。その期間は中盤戦と呼ばれる。中盤戦は、終盤戦と序盤戦の間の広大な範囲にあいまいかつケースバイケースで広がっており、通常はここで、メイトを直接狙うか、最終的には同じく負けを意味する駒損にし向けるコンビネーションによって絶対的または実質的に戦いの決着が付くのである。

 中盤戦は終盤戦が複雑に混ざり合ったものなので、中盤戦の技能は、終盤戦技能−すでに第1部で検討したような終盤戦の様々な技法−の論理的かつ当然の結果と見なされる。中盤戦でのコンビネーションがたちまちメイトに終わることは、現実のゲーム−少なくとも分別のあるプレーヤー同士間−では例外的である。続いて起こりうる終盤は、先のコンビネーションを判断するときに予想されていなければならない。つまり、一直線に負けへ向かう多くのコンビ ネーション−あるいはおそらく勝ちへ向かうコンビネーションにしても、不利な終盤の消耗戦と全く無関係−というものは、当然ながらあり得ないのである。展開でのわずかな失敗、後の判断ミス等が、「セメントの中のわずかな亀裂」になるかもしれない。そういう緩やかでも致命的な行動は、明らかに度を超して危険なコンビネーションに対しても、たいてい防御の余地が残されている。頑強な防御手順で長らく抵抗し続けられることも多いが、最終的な敗北を逃れる希望はほとんどない。逆に、積極的でもおそらく理不尽で攻撃的なコンビネーションが戦いの幸運を無謀に勝ち取ろうと仕掛けてきても、さほど不利にはなり得ない。

 以下の中盤戦におけるマスター級のコンビネーションの実例では、最初の局面はどれも、勝敗を決する特定の作戦を許したり誘うようにし向けられている。全く互角で均衡した局面では、両軍ともに勝ち手順を一方的に主張することはできない。そういう局面では、いかなる過激なコンビネーションの主張も理不尽である。互角な局面では対応する適切な防御があるという主張が、当然ながら理にかなっていて疑う余地がない。存在する優位に基づかない攻撃は成功しないのである。

 中盤のコンビネーションを注意深く勉強する価値については、ほとんど何も言う必要がないだろう。「形勢判断」の優れた訓練にもなり、一流の実戦練習の代わりとしても打って付けである。簡単に習得できても難解さ(あるとすればだが)が欠落し、筋悪の棋風で無神経に指す実戦よりはるかに良い。最後に、序盤を賢明に評価するためには、このコンビネーションを熟知することが必要不可欠である。


 問題と解説を今後1回に2問ずつくらいのペースで連載するが、今回の序文ほど訳に手こずることはもうないだろう。19世紀の英語だからか、メイソンの句読法が独特なのか。特に第2段落のせいで昨日アップロードできなかったくらいだ。今後もこの訳はHPでいじりそう(汗。
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