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2006年07月19日

エドワード・ラスカー『チェス戦略』第2部ゲーム27

エドワード・ラスカー『チェス戦略』(1915)第2部
(ゲーム9まではHP「チェストランス」参照)

ゲーム 27

白:ニムツォヴィッチ 黒:タラッシュ

フレンチ・ディフェンス

1 e4 c5

 この序盤はシシリアン・ディフェンスと呼ばれる。しかし、白が採用した手順はフレンチ・ディフェンスの変化になった。

2 c3 e6 3 d4 d5 4 e5 Nc6 5 Nf3 Qb6 6 Bd3 cxd4

 黒は、白のdポーンが弱いことを実証しようとする。しかし、本局では白が十分に守ることができるのでeポーンも安泰のようである。したがって、eポーン を直接攻撃するために 5...f6とした方が良かったと思われる。ここでは 6...Bd7の方が 6...cxd4より良かった。これ以上d4の守りを強化できないので、白は dxc5とするしかなく、e5をピースで守らればならないという面倒なことになるからである。

7 cxd4 Bd7

 7...Nxd4 8 Nxd4 Qxd4は、9 Bb5+とされるのでだめ。

8 Be2

 8 Bc2は、...Nb4から ...Bb5があるので良くない。

8... Nge7 9 b3 Nf5 10 Bb2

 これで白のセンターはさらなる攻撃を免れた。たしかに白はキャスリングの権利を失うが、白が優勢なキング側で黒は何も仕掛けられないので、g3として 「人工キャスリング」を準備する余裕がある。

10... Bb4+ 11 Kf1 Be7

 ナイトを追い払う 12 g4に 12...Nh4と対抗できるようにした。

12 g3 a5

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図139
r3k2r/1p1bbppp/1qn1p3/p2pPn2/3P4/1P3NP1/PB2BP1P/RN1Q1K1R w kq a6 0 13

 この作戦は賢明ではない。白は 13 a4で対抗する。dポーン が三重に攻撃されている間はビショップとクイーンによる守りを邪魔できないので、クイーン側ナイトを唯一のルートa3から繰り出すためにいずれ必要な手で ある。この白陣の弱点を考慮すると、黒は、白の g4によってナイトを追い払われないようにしなければならない。したがって 12...h5が正着だった。この場合、白も ...g5-g4を防ぐために 13 h4としなければならず、対する黒は 13...g6としてから両ルックを連係させられる。...g6がキャスリングの前に必要なのは、白の Bd3がf5のナイトを攻撃するからである。ディスカバード・チェックがあるために、そのナイトでdポーンは取れない。例えば、12...0-0 13 Bd3 Nxd4? 14 Nxd4 Nxd4 15 Bxd4 Qxd4? 16 Bxh7+ そして 17 Qxd4.(訳注 13...Nxd4?はあいまい手だが、どちらのナイトでも同様だろう)

 図139では、黒の 12...a5が敗着であるばかりか、白の ピースがb5へ居座り続けることを許してしまった。黒のナイトがa5へ行くこともできなくなった。ナイトがa5にいれば、白の a4に対して ...Nb3と反撃できるのに。

13 a4 Rc8 14 Bb5 Nb4

 これらの小競り合いはピース交換にしかならないが、黒のキング側ルックが遊んでいる間は、有利になるのは白だけだと言える。

15 Nc3 Na6

 b5のビショップを追い払うためである。黒は不活発な自分のビショップと交換すべきだった。白のビショップはb1〜h7のダイアゴナルで効力を発揮する 可能性もあるが、黒のd7のビショップに未来はない。

16 Kg2 Nc7 17 Be2 Bb4

 黒はまだキャスリングできない。17...0-0なら、18 Bd3 Nh6 19 Bc1.

18 Na2 Na6 19 Bd3 Ne7 20 Rc1 Nc6 21 Nxb4 Naxb4 22 Bb1

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図140
2r1k2r/1p1b1ppp/1qn1p3/p2pP3/Pn1P4/1P3NP1/1B3PKP/1BRQ3R b k - 0 22

 白はこれまでの8手で展開を完了し、両ビショップは黒キングの攻撃を待ちかまえている。一方、黒は大したことはできなかった。それどころか、貴重なキン グ側ビショップを交換した上に、f5のナイトの退却にも甘んじた。黒のキング側は無防備なので、キャスリングには危険が伴う。ここで 22...0-0なら白は 23 Ng5とし、黒は ...h6か ...g6で陣形の弱体化を余儀なくされる。そして、白はgポーンやhポーンを前進して交換を強要し、ルックのためにファイルを開く。したがって、黒は キャスリングをあきらめてキング側ルックをfファイルで利かすことにする。このために、黒はまず ...h6としなければならないので、白は g4-g5でファイルを開こうとする。続きは以下の通りである。

22... h6 23 g4 Ne7 24 Rxc8+ Bxc8 25 Ne1

 白はまず、黒がキャスリングするかどうかを見定め、しばらくはc2とd3に利いているb4の黒ナイトとの交換を試みる。

25... Rf8 26 Nd3 f6 27 Nxb4 Qxb4 28 exf6 Rxf6 29 Bc1 Nc6 30 g5 hxg5 31 Bxg5 Rf8 32 Be3 Qe7 33 Qg4

 ビショップを解放しようとする ...e5を阻止している。33...Bd7には 34 Bg6+がある。白は、機動力が勝るピースによって驚くべき速さで勝利する。

33... Qf6 34 Rg1 Rh8 35 Kh1 Rg4

 黒は、gポーンを守ればもう少し持ちこたえられた。35...Kf8 36 Rg3 Rh4 37 Qd1 Kg8 38 Bg5 Qxd4(38...Rxd4 39 Qh5) 39 Rd3 Qxf2 40 Bxh4 Qxh4.

36 Qg3 Rxd4

 強制的。37 Bg5の狙いがあり、36...Rh8 37 Qxg7 Qxg7 38 Rxg7だとhポーンで白の楽勝。

37 Bxd4 Nxd4 38 Qxg7 Qf3+ 39 Qg2 Qxg2+ 40 Rxg2 Nxb3 41 h4 1-0
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posted by 水野優 at 00:10| Comment(0) | Ed.Lasker『チェス戦略2』実戦(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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