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2006年06月26日

ラスカー『チェスの常識』No.10,11,12その2

 久々にチェス用語訳について話そう。positional advantageは日本語にしにくい訳語の一つとかねがね思っていたが、positionを陣形と訳す場合が多いのだから(客観的には「局面」だが、白 黒双方の立場から主観的に見ると「陣形」になる)、「陣形的優位」がすっきりしていいではないか。
 むしろ、なんでこの程度の訳語が思いつかなかったのかという感じだ。カタカナ訳を極力使わないYamagishiさんの訳には毎度感心させられるが、す でにこのように訳されているのに私が見過ごしているだけかもしれない(汗。


エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.10,11,12 その2

 消耗原則は、以下に続くいくつかの局面で説明されます。

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
8/8/8/5p1k/5P2/6K1/7P/8 w - -

 白は、hとgファイル間をうろうろしても勝てるチャンスはありません。自由になる空間が足りないのです。例えば、1 Kh3 Kh6 2 Kh4 Kg6の後、白は後退するしかなく、盤の向こう側は黒のキングに譲り渡さざるを得ません。白のhポーンは結局のところ弱点となるので、できるだけ後ろにい るままの方が賢明です。黒のキングは、g4を占めるのが最善の位置となります。黒がそうしたときには、必ず白のキングはe3かe5へ行ける態勢でなければ なりません。これらから以下の手順が導き出されます。

1 Kh3 Kh6 2 Kg2 Kh5 3 Kg3 Kh6

 最初の原則の兆候です。

4 Kf2 Kh5 5 Ke2

 5 Ke3は、5...Kg4でポーンを取られるからだめです。

5... Kh4 6 Kd3 Kg4 7 Ke3 Kh3 8 Kd4 Kxh2 9 Ke5 白勝ち

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
8/2k5/p1P5/P1K5/8/8/8/8 w - -

 白には2つの勝てる要素があります。パスポーンと、黒のaポーンの弱さです。黒のキングは、この2点に関して現状では有利な位置にいます。これが以下の 作戦によって変化します。

1 Kd5 Kc8 2 Kc4 Kd8 3 Kd4 Kc8 4 Kd5 Kc7 5 Kc5

 これで手番が替わったので、白の楽勝です。または、

4... Kd8 5 Kd6 Kc8 6 c7 Kb7 7 Kd7

 あと数手でメイトになります。
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posted by 水野優 at 10:58| Comment(0) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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