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2006年06月19日

ラスカー『チェスの常識』No.10,11,12その1

 昨日も2週連続でスターデジオ・レビューを落としてしまったが、最近音楽は相変わらず聴いているものの、音楽に関して読み書きする意欲が萎えてきた。読 む 方は今週レビューするが、知的興味は哲学や科学へ移ってしまった。チェスと同じく音楽は出版翻訳ネタにならないからでもある(汗。
 maroさんが戎棋夷 説で06/06/14から触れている松浦寿輝の『青の奇蹟』は、グールドについても触れているので気になるし図書館で借りられるが、ごった煮 のエッセイ集なので今一つ触手が伸びずにいる。将棋のおまけ(?)としてチェスに興味のある方は意外に多いという印象を持った。


エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.10,11,12 その1

 皆さん。双方が中盤の戦いをしのぎきり、攻撃と防御に戦力が消耗して激減したためにキングへの直接攻撃の見込みがなくなると、ゲームは今までとは多く の点で異なる新たな段階に突入します。この段階を終盤と呼びます。キング−今まで相手から直接か間接の攻撃目標とされてきた−は、その安全を考慮して数個 のポーンによる防御で威力を封じる必要があったのですが、終盤では強力な攻撃兵器となるのが特徴です。

 ゲームが最終段階へ入っても、攻撃と防御の一般的原則は特に変わりません。弱点は主としてポーンで、ブロックされる等の理由で前進できないとか他のポー ンで守れない場合です。やはり、攻撃それ自身は直接弱点へ向かいます。弱点は、敵のピースやキングにさらされていて味方のどのピースやキングにも守られて いないような地点です。自陣の拠点は、相手の弱点へ向かうので、敵の弱点の近くに同じくらいの新たな弱点を作り出そうとします。ここでも攻撃軍が成功する ためには、ある種の優勢が必要です。これらすべてと相まって、2つの新たに導入される要素が終盤を特徴づけています。

 まず要求されるのは、(戦力の消耗の結果として)パスポーンをクイーンにする手際の良さです。このためには最大で5手かかりますが、たいていはそれ未満 で済みます。ポーンが前進するファイルがすべて拠点となっていれば、敵は駒の一つ、おそらくキングで守り、それらの拠点を支配するかファイルを妨害しなけ ればなりません。敵の駒がパスポーンの前進を阻止するマスやファイルを、有利な位 置(points of vantage)と呼びます。ゲームはたいてい、これらのポーンが前進するマスやファイルをめぐる争いを呈し、自軍の駒で邪魔したり、敵の駒が追い払われ たりします。一方で、敵の戦力の一部が自軍のパスポーン牽制の遂行でよしとするならば、自軍は他の地点を総力を上げて攻撃できます。

 ゲームの最終段階での攻撃と防御がひじょうに均衡していて、双方共に駒が好位置にあり、相手が自主的に道を譲らないかぎり両軍共に陣形を改善できない場 合が生じます。言い換えると、手を指さないことが特権となり、「時間」(つまりは何か有益なことをするために手を指す権利)が、全く異なる新たな性格を帯 びます。このような局面は、十分に戦ったゲームによく現れ、確実に先読みした結果であることもしばしばですが、手を指さねばならないことがピース活用にお いて損失となり、その結果ゲームを落とすことも多いのです。これを消耗原則(つ まり、陣形を改善するための手の消耗)と呼ぶことにします。この原則では、消耗作戦の好機が訪れるまでに、双方が出し惜しむ陣形を改善するか少なくとも劣 勢にはしない手に関して、大いなる慎重さを原則自体が必要とします。
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posted by 水野優 at 14:42| Comment(4) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おまけで・・・・・と言うのは多い様な気がする。
将棋/チェス以外なら、双六/バックギャモン、
七並べ/麻雀/ドンジャラ、
クラシック/プログレッシヴ ロック
ジャズ/バッハ、中央競馬/公営競馬などなど・・・
(超超拡大解釈あいすまぬ)
おまけで、嵌ってドつぼにハマる晴風でした。
(中央競馬/公営競馬がその典型でした)
Posted by 鷹野晴信 at 2006年06月19日 21:18
 なるほど。七並べは7ブリッジの方が合ってそうですが(笑。
Posted by 水野優 at 2006年06月20日 00:30
松浦のおかげで「オペラ座の夜の演目」がほぼ確定しましたね。
Posted by maro at 2006年06月21日 01:27
 オペラ座がまだなかったという事実は意外でした。ちゃんと調べないとだめですね。やっぱり『青の奇蹟』読まねば。
 澁澤龍彦のエッセイも気になっています。
Posted by 水野優 at 2006年06月21日 11:50
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