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2006年06月15日

クイーンズ・ギャンビット:オーソドックス

 久しぶりにFRPを使う作業をしたら、ただでさえ縦皺多くて不健康な爪にますますダメージが加わる感じがする。樹脂缶のふたの開け閉めがいちばんの問題 で、医療用手袋とかが必要かもしれない。新ブログに書くのが面倒なので、結局こっちに書いてしまった(汗。


A. P. ソコルスキー『現代定跡の理論と実践』
第15章 クイーンズ・ギャンビット 1 d4 d5 2 c4
II オーソドックス・ディフェンス

 2... e6 3 Nc3

 最も当然の手で、d5への圧力を増す。しかし、3 Nf3もよく指される。

 3... Nf6

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
rnbqkb1r/ppp2ppp/4pn2/3p4/2PP4/2N5/PP2PPPP/R1BQKBNR w KQkq - 0 4

 最近の実戦では、3...Be7とし、4 Nf3に 4...Nf6とする作戦が採られてきた。この手順だと、白はキング側ナイトをf3へ繰り出すので、Nge2含みの変化をすべて考えなくていい。

 4 Bg5

 エクスチェンジ・ヴァリエーションもよく指される。4 cxd5 exd5 5 Bg5 ポーン形を固定した白は、クイーン側で徐々に圧力をかけるチャンスを得る。
 Furman-Klovanソ連チーム選手権1964では、5...Be7 6 e3 0-0 7 Bd3 Nbd7 8 Nf3 c6 9 Qc2 Re8 10 0-0 Nf8 11 Rab1 Ng6 12 b4 Ne4 13 Bxe7 Qxe7 白は、消極的な 14 Rfe1より 14 b5!とすべきだった。
 さらなるエクスチェンジ・ヴァリエーションは別ゲーム参照。

 4... Be7

 4...c5以下は様々に複雑である。 Borisenko-Keres第22回ソ連選手権1955では、5 cxd5 cxd5 6 Qxd4 Be7! 7 e4 Nc6 8 Qe3(8 Qd2には、8...Nxe4 9 Nxe4 exd5 10 Bxe7 Qxe7 11 Qxd5 f5で、ほぼ互角) 8...Nb4(8...Nxd5 9 exd5 Bxg5 10 f4 Nb4 11 0-0-0 Be7 12 Qd4! 白優勢) 9 Bb5+ Bd7 ここで 10 Qe2!と続ければ白に好機があった。
 カナル・ヴァリエーションは疑わしい。4...c5 5 cxd5 Qb6!?. Prokhorovitch-Tolush第26回ソ連選手権準決勝1958では、以下のように白優勢となった。6 Bxf6 Qxb2 7 dxc5! gxf6 8 Rc1 Bxc5 9 e3 Bb4 10 Bb5+ Bd7 11 Bxd7+ Nxd7 12 Ne2 Rc8 13 dxe6 fxe6 14 Rc2 Qa3 15 Qd2 黒の(b2での)ポーン取りは無益と判明した。
 4...Nbd7 5 e3(5 cxd5 exd5 6 Nxd5?はだめ。6...Nxd5! 7 Bxd8 Bb4+で、黒がピース得になるから) 5...c6後、白は通常 6 cxd5! exd5 7 Qc2でエクスチェンジ・ヴァリエーションに移行する。この手順で、白は 6 Nf3 Qa5!(ケンブリッジ・スプリングズ・ディフェンス)から生じる複雑さを避けている。

 5 e3 0-0 6 Nf3 Nbd7

 単純化の試み 6...h6 7 Bh4 Ne4(ラスカー・ディフェンス)は、8 Bxe7 Qxe7後に、白がわずかながらも明白な有利となる(別ゲーム参照)。
 ボンダレフクスキー=マカゴノフ・システム 6...h6 7 Bh4 b6は、V タルタコーワ・ディフェンス参照。

 7 Rc1

 最善手。白はルックをファイル展開するだけでなく、黒のセンターでの活動を阻止する。7 Qc2と 7 Bd3には、いずれも黒は 7...c5とできる。例えば、7 Qc2 c5 8 cxd5 exd5 9 dxc5 Nxc5 10 Be2 Be6 11 0-0 Rc8 白のクイーンは明らかにc2では居心地が悪い。7 Rc1に 7...c5は良くない。8 cxd5! Nxd5(8...exd5? 9 dxc5 Nxc5 10 Bxf6 Bxf6 11 Nxd5! 黒のポーン損) 9 Bxe7 Nxe7(9...Nxc3 10 Bxd8 Nxd1 11 Rxd1 Rxd8はだめ。12 dxc5) 10 Bb5 白優勢。

 7...c6

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1bq1rk1/pp1nbppp/2p1pn2/3p2B1/2PP4/2N1PN2/PP3PPP/2RQKB1R w K - 0 8

 オーソドックス・ディフェンスの古典的な局面である。白はd5を攻撃し、黒はそれを守り、白ピースの方が動きやすい。黒には、まだクイーン側ビショッ プを展開する問題が残っている。それでも、実践が示してきたように、黒の堅牢な陣形を崩すのは容易ではなく、白が優位を得る手順も単純とはほど遠い。

 8 Bd3

 8 c5は良くない。d5への圧力がなくなる し、黒に反撃 8...e5!を許すからである。実際 9 dxe5 Ne8後に、黒はポーンを取り返していい形勢になる。
 8 cxd5としたら白は手損を防げそうだが、 8...Nxd5 9 Bxe7 Qxe7 10 Bc4 基本変化より黒が手得した局面になる。
 ルービンシュタインは 8 Qc2を提案し た。対する黒は、8...h6 9 Bf4 a6! 10 a3 Re8(白がビショップをd3へ繰り出すのを待って、そのときにcポーンを取る) 11 Bd3 dxc4 12 Bxc4 b5 そして ...Bb7, c5.

 8...dxc4 9 Bxc4 Nd5

 お決まりの作戦。黒は、交換で局面を単純化してから ...e5としたい。そうすることで、クイーン側ビショップをセンター方向へ繰り出す問題が解決できる。「大フィアンケット」はめったに用いられない。ク イーン側での反撃に期待してクイーン側ビショップを長いダイアゴナルに展開する変化の一つは、9...h6 10 Bh4 b5 11 Bd3 a6 12 0-0(12 e4はだめ。12...Nxe4! 13 Bxe4 Bxh4 14 Bxc6 Ra7. 注目すべきは、このような黒の好機は 9...h6とした場合のみであり、さもないとhポーンは攻撃にさらされる) 12...c5 13 Qe2 Bb7. 実践によると、14 Bb1から Rfd1で、白はセンターでの戦いが有望である。

 10 Bxe7 Qxe7

 引っかけの変化 10...Nxc3? 11 Bxd8 Nxd1 12 Be7! Re8 13 Ba3は、黒のピース損となる。

 11 0-0

 アリョーヒンの変化 11 Ne4もいい。例えば、11...N5f6 12 Ng3 e5(アリョーヒンとのマッチでカパブランカは、12...Qb4+ 13 Qd2 Qxd2+ 14 Kxd2 Rd8と続けた。この場合、白は展開とセンターでの自由度のおかげで、わずかでもはっきりと有利である。したがって、この第22回戦では 15 Rhd1 b6 16 e4 Bb7 17 e5 Ne8 18 Ke3 Kf8 19 Ng5 h6 20 Nge4 黒陣が困窮した) 13 0-0 g6 14 Bb3 exd4 15 Qxd4 白優勢(Smyslov-Rabarヘルシンキ・オリンピック1952)。

 11... Nxc3 12 Rxc3 e5

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1b2rk1/pp1nqppp/2p5/4p3/2BP4/2R1PN2/PP3PPP/3Q1RK1 w - - 0 13

 このよく知られた局面から、いくつかの変化がありうる。13 dxe5 Nxe5 14 Nxe5 Qxe5 15 f4(ルービンシュタインの手) 15...Qf6(15...Qe7は弱い。16 f5 Rd8 17 f6!. 15...Qe4には 16 Bb3!から Bc2が強烈) 16 f5(16 e4は、Capablanca-Laskerモスクワ1936で、16...Be6 17 e5 Qe7 18 Bd3 f5! 黒十分な反撃) 16...b5(16...Rd8は、Bubnovの提案する 17 Rd3!のため良くない) 17 Bd3 Rd8から 18...Bd7. 互いの弱点e3とc6がバランスを取り合っている。
 13 Qc2(Furmanの Qb1もいい) 13...e4(13...exd4は別ゲーム参照) 14 Nd2 Nf6 15 Rb1! いずれ b4と続ける。白の意図はクイーン側での主導権だが、黒は互角を維持できるはずである。


 このオーソドックス・ディフェンスは、前回の〜・アクセプテッド(QGA)以外のクイーンズ・ギャンビット・ディクラインド(QGD)のメインライン (主変化)と考えられる。100年以上に渡って白黒双方が改善を尽くしてきた歴史的変遷が特におもしろい定跡である。
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この記事へのコメント
すんません、あっちの方、一番乗りして
しまいました。本来なら、あっしは、
3から5番目位の参上の筈?

あっしがいの一番に書き込んで、過疎になったら
どうしませう。
Posted by 鷹野晴信 at 2006年06月15日 21:14
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