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2006年05月29日

ラスカー『チェスの常識』No.9その3

 最近、スパムは別にしても業者から広告載せませんかとか電子出版しませんかというコメントが付くようになった。アクセスが増えてきたからにしても、何が きっかけなのか謎である。いずれにせよ、うちは一般向けの広告塔になれるようなコンテンツではない。


エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.9 その3

1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 c3

 ポンジアニ・オープニングです。この定跡は、早急なcポーンの前進に問題があるのでお薦めできません。

3... d5

 すばらしい応手です。3手目で白がd3マスを弱めたので、黒は、その重要地点を支配するためにdファイルを開こうとします。

4 Qa4 dxe4 5 Nxe5 Qd5 6 Bb5 Ne7 7 f4

7 f4
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1b1kb1r/ppp1nppp/2n5/1B1qN3/Q3pP2/2P5/PP1P2PP/RNB1K2R b KQkq f3 0 7

 スタントンによる手です。マイナーピースを交換すると完全になくなってしまう攻撃を維持しようとしています。白には Bc4の狙いがあるので、スタントンは黒が 7...exf3と応じると考えました。しかし、一人のリバプールの名手は、この局面を真の棋士の直観で見抜き、このような白が性急に企てた攻撃に対して はきっ と好手を返せるとにらみました。これは、あるマッチで彼が数ある対戦相手の中の一人を倒した方法です。

7... Bd7 8 Nxd7 Kxd7 9 0-0 Nf5

 黒は展開がはるかに優勢で、...Bc5+を狙っています。

10 b4 a5 11 Kh1 axb4 12 Bxc6+ bxc6 13 Qxa8 Bc5 14 Qxh8 Ng3+ 15 hxg3 Qh5#
The Ponziani Opening
963047817X Peter Tomcsanyi

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白:ブラックバーン 黒:バーン

1 e4 e6 2 d4 d5 3 Nc3 Nf6 4 e5 Nfd7 5 f4 c5 6 dxc5 Bxc5 7 Qg4 0-0 8 Bd3 f5 9 Qh3 Nc6 10 Nf3 Re8

 黒は、明らかにキング側での長い苦闘に備えました。最後の手は見事にその目的にかなっています。ルックは、ナイトに打って付けのマスf8を空けました。ナ イトは、そこからe6やg6に加えて最弱地点のhポーンを守り、常にgファイルを妨害する態勢にいられます。

11 g4 g6 12 a3

 現に全く脅威でもないことを防ごうとする、見た目は無難な手です。こういう過度な防御手が多くのゲームをだめにします。なぜ、すぐに 12 Qg3としてからhポーンを積極的に前進させないのでしょうか?

12... a6 13 Bd2 b5 14 gxf5 gxf5 15 0-0-0 Nf8 16 Rhg1+

 大胆で有望なサクリファイスは、ひじょうに対処しがたい猛攻を生み出します。

16... Bxg1 17 Rxg1+ Ng6 18 Ne2 Ra7

 再び見事な防御作戦です。このルックはいくつもの弱点を守り、gファイルが開くのを防ぐ手段として使えます。

19 Ng3 Ree7 20 Nh5 Kh8 21 Nf6 Rg7 22 Qh6 Nf8 23 Ng5

23 Ng5
  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
2bq1n1k/r5rp/p1n1pN1Q/1p1pPpN1/5P2/P2B4/1PPB3P/2K3R1 b - - 0 23

 黒は、実質的には危険を脱していますが、まだ慎重に指さねばなりません。ここで、白は 24 Qxg7+ Rxg7 25 Nf7+ Rxf7 26 Rg8#を狙っています。

23... Rg6 24 Qh5 Rag7 25 Rg3 Qe7

 hポーンへのさらなる防御です。白の攻撃は、2つのビショップが参戦する糸口がないために失速します。

26 Be2 Rxf6

 積極的かつ決定的です。

27 exf6 Qxf6 28 Rc3 Bd7 29 Nf3 Kg8

 白は 30 Rxc6から Bc3を狙っていました。

30 Qh3 Ng6 31 Qh6 Qe7 32 Rxc6 Bxc6

 黒の駒得に攻撃で対抗する最後の試みです。

33 Bc3 Rf7 34 Ng5 Nxf4 35 Nxf7 Nxe2+ 36 Kd2 Nxc3

 黒は数手後に勝ちました。


 ポンジアニ・オープニングのゲームで黒を指していたらしいリバプールの名手は誰なのだろう? スタントンに勝ったのなら名前くらい出してもよさそうだ。ChessGames.comでも見つからないし同時対局とも思ったが、「名手が数ある対戦相手の一人としてスタントンを倒した」という記述に矛盾す る。
 私も解釈に自信がないので文字面だけ訳した感じになってしまった。識者の情報に期待する(汗。
posted by 水野優 at 11:43| Comment(4) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ラスカー、良い本ですね。黒3手目のコメントとか。
リバプールって誰のことを言ってるんでしょう、私も不思議です。7... Bd7は珍しくって、1870年のブラックバーン対バーンしか見つからない。二局目のにしても、ChessBaseでは見つからない。
Posted by maro_chronicon at 2006年05月30日 01:09
 d3まで考えて...d5と指してるとは思いませんでした。結果的に...dxe4でd3を抑えるからでもあるのでしょうが。
 調査ありがとうございます。7...Bd7で2曲目と同じ対戦者ゲームが見つかったのはおもしろいです。Handbookに期待しましたが、スタントンは自分に不利なことは載せそうにないですね。
Posted by 水野優 at 2006年05月30日 11:55
Handbookには7...exf3の実戦例が載ってます。Perigal&Evans対Harrwitz&VonCarnapで白の勝ち。年代不明。
シュタイニッツ(1895)にいたっては4...dxe4は悪手ですね。
Posted by maro at 2006年05月30日 23:37
 なるほど。調べていただきどもです。ただNCOにも 4...dxe4はないので最善ではないのでしょうね。
Posted by 水野優 at 2006年05月31日 12:07
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