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2006年05月18日

Angus Dunnington『Blunders and How to Avoid Them』

 メイソンの『チェスの原則』をとりあえずルールと記譜法だけは訳そうと 連載してきたが、エドワード・ラスカー『チェス戦略』のルールと記譜法だけ訳すのを後回しにしていたのに一昨日気が付いた。これを仕上げれば、わざわざ 新しい本に手を出す必要はなかったのだ(汗。
 なのでメイソンは休止して、今回は久々に洋書紹介をしよう。


 Angus Dunningtonの『Blunders and How to Avoid Them(ポカとその防 ぎ方)』(144ページ、'04年、エブリマンチェス)である。イギリスのIMの著者は、国際大会で尊敬される好人物で自国トップジュニアの名コーチでも ある。エブリマンチェスでは『Attacking with 1 d4』と『Understanding the Sacrifice』も執筆。

出版社レビューの要約:
 ポカをしたいプレーヤーはいないが、世界的な名人でさえポカをする。悪くても最小限にとどめるにはどうすればいいか? 本書を読んで見つけよう! チェ ス災害に遭いがちな人必読。

目次の訳:
引用文献 序文
1 危険の感覚
2 はめ手と罠
3 心理学
4 キングの防御
5 チェック
6 誤ったプラン
7 単純化の危険
8 ドロー
9 終盤
10 時間切迫
11 勝利の危機から敗北を得る
12 意外を予想する
13 典型的なポカ
14 特大のポカ
15 トワイライトゾーン

1 危険の感覚より「バックランク」の一部訳:
 キャスリングしたキングに逃げるマスがあると、バックランクを危険リストから除外しがちです。これは、以下のようなポカがよく起こる原因です。

エマヌエル・ラスカー 対 フォン・シェーフェ
ベルリン、1890

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r2r2k1/2p2pp1/2p3q1/1p6/5P2/N1Pb1Q2/PP4PP/3RR1K1 b - 24

 黒は明らかにポーン形の代償を得ており、その卓越したマイナーピースをd3に固着させようとしています。
24... c5?? 25 Rxd3!
 白勝ちです。黒がルックで取り返すのは問題外で、もう一つのa8のルックが宙ぶらりんとなります。h1〜a8ダイアゴナルはもう開いているのです。
25...Qxd3 26 Re8+! 1-0

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r2rR1k1/2p2pp1/8/1pp5/5P2/N1Pq1Q2/PP4PP/6K1 b - 26

 バックランクの脆弱さに無神経だったために、黒は重大な駒損を避けられません。26...Rxe8 27 Qxd3では、ナイトが大きな戦力差となり、26...Kh7 27 Qxd3+ Rxd3 28 Rxa8だと、さらに深刻です。27 Qh5#も悪くありません。


 すでに何かで訳したゲームと思うが、調べるのもおっくうになってしまった(汗。最後の「27 Qh5#も悪くありません」は、ちょっと洒落ている。目次の「11 勝利の危機から敗北を得る」も皮肉な表現で、わざわざ勝ちを逃して負けにいくポカとい う意味だろう。
Blunders and How to Avoid Them
1857443446 Angus Dunnington

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posted by 水野優 at 11:34| Comment(0) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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