ホームページは「チェストランス」です。古い記事では図の駒が表示されません。

2006年05月15日

ラスカー『チェスの常識』No.9その1

 ヤクルトが交流戦で息を吹き返した。'78年の初優勝のときのように豪打で投手をカバーしてくれればいい。あれは初めて落ちこぼれた高一の年だった。以 来、ヤクルト優勝の年は私的に芳しくないのだが、今年こそはお互いにブレークさせるぞう。


エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.9 その1

 皆さん、今晩の講義のテーマは防御の原則です。

 攻撃が妨害を取り除くプロセスとすれば、防御は、その妨害を強化して自陣を固め、向かってくる一撃をかわす技術と言えます。自陣が敵陣より劣っていない のに、相手が全く準備もおろそかなまま攻撃を仕掛けてきたら、まだ控えている駒を展開させて可能なかぎり少ない防御手で攻撃を阻止し(一撃をその一瞬に目 にも留まらぬ速さでかわす一流のボクサーのように)、即座に反撃を開始しましょう。しかし、残念ながら実際に相手の攻撃目標をやむを得ず抱えた場合は、全 く異 なる対処をする必要があります。

 ここでも常識によれば、対処法がはっきり分かります。どの局面でも、敵の戦力の攻撃にさらされている部分と十分に守られている他の部分があ ります。攻撃はまず弱点に向かってきます。例えば、キャスリング後のhポーンやgポーン、またはf3(f6)のナイトなどです。したがって、弱点を大駒の クイーンやルック、またはナイトやビショップで占めていれば、まずはそこを空けねばなりません。第二に、弱点を補強して容易に敵が近づけないようにしなけ ればな りません。残りの戦力は、敵の控え戦力に対抗するのが最善です。そうすれば、相手が攻撃目標に控え戦力を活用するまでに時間と労力をかけさせることができ ま す。

 一般的に言うと、相手の攻撃目標は、こちらの駒の配置を強制的にある程度変化させることです。やむを得ない理由のとき以外は自分からそうしてはいけませ ん。これは、ほとんどのチェスプレーヤーが陥ることです。例を挙げると、白のナイトやビショップがg5に来られないように黒はhポーンをh6へ進 めますが、これは手損になる以外にも、原則として連なったポーンの防御力強化という目的に反します。f5に居座る白のナイトを追い払うために、黒が gポーンをg6へ進めることもあります。f5がいかに好位置でも、...g6はその倍以上危険な手と言えるでしょう。逆に、追い払われるかもしれない からという理由でピースを退けることもあります。これらの指し手は、相手が駒の置き換え等に手数を費やす−つまり、手中にある「戦力」を共同させる−ま で指すのを控えるべきです。

 もちろん、他の防御手では、敵の攻撃目標にされている地点を助けねばなりません。したがって、攻撃の原則に立ち返り、自陣の防御戦のあまり近くに拠点 を作られないようにします。以下に続く実例にはそのすべてが含まれています。

1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 d4 exd4 4 Nxd4 Nf6 5 Nxc6 bxc6 6 Bd3 d5 7 e5

 黒はここまで、展開の原則に従ってきました。白に攻撃目標を作らせず、どのピースも弱点になっていません。したがって、白の攻撃は時期尚早です。

7... Ng4 8 0-0 Bc5 9 h3

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1bqk2r/p1p2ppp/2p5/2bpP3/6n1/3B3P/PPP2PP1/RNBQ1RK1 b kq - 0 9

 巧みな一撃が続き、白の手順が全く理にかなっていなかったことが分かります。

9... Nxe5 10 Re1 Qf6 11 Qe2 0-0 12 Qxe5 Qxf2+ 13 Kh1 Bxh3 14 gxh3 Qf3+ 15 Kh2 Bd6

 黒の勝ちです。


 本書のタイトルにも含まれる「常識」(common sense)は、maroさんにも指摘された通り翻訳が難しい言葉である。common senseは「チェスプレーヤーが知っておくべき最低限の原則」を表しているので、常識ではややニュアンスが狭い感じがする。moralがいわゆる「道 徳」よ り幅広い意味を持つような感じだろうか。
 精神医学界には、common senseを文字通り「共通感覚」と解釈する考え方があり、この欠如があらゆる精神病の原因と考える。チェスに関しても「常識」よりこの方が近いか もしれない。本書の訳が終わるまでに結論が出せるだろうか(汗。
Secrets of Chess Defence
1901983919 Mikail Marin

Gambit 2003-09
売り上げランキング : 592,530


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
posted by 水野優 at 12:27| Comment(2) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
天高く 羽ばたく燕の 季節来る。
(なんやかんや言っても、交流戦調子いい。
   良いことです。野球界の為にも頑張れ)

ナベ恒が 手を入れられない 大巨人
     ここを叩けば セ界制覇だ!
(今年の燕軍に、ナベ恒軍を叩いてもらいましょ)
(燕軍に期待する)
Posted by 鷹野晴信 at 2006年05月17日 09:08
 すっかりアンチ巨人になられたようですね。
 でも今年の巨人は若手の活躍で原監督が前任時代の遺産をうまく引き継いだ感じがします。
 今年は去年のロッテのようにまずは交流戦優勝から、アジア決戦は韓国が目の色違いそうだなあ(気が早い。
Posted by 水野優 at 2006年05月17日 12:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。