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2006年05月09日

エドワード・ラスカー『チェス戦略』第2部ゲーム17

 なんでまた電気カーペットを付けなきゃならないほど寒いんだ…。一年の中では、28度くらいの部屋で薄着でいるのが気持ちよくていちばん好き。しかし、 も う1か月もすれば入梅だ。どうせなら真夏と梅雨が重なれば涼しくていいのに(笑。


エドワード・ラスカー『チェス戦略』(1915)第2部
(ゲーム9まではHP「チェストランス」参照)

ゲーム 17

白:ベルリン 黒:リガ

ルイ・ロペス

1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 Bb5 a6 4 Ba4 Nf6 5 0-0 Nxe4 6 d4

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図124
r1bqkb1r/1ppp1ppp/p1n5/4p3/B2Pn3/5N2/PPP2PPP/RNBQ1RK1 b kq d3 0 6

6... exd4

 ゲーム14の6手目の解説を参照されたし。

7 Re1 d5 8 Nxd4 Bd6

 この変化の肝となる手。黒は ...Bxh2+から ...Qh4+, Qxf2+のパペチュアル・チェックでドローを狙っている。大会で弱い相手に対して指すには不十分なので、強豪はリガ・ディフェンスでは満足できない。し かし、そんなことは問題ではない。この変化が成立しないことを証明するために、白は勝ちを見つけねばならないのである。

9 Nxc6 Bxh2+ 10 Kh1!

 10 Kf1には黒の猛攻があるので、白が他のピースを何とか参戦させようとしても追い払われる。マロツィー対ベルガー戦(ウィーン、1908年)が、こ の実例である。10 Kf1 Qh4 11 Be3 0-0 12 Nd4 Bg4 13 Nf3 Qh5 ここで白にはいい手がない。14 Nbd2はクイーンの邪魔になり、ルック同士をつなげるのが困難となる。14 Nc3 Rad8 15 Qd3 Bxf3 16 gxf3 Qxf3 17 Nxe4 dxe4 18 Qc3 Qh3+ 19 Ke2 Qg4+ 20 Kf1 Rd5 21 Bb3 Rh5 22 f3 exf3 0-1.

10... Qh4

 白の敗北のように見える。しかし、黒の攻撃ピースの交換を強いる見事なサクリファイスによって状況は救われる。

11 Rxe4+ dxe4 12 Qd8+ Qxd8 13 Nxd8+ Kxd8 14 Kxh2

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
図125
r1bk3r/1pp2ppp/p7/8/B3p3/8/PPP2PPK/RNB5 b - - 0 14

 激しい相殺によって、局面はいくぶん分かりやすくなった。黒は、白の2マイナーピースに対してルックと2ポーンを持っているので終盤戦にはやや有利だ が、まだ終盤は念頭にない。2ビショップを持つ白に、開いたdファイルにいる黒キングを攻撃する好機があるので、ほとんどのマスターは白優勢の局面と考え るだろう。

14... Be6

 14...f5が指せそうに見えるが、15 Bg5#できれいにメイトされる。14...Be6は、...c5, ...b5によってキング側ビショップを消す狙いである。

15 Be3 f5 16 Nc3 Ke7 17 g4

 タラッシュは 17 Rd1から Nd5+を推奨した。17...c6なら 18 Bb6として黒のdファイルからの反撃を永久に防ぎ、Ne2-d4として黒のビショップとの交換を試みることができる。2ビショップがある白に勝機がある だろう。

 17 g4は巧妙な作戦を秘めている。黒のキング側ビショップがもうないことにつけ込み、g5とすることでキング側の4つのポーンをすべて釘付けにしたい。しか し黒は、白のプランをとがめるような驚きの応手を見つける。

 カパブランカ対エドワード・ラスカー戦では(ニューヨーク、1915年)、17 g4 g6 18 Kg3 h5 19 gxf5 h4+ 20 Kh2 gxf5 21 Ne2 b5 22 Bb3 Bxb3 23 axb3 Rhg8 24 Rd1 Rad8 25 Rxd8 Kxd8 26 Nd4 ポーン取り。

17... g6 18 g5 Rag8!!

 黒は、白のクイーン側ビショップを消すためにルックとの交換を持ちかけた。白がサクリファイスに応じるとgポーンを失い、黒はピースの代わりに3ポーン を得て、少なくとも終盤戦で互角になる。白は、怪しい誘いには乗らずに、...h6から ...g5の狙いに対して 19 Rg1と対処すべきだった。

19 Bd4 h6 20 Bf6+ Kf7 21 Bxh8 Rxh8 22 Rd1

 22...c5に対して 23 Bd7とするため。だから白は20手目でチェックしたのである。

22... hxg5+ 23 Kg2 Kf6!

 24 Nd5+なら、黒は 24...Ke5とキングを勇進し、25 Nxc7には、...Bc4-e2-f3とする。黒の密集ポーン方陣は脅威となる。

24 Bb3 Bxb3 25 axb3 Ke6 26 b4 Rh7

 黒はもうルック交換を恐れる必要がない。交換すれば、パスポーンで白の戦力を釘付けにしながら、クイーン側ポーンをキングで攻撃できる。

27 Ne2 Rd7 28 Nd4+ Kf6 29 c3 c6

 この手の狙いははっきりしない。黒は ...g4, f4, Rh7等の前向きな方策を採るべきである。

30 Rh1 g4 31 Rh8

 前進できるポーンがなくなった。31...f4は、32 Re8 Re7 33 Rxe7 Kxe7 34 Nb3とされてポーンの1つは失う。

31... Re7 32 Ne2 Rd7 33 Nd4 Re7 34 Rf8+ Kg7 35 Rd8 f4 36 Rd6 Kf7 37 Nc2 Re6 38 Rd7+ Re7 39 Rd6 Re6 40 Rd1

 白は何が何でも勝とうとし−負ける。クイーン側ポーンの前進を強いれば、白は新たなチャンスを得るが、新たな弱点も生まれる。

40... Kf6 41 c4 Re7 42 Rd4 Kg5 43 Rd6 e3! 44 f3

 44 fxe3は、44...f3+から ...Rh7とされるのでだめ。

44... e2 45 Ne1 g3 46 b5

 遅すぎる。

46... Rh7 47 bxc6 bxc6 48 Re6 Rh2+ 49 Kg1 Rf2 50 Nc2 Rxf3 51 Rxe2 Rd3 52 Ne1 Rb3 53 Rd2 f3 54 Nd3 a5 0-1

 aポーンはa3まで邪魔されずに突けて、その後、黒のルックが最後段でメイトする狙いがある。そこで白の Rd1が強制的となる。しかし、そうなると黒のルックが7段目に侵入する(...Rh2から ...f2+)。


 このベルリン対リガ戦は、目次で2年越しのゲームとなっているので、おそらく二都市それぞれのプレーヤーチームが多数決で指し手を決める電信戦だったと 思うが、著者はその点何も触れていない。リガ・ヴァリエーションと名付けられる決め手となったのは間違いなさそうだ。
Endgame Tactics
9056911686 Van Perlo

New in Chess 2006-05-21
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posted by 水野優 at 12:01| Comment(0) | Ed.Lasker『チェス戦略2』実戦(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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