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2010年10月28日

ルノー&カーン『The Art of the Checkmate』レビュー

 2冊目の出版本の原書も訳が終わって編集に入ったので、紹介しておこう。2人の著者、国内チャンピオンクラスのフランス人棋士が、チェックメイトを分類し、歴史的意義から名前を付け、名局に関しては全局を解説し、問題も全部で80題を配し、バランスの取れた名著だ。

 メイトに関する本はさすがに日本語でも何冊か出ている。「ボビー・フィッシャーのチェス入門」は実質メイトの初心者向け問題集、チェスマ スターブックス「チェックメイトの手筋」はその上級編にあたり、最近 の新刊では「どうしたらチェスのできみのパパに勝てるか」がメイト中 心の本らしい。
 今気づいたが、本書の出版予定も含めて全部翻訳物だ。例題や問題中心になるから独自に素材を集めるのが面倒だし、定跡のように古くなるジャ ンルでもないから、翻訳で済ましてきたのだろう。チェスの代名詞ともいえるチェックメイトに関する洋書は数多い。

 しかし、本書のようにメイトを整然と分類し、名局に初心者でも分かる解説を付けた好書を私は知らない(敗者との力量差が大きいから 戦略が分かりやすい)。各メイトの名前は誰でも知っているとか頻繁に呼ばれるものではないが、ウィキペディアにも載っていて、本書の資料的価値の高さがうかがえる。



 念頭に「今年は人生最高の年にする」と書いた。初出版を果たしたこ とでそれは何とか達成できたと思うが、「ボビー・フィッシャーを探して」 がこのままだと今年も出そうにない。

 今年の前半は評言社から出す次の本としてThe Queen's Gambit(小 説)とThe Mammoth Book of Chessを訳して いたが、どちらも半分弱で止め、チェストランス出版で出せる翻訳に切り替えたから、これらが出ないうちはかなり時間を無駄にしたことになる。
 今年の後半からMy Memorable 60 Gamesを訳し 始めたが、ページ数が多くて印刷製本代の先行投資がきついから後回し にし、本書The Art of the Checkmateに代え たが、もっと薄い本を探して「チェス 終盤の基礎知識」が先になっ た。

 いろいろなリスクを避けるために薄い本からという選択は正しかったが、薄い本、つまり安い本は何かと割損だと痛感した。直販は5冊以上としているが、amazonへの納入は売り上げが先細りになると1週間に2回の納入時に1冊だけ送ることにもなりかねない。1冊でも宅配便で送らねばならないので、ゆうパック持ち込みでも最低500円かかる。こ れでは赤字だ。
 これを回避するには適宜在庫切れを宣言し、予約がたまったらまた納入するしかない。今後はこういう措置を取って、ときどき 在庫切れ&予約 受付中になるかもしれない(汗。

 本書は訳にまだ局面図入れもしてないのでページ数は分 からないが、原書と同じ200ページくらいになるだろう。装丁を良くしても、安くて割損にならない分、定価を2000円までに抑えられると思う。
 装丁に関しては様々な意見をいただいた。チェス書装丁の最高峰は「チェス戦略大全」だ。あの装丁で10円/1ページを切っているから、私の本が高 く思えてしまうのだろう。しかし、初刷2000部と500部の違い。 プロの翻訳家がフルタイム作業として編集までやっていることを理解し ていただきたい。生活懸けずにここまでやる人はいないだろう。
 「チェス戦略大全」は内容レベルも最高峰だが、難しすぎるという声 も耳にした。私が来年にかけて出したいのは入門書とこの間を橋渡しで きる本だ。それなくしてはもっと難しい本を訳しても売れるようにはならず、採算が取れないことになる。チェストランス出版のラインアップがそろえば、上記の送料割損問題もなくなるだろう。それまで突っ走 るからよろしく!

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Georges Renaud & Victor Kahn
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posted by 水野優 at 13:28| Comment(2) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おらのとうちゃんも、このほんをもっているぞ。
なかなかよくできたほんだって、ほめてたぞ。
でも、きふがえいべいしきだから、よみにくいって、いってた。
だから、みずのおじちゃんのほんができれば、すごくいいわねって、おらのかあちゃんもいってるぞ。
でも、ねだんが、にせんえんになったら、おらのようなけんぜんな?しょうねんしょうじょには、てがとどかなくなるかな〜??
Posted by ちぇすのすけ at 2010年10月29日 20:30
 お父さんに買ってもらいましょう!

 そういえば、ツイッターで「子供対応で漢字に全部フリガナを付ける」と書いたけど、ワードに自動的に付ける機能等がなくてやめました。行間がさほど広くもないので見栄えも悪くなるでしょう。
 小学生以下の場合は、親御さんの読み聞かせに期待します(笑。
Posted by 水野優 at 2010年10月31日 00:57
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