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2010年09月30日

ヴァン・ダイン日暮雅通訳『僧正殺人事件』書評

 チェスが出てくるミステリーの最高傑作だからいずれ読まねばとは 思っていたが、こんな長編を読み切るのはしんどかった。最初の殺人が 起きるストーリー初日だけで100ページを超えるのだから。これで も、作者の確立したミステリーの王道は余分な虚飾をはぎ取っている。代わりに、事件に関係あるとはいえ、ずいぶんペダンチックな説明が語られる。
 チェスはたしかに重要な要素となっており、タイトルの僧正はもちろんビショップの 駒のことで、犯人が手紙の署名に使う謎の名前でもある。さらに、自分の名を冠したギャンビット定跡まで発案したパーディーという容疑者の一人がいて、彼と 実在の棋士ルビンステインとのマッチまで出てくる。以下は1敗1分後 の最終第3局で白のパーディーが投了した局面(原注より)だが、黒のメイトは簡単だ。最後にビショップを使うのがミソ。

局面図
45 Rxc2 Nxc2 46 Kxc2 b1Q+ 47 Kxb1 Kd3 48 Ka1 Kc2 49 d3 Bb2#

 しかし、最後のどんでん返しは手に汗握るという感じで、新訳もいい か らお勧めだ(台詞の処理に関しては不満があるが)。東野圭吾の「鑑 賞」と題する解説も、作家の観点から書かれていてとても興味深かった。
 著作権が切れているとはいえ私も訳して張り合う気はないが、チェス に 関する部分の訳を公開すればおもしろいかもしれない。その間の話はダイジェストにして?

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S.S. ヴァン・ダイン S.S. Van Dine 日暮 雅通
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posted by 水野優 at 17:58| Comment(0) | チェス(和書評) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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