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2010年09月06日

小林秀雄『モーツァルト』書評

 学生の頃「無常という事」の全文を国語の長文問題で読んだことがあ る以外は、「モオツアルト」さえ未読だった。この長音を使わない表記が印象的だったが、今回読んだ集英社文庫では本文まで通例の 「モーツァルト」になっており、シュウマイと一字違いのシュウマンに比べて逆に浮いている。
 モーツァルトだし、小林秀雄だし、昔から知っているから読んでおかねばと思ったしだいだが、文体とこの手の評論(?)は全く参考にならなかった。しかし、理屈を超越した説得力のようなも のは感じる。「モーツァルトの疾走するかなしさ」という表現は万人が 納得するところだ。

 疾走するかなしさの例として、弦楽五重奏と交響曲第40番という2 つのト短調曲が引用されている。25番交響曲も含めて私も同感だが、 私は2曲の短調ピアノ協奏曲と違って2つの短調交響曲を好きになれな い。
 このへんを反ロマン主義の著者と比べるとややこしくなるの で、自分の思うところを書いておく。古典期はモーツァルトに限らず短調曲が少ない。そもそも長調か短調かは曲の最初か主要部分がそうであるだけで、コード 進行的には両者が混ざっている。ニ短調ピアノ協奏曲は長調との交替が 頻繁で多分にロマン的だから小林には気に入らなかっただろう。
 より古典的にかっちり書かれているせいか、交響曲は短調独特の哀愁が抑圧され、私などは滑稽ささえ感じてしまう。感情移入をさせずに疾走して去っていく悲しみという点では、小林と私の感じ方は 同じだと思うが。



 『チェス 終盤の基礎知識』は編集がほぼ終わったのに、図書コード等の申請遅れで出版がずれ込むと思っていたら、ワードからのpdf変換を100ページ一気にやるととんでもなくCPUに負荷がかかることが 分かった。今回は友人のハイスペック機に頼るしかないが、映像や音楽ソフトならともかく、DTPでさえ2.3GHzのCPUではだめとは…。出版は9月下旬予定。
 いずれちゃんとレビューするが、チュートリアル機能等が技法書執筆 に生かせるかもと思い、Chessmaster Grandmaster Editionを買った。結局久々の対戦にはまってしまい、レイティング1660まで上がった。レベルはUSCFにしても甘い感じがする が、たしか に人間くさい手を指してくるし、私は人間相手よりソフトの方が好きかも。

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)
小林 秀雄
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posted by 水野優 at 11:05| Comment(0) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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