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2010年07月08日

Averbakh『Chess Endings Essential Knowledge』レビュー

 先月頭から始めて昨日で完訳したので紹介しておこう。こういうパターンは初めてかもしれないが、翻訳は最高の精読という意味で書評に最適だ。しかし、翻訳を出す本の原書を紹介 する必要があるのだろうか。

 本書の存在は約四半世紀前から知っていた。最初の個人出版は予算の関係(と様子見)でページの少ない本を探していたら、p.108という最適な本書を見 つけた。内容的にもamazonのレビュー通り、最小にして実戦的に は十分な内容が盛り込まれている。表記は代数式に改定されている。

目次

英訳者序文
著者より
序文
駒の特性

1 無防備なキングのメイト
 クイーンによるメイト
 ルークによるメイト
 2つのビショップによるメイト
 ビショップとナイトによるメイト
 2つのナイトによるメイト

2 ピース対ピース
 クイーン対ルーク
 クイーン対マイナーピース
 ルーク対ナイト
 ルーク対ビショップ

3 ピース対ポーン
 クイーン対ポーン
 ルーク対ポーン
 マイナーピース対ポーン

4 ポーンの昇格
 キング+ポーン対キング
 キング+マイナーピース+ポーン対キング
 ナイト+ポーン対ナイト
 ビショップ+ポーン対ビショップ
 ビショップ+ポーン対ナイト
 ナイト+ポーン対ビショップ
 ルーク+ポーン対ルーク
 クイーン+ポーン対クイーン

5 実戦的終盤戦
 ポーンの終盤
 ナイトの終盤
 ビショップの終盤
  同じ色のマスにあるビショップ同士
  違う色のマスにあるビショップ同士
 ビショップ対ナイトの終盤
 ルークの終盤
 クイーンの終盤

 無防備キングを最小戦力でメイトする次はたいていポーンの終盤が来るものだが、本書はピース対ピース。先にダイナミックなピースに慣れる狙いだ。辛気く さいポーンの見合い三角法が分からず分厚い本を投げ出した人も多いだろうから、これは正解かもしれ ない。しかも、見合いや対応マス要マス(key square)という概念で分かりやすく説明されている。私も終盤はこれを先に読めば良かった。
 私が最初に読んだ終盤本はファインのBasic Chess Endingsで、 今もベンケー(ベンコ)の改訂版が出ているが、最初に読むには量が多すぎてちっともBasicじゃない。20年前にこれを翻訳し掛かったのは私のチェス翻 訳の原点だが、これはさらにまずかった。今の状況では、本書が『ボビー・フィッ シャーを探して』より先に出ると思うが、そうなると初のメジャー翻訳出版の感慨も何もあったものではない。

 今は訳をワードに移してタイトルや棋譜を太字にしたところ。図入れをどうするか思案している。最終的にはpdfで印刷に回すが、チェス駒のアウトラインフォント情報をpdfに埋め込めるならその方が印刷がきれいにな る。しかし、たいていの図作成ソフトはBMPやJPGの画像として出 力する から何のためのアウトラインか分からないし、そもそもpdfへのフォント埋め込みが印 刷機に有効かは問い合わせてみないと分からない。
 大きな問題はこれくらいなので何とか資金を工面できる9月に出版で きると思う。1000部は刷りたいと思っていたが資金的に最悪500になるかもしれない。中は1色刷り、表紙は色バックの黒文字のみでカバーなし等、ビジュアル的には見劣りするだろうが、原書より安い値段で分かりやすく読みやすい内容にはなるはず。

Chess Endings: Essential Knowledge (Cadogan Chess)
Yuri Averbakh著 P.H. Clarke英訳
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posted by 水野優 at 11:26| Comment(8) | チェス(洋書評 終盤) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
水野様

初めまして。函館チェスサークルです。
アベルバッハのエンディングの本を
訳されたことを伝え聞きました。
複数購入したいのですが、どうすれば
いいでしょうか。連絡方法がわからず、
コメントとして提示することをお許し
ください。
Posted by kamiyakumo at 2010年07月18日 19:17
 初めまして。掲示板等拝見してます。
 コメントで全然問題ありません。出版は9月でまだ印刷製本先とやり取りしながらレイアウト編集しているところですが、早速のお問い合せありがとうございます。

 個人出版ですが、図書(ISBN)コード付きなので取次を使えばamazonに入りますが、直販の方が当然利益が高いのでそのへんをまだ迷っているところです。直販のみだと当方の郵便振替口座へ送金いただく方法になると思います。直販は手間なのでサークルの代表者による一括購入はありがたく、冊数に応じた割引も考えております。
 決まったら発表しますのでよろしくお願いいたします。
Posted by 水野優 at 2010年07月18日 22:28
了解しました。
その本は私が最初に読んだ終盤戦の本で、
とても優れたものですし、訳が完成したら
日本チェス界に大きな貢献となるでしょう。
そのお仕事に敬意を表します。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by kamiyakumo at 2010年07月19日 00:36
 心強いお言葉ありがとうございます。50年前の本をエブリマンがまだこの価格で出していることに納得する良書ですね。
 好きの延長が収入源や社会貢献になれば幸いです。
Posted by 水野優 at 2010年07月19日 12:21
アベルバッハ『チェス 終盤の基礎知識』を購入したいです
部数が少ないらしいので
確実に変える方法を 教えていただきたいです
わがままなのは 解っていますが
振込みで 郵送してくれるとすっごく助かります
アマゾンでの販売も考慮されているとのことですが
本当に欲しいです
わがままを言ってすみません
でも この気持ちは 解って欲しいです!!
Posted by もも at 2010年07月19日 22:48
 ももさん、こんにちは。アンテナからブログ見てますよ。ウェブでチェスを熱心にされてる方は練習量が半端じゃないですね。私の若い頃の何十倍かも。

 購入ご希望を知らせていただき、ありがとうございます。500部としてもすぐ売り切れませんし、ももさんの分はキープしておきます(笑。
Posted by 水野優 at 2010年07月20日 12:51
ご無沙汰しております。

今年4月に交通事故に遭い、記憶が幾分飛んでしまいまいた。チェスが将棋のようなものである事は覚えていましたが、自分がチェス洋書などを読んでいたなど、未だに信じられない思いです。

先日、「チェス戦略大全 第1巻」を斜め読みしていると、濃霧の中でかすかな形みたいなものが見えたような気がしました。「チェスはどうでもいい」状態なので洋書を開く気力はありませんが、チェス終盤の基礎知識は出版されたら購入させて頂きます。読んだら何か思い出すかも知れないような気がします。チェス目的でないので申し訳ないですが、楽しみに待たせて頂きます。
Posted by NoMercy at 2010年07月26日 00:12
 ほんとにお久しぶりです。

 ブログを閉鎖されてからもamazonのレビューでお名前を見ては気になっていました。
 交通事故とはたいへんでしたね。頭への衝撃があったのでしょうか。私の本がどんな形であれお役に立てばよいのですが。
 ご家族のことやギターのこととか、もっと昔のことは大丈夫ですよね。
Posted by 水野優 at 2010年07月26日 20:26
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