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2006年03月27日

ラスカー『チェスの常識』No.7&8その3

 久々にボウリングの話をしよう。一昨日のスカイAの「パーフェクト・ボウリング」がまたアメリカのプロトーナメント放送になった。BSが入らないので去 年のジャパンカップさえ見てなかったが、その優勝者トミー・ジョーンズがトーナメントでなんと14連勝を続けているというのを聞いて驚いた。
 若いわりにハゲに近い短髪で体躯もそれほど良くないという印象しかなかった彼だが、ショートオイル気味のレンコンとはいえ、エッジいっぱいまで出した フックボールで豪快なストライクの山を築いていた。決勝ではあわやパーフェクトの289で優勝を決める。これが14連勝目なのだろうか。
 アメリカも日本も、プロになっても1勝もできずに終わる選手はごまんといる。同じトーナメント制プロのゴルフを想像すれば分かりやすい。だから14連勝 がいかにすごい記録かが分かる。プロになるのもたいへんだが、ほんとうにたいへんなのはそれからという世界。久しぶりにいいものを見た。


エマヌエル・ラスカー『チェスの常識』(1917)
No.7 & 8 その3

 このため、我々が課題に取り組む前に、開始局面は一方が他方に勝てるたぐいの局面とは区別されてきたという前提から始めねばなりません。これを当然と見 なせば、問題は以下のように言い換えられます。局面や戦力の均衡というものは、最低でも少しは崩れているので、劣勢側のキングをチェックメイトすることが 可能になるのだと。

 ほぼ互角の局面で一方が他方に強制的に勝てるかどうかという問題は、通常双方の微妙な相違点によります。それぞれ個別のケースで、知性を応用によらずに 一定の規則や数式等で答を求めようとしても無駄です。こういう複雑な性質の問題を解決する唯一の方法は、盤を分割し、部分的な問題を経験的な手法で分析 し、最後にすべての答をまとめて結論を引き出すことです。

 今、あるチェスの局面で、ある側(例えば、キング側)では優勢だが、他の側(クイーン側かセンター)では劣勢で、全体としては自軍が優勢の場合、どうい う方法でこの優勢に乗じればいいのでしょうか? 当然ながら、答は局面の分析しだいです。しかし、組織だった分析にはかなりの明晰さや鋭敏さが必要なの で、精神的負担は最小限まで抑えねばなりません。

 チェスの指し手は、以下の3種類に分けられます。
  (a) 展開、つまり、新たな戦力の投入。
  (b) 攻撃、つまり、ピースで敵の駒を威嚇。チェック、チェックメイトの狙い等。換言すると、ピースに何かをさせる、または働かせること。
  (c) 防御目的利用、つまり、弱点の保護、重要ラインの妨害等。換言すると、敵駒の働きの無力化。

 どの種類の指し手が求められているかは、局面の必要性によって決まります。敵が、キングやクイーンの不都合な配置等の重大な弱点を抱えている領域で、自 軍の戦力が優勢なら、迅速に攻撃すべきです。すべての指し手は、それに寄与しなければなりません。予備の戦力は、できるかぎり手得をしながら−例えば、そ の道中で弱点を攻撃しながら−攻撃に加勢し、相手の予備戦力は、可能なら利き筋に駒を置いて邪魔すべきです(この目的のためにモーフィーがポーン・サクリ ファイスしたことを思い起こしましょう)。手段は多様ですが、防御側の指し手の多くが強制的となるため変化手は通常少なくなり、突っ込んだ分析が可能な局 面となります。こういう攻撃を「ペース」が速いと言います。

 引用したすべてのゲーム(特に前講義のフレンチ・ディフェンス)は速いペースの攻撃を含んでいます。次のゲームもそうです。


 一口書評(汗。チェルネフ晩年の傑作↓は、かつて私のチェス翻訳に刺激された知人から全訳のコピーをいただいたことがあってそれしか見たことがないが、 ページごとに実戦や作局から選んだ1問ずつが整然とならんでいる。パンドルフィーニ本のような内容分類はされていないが、楽しみながら上達するというツボ は押さえて あって気軽に取り組める。Doverには珍しく、代数(国際)式記譜法に改訂されている。
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posted by 水野優 at 14:31| Comment(0) | Lasker『チェスの常識』講義(完) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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