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2006年03月18日

水野優の窮境のチェス:GAME 21,22

 帰省中、毎日新聞14日の「余録」にたまたまチェスねたを見つけた。実家はずっと毎日なので朝日の「天声人語」よりこの「余録」に親しみがある。ノーベ ル物理学賞を受賞したファインマンが、物理学を神が行う壮大なチェスにたとえている。→3/14 余録
 神が人間を駒に見立てて正に「人間チェス」をやっている風な運命論的思想は古今東西に見られるが、ファインマンの視点は微妙にそれとは違っているのがお もしろい。


『水野優の窮境のチェス--Yu Mizuno's Out-of -the-way Chess Moves』

                                                                2(5段階の難易度)
GAME 21   Yu Mizuno vs K. Karpoff(Finland)
                 1989-90
                 ICCF TT/9/89/3

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
rn1qkb1r/pp4pp/2pp1n2/4p3/2B1P1b1/P1N2N2/1PP2PPP/R1BQK2R w KQkq - 0 8

白番(8手目)

考え方=レガルのメイト(Legal's Mate)という形を御存知でしょうか? この局面はメイトにはなりませんが、同様の考え方で黒の弱点を狙います。

答え=8 Bf7+!が正解です。ポーンさえも取らずに取ってくださ いとチェックをかける手ですが、「ただより高い物はない」ということわざもあります。8...Kxf7 9 Nxe5+ 白はチェックと同時にg4のビショップを攻撃してピースを取り返し、その結果ポーン得が残って優勢になります。黒はクイーンが浮き駒なので 9...dxe5とできないのが痛いところです。
 8 Bf7+のような手をおとり(作戦)(decoy)と言いま す。おとりを取らなければどうだったでしょう。8...Ke7! この方が良かったのです。白は次にビショップを退くしかありません。展開も陣形も上回る白は、手損しても黒からキャスリングの権利を奪う方が得策と考えま した。相手が取ってくれればもうけ物という(trap)を結果的に 仕掛けたことにもなります。

Van Geet Opening
1.Nc3 f5 2.e4 fxe4 3.d3 Nf6 4.dxe4 e5 5.a3 d6 6.Bc4 c6 7.Nf3 Bg4 8.Bf7+ Kxf7 9.Nxe5+ Kg8 10.Nxg4 Nbd7 11.0-0 h5 12.Nxf6+ Qxf6 13.Be3 Qg6 14.Qe2 Nf6 15.f3 Be7 16.Rad1 Kh7 17.Qc4 Rhe8 18.Qb3 b6 19.Ne2 Rec8 20.Nf4 Qe8 21.Qe6 1-0


                                                                3(5段階の難易度)
GAME 22   R. Bialas(Poland) vs Yu Mizuno
                 1989-91
                 ICCF TT/9/89/3

  a b c d e f g h  
 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
r1b4Q/ppp4p/6k1/3p4/8/7q/PPPP1P1P/R1B1K3 b Q - 0 18

黒番(18手目)

考え方=白は 18 Qxh8とルックを取ってドローを提案してきました。ポーン損の黒は受けるべきでしょうか?

答え=18...Qe6+が正解です。当然、ドローを受けてはいけま せん。白はルックを取り返しても全然互角にもできていません。本譜を見れば分かりますが、黒はh8のルックをあえて捨てたのです。白に駒得させた代わり に、黒は主導権を握りました。
 黒はビショップでチェックをかけることができれば、ルックでクイーンを取れます(開き攻撃)。そこでまずクイーンをチェックで時間を稼ぎながらクイーン 側へ回します。ビショップはキング側へ出撃するので、そうすれば真ん中にいる白のキングを両側から攻撃できるからです。
 19 Kf1 19 Kd1?には 19...Qg4+から早くメイトになります。19...Qa6+ 20 d3や 20 Kg2には 20...Bh3+で少なくともクイーンを取れます。20 Ke1や 20 Kg1にも 20...Bh3から次に 21...Qf1#の狙いがあるので、白のクイーンは守りにもどれないし、有効なチェックさえかけられません。

Vienna Game
1.Nc3 e5 2.e4 Nf6 3.Bc4 Nxe4 4.Bxf7+ Kxf7 5.Nxe4 d5 6.Qf3+ Kg8 7.Nh3 Nc6 8.Neg5 Qd7 9.Qc3 Nd4 10.Nf3 Bb4 11.Qd3 Qg4 12.Nxd4 Qxg2 13.Rg1 Qxh3 14.Qb5 exd4 15.Qxb4 Kf7 16.Rxg7+ Kxg7 17.Qxd4+ Kg6 18.Qxh8 Qe6+ 19.Kf1 Qa6+ 0-1
posted by 水野優 at 16:49| Comment(0) | 窮境のチェス(次手問題&解説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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