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2009年12月27日

John Bellairs『The Chessmen of Doom』レビュー

 もちろん読み物系のチェス翻訳候補本も探している。本書はチェスがらみじゃないと絶対読まないたぐいだが見事に外れた。米amazonで裏表紙を見た ら、One wrong move could mean the end of the world!とあるから具体的な手順くらい出てくると思ったのに、駒が魔術のアイテムとして出てきただけ。だまされた!
 ジョン・ベレアーズの子供向けミステリー、ジョニー・ディクソン・シリーズは11冊出ていてそのうち3冊が集英社から林啓恵の訳で出版されている。 2005年で止まっているのであまり売れなくて続きが出なくなったのだろう。チェスの扱いはともかく、おもしろかったら私も集英社に問い合わせようと思っ たが、私の嗜好を差し引いてもこれは駄作に思える。
 とはいえ、せっかくだから(腹が立つので)、読みながら書き留めた粗筋でネタばらしをしておこう。英語のレベルはハリポタより少し上だが、アメリカな分 だけ読みやすい。

第1章
 ロデリック・チルダーマン教授の弟ペレグリンが謎の遺書を残して死亡。ロデリックはディクソン老夫妻の孫ジョニーと仲良しで、二人は謎を解くためにペ リーの邸宅へ向かうことにする。
第2章
 学校が休みになる夏までに準備し、ジョニーの友人ファーギーも加わった三人はペリーの大邸宅への探検に出かける。教授はそこで窓越しに見知らぬ人影を見 るが、すぐに幽霊のように消え去った。
第3章
 教授は邸宅の塔の部屋で謎の遺書の手がかりらしきチェス盤を発見するが、謎は深まるばかり。外食からもどるとペリーの墓が荒らされていた。
第4章
 翌朝教授は警察を呼んだ。数日後、三人が映画を見た帰りに教授がうっかり転ばせた男の鞄から男女の形をしたチェスの駒がこぼれ落ちた。邸宅にもどると塔 の部屋から灯りが漏れていた。ジョニーは夜中に目を覚まして部屋の隅に幽霊を見る。翌朝ジョニーと教授がそのことを話していると、ファーギーが庭で変な物 を見る。
第5章
 庭の石膏像にボールが当たって壊れた中から人の頭蓋骨が出てきたのだった。教授は図書館で頭蓋骨が盗まれた事件を調べても分からなかったが、ロンドンの 博物館から盗まれた800年前のチェスの駒がスコットランドで発見されたことを知る。あの男が落とした駒がそれだったのだ。ジョニーが夜中に夢遊病者のよ うにドームの近くまで歩いていき、我に返ると「教授を止めろ」と言う声を聞き、気絶する。
第6章
 翌朝目を覚まして邸宅に帰ったジョニーは号泣してすべてを教授に話す。三人は近くの湖の中の島へキャンプに行く。夜教授が寝ている間にファーギーはジョ ニーを説得して別の島を探検し、そこの別荘に例のチェスの駒と星図があるのをのぞき見るが、背後から声を掛けられる。
第7章
 ジョニーとファーギーを脅した男は幽霊のように消え去った。二人は一目散にボートで教授のいる島にもどるが、途中で空に彗星を見る。翌朝教授に彗星のこ とを話すが、夜中の探検のことは話せない。8月のある日、三人が邸宅へもどると家中の灯りがともっていて何物かの力で入ることができなかった。しばらくし てそれは解け、空の彗星も消えた。
第8章
 三人が邸宅にはいると中は荒らされており、教授は駒を盗んだ男のしわざと確信した。塔の部屋で頭蓋骨を発見して遺書の謎が少し解け、教授は男が駒を使っ て彗星を招き寄せていると考える。その男エドマンドが月曜に買い出しで島を留守にすることを突き止めた教授は、半ば強引に二人を連れて島へ向かった。豪雨 と霧で見えないままある島に着くと鐘が鳴る教会があり、中で三人の葬儀が行われていたので一目散にボートで島から逃げるが転覆して湖に投げ出されてしま う。
第9章
 三人は警察船に助けられて邸宅へもどる。教授は遺産をあきらめて家へ帰ろうと言い出すが、二人は本心ではないと見抜く。とにかく三人は家にもどり、九月 になって三人とも学校が始まる。教授がこっそりと他の教授チャーリーたちに助けを求めていることから、ジョニーは教授があきらめてないことを確信し、 ファーギーとともに教授の行動を追い続けた。
第10章
 二人は教授の家にしのび込んで聞き耳を立てる。教授とチャーリーはペリーとエドマンドが儀式を企てていたことを突き止めていた。魔法の儀式が次に行われ るのは天文学的に来年の1月と予想し、それまでに謎を解いてエドマンドと戦おうと誓う。
第11章
 1月になった。ジョニーとファーギーは教授たちの最終決戦に合わせて列車とタクシーで邸宅へ向かう。ところが、列車を降りて乗ろうとしたタクシーにはエ ドマンドが乗っていた。
第12章
 二人は雪の中を教会に連れてこられる。寒い地下室の棺に教授たちが眠らされていて二人も縛られて放置されるが、一人の女性が入ってきた。
第13章
 女性は教授の死んだ弟が救世主と言ってたアニーだった。彼らは鍵を求めてアニーの家へ行く。教授が鍵を見つけ、アニーに一緒に邸宅へ行ってくれと頼む。 邸宅ではすでに儀式が行われているらしく、塔の部屋まで行くと自然にドアが開いた。
第14章
 アニーは鍵のパワーと呪文でシールドを破ってエドマンドをやっつけた。
第15章
 5人はアニーの家にもどって今までの疑問点を整理したり今後のことを考えた。
第16章
 後日談。教授、ジョニー、ファーギーはいっしょにチェスの駒を大英博物館に返しに行き、館内を鑑賞する。

 内向的な主人公ジョニーよりチルダーマン教授や無鉄砲なファーギーが活躍する。ジョニーはその代わり特に頭脳明晰というわけでもない。ドラえもんがいな い のび太ではどうしたものか。本シリーズの他の作品が全部こうなのかは知らないが、どんな日本語に訳されているのかも含めて立ち読みくらいはしてみたい。
 教訓としては、chessmenやchessboard(ルース・レンデル参照)がフィーチャーされているものは、チェスセットが骨董品やイメージで出 て くる程度と思った方がいいということだろう。

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posted by 水野優 at 13:11| Comment(0) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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