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2009年12月19日

Eric Schiller『Standard Chess Openings』レビュー

 出版翻訳の最中にも次の候補本選びには常に余念がない。かつて他人のレビューをまとめていただけのチェス洋書レビューに比べれば、翻訳の可能性があるも のに絞り込んだとはいえ、ちゃんと買って判断している。
 『ボビー・フィッシャーを探して』のような未訳の名作はなかなかないので次は技術書をやろうと思う。『チェス戦略大全』が中盤に重点を置いているので、 大雑把には次に序盤(定跡)と終盤の本が必要だ。定跡と終盤なら終盤の方が大切かもしれないが定跡の方が売れるだろう。それならまず、すべての定跡を概説 した本から出すべきだろう。個別の定跡書までは出せないだろうし。

 今のところ最適と思われるのが"Standard Chess Openings" Eric Schiller 1998- Cardoza Pubulishing p.768. マーケットプレイスで安くて買ったのが2000年刷でその後第2版が出ているが、レイアウトの微妙な差程度で実質的には変化なし。 以下、売り文句を書いてみた。
 
【概要】
 まず、定跡とは何か?から一般的に良いとされる序盤の指し方を説明(各駒の具体的なさばき方等)する。次に具体的な各定跡を大きく5つに分け、定跡や変 化を名前とともに詳しく分類解説し、各変化について主要な狙いの説明とともに最低1つの実戦を解説付きで例示する(全部で250局の完全なゲームと 3000の変化手順を含む)。最後に定跡レパートリーの選び方をレベルに応じて紹介し、定跡のコードや名称の分類表、年代、ゲーム、定跡等の索引がある。
 
【推薦理由】
 枝分かれを羅列しただけの定跡書の弊害が叫ばれるようになって久しく、その類は姿を消した。しかし、選択肢の少ない日本では、入門書を読み終わったばか りの初心者が路頭に迷わないためにもある程度の変化枝分かれによる整然とした分類も必要である。なおかつ各定跡の基本概念と実戦例の解説も充実した本書 は、読み物、実戦集、(読み終わった後の)レファレンスという条件を満たしている。
 過去にチェス定跡書の邦訳はなく、邦人著書で『ヒガシコウヘイのチェス入門 定跡編』と『チェス・マスターズブックス 定跡と戦い方』の2冊があったくらいだが、本書はボリューム的にその5倍以上の決定版となるだろう。
 総合定跡書は、一生出くわさないかもしれないレアな変則定跡まで扱う反面、もっとページを割くべきメジャーな定跡があっさり片づけられる欠点があり、上 記の和書もその類である。しかし、これほどの大書になるとその問題はほとんどない。段組にすれば2巻各300ページほどで出せるだろう。
 
【目次】
1.序文
2.概論
 定跡とは何か?
 手順前後
3.最適な序盤の指し方
 白番での最善定跡を選ぶ
 黒番での最善定跡を選ぶ
 各駒に最善のマスを選ぶ
4.オープンゲーム 1.e4 e5
5.セミオープンゲーム 1.e4 e5以外
6.クローズドゲーム 1.d4 Nf6以外
7.インディアンゲーム 1.d4 Nf6
8.フランクゲーム 上記以外
9.レパートリーの構築
10.次の段階
11.付録

 Schillerの英文は易しいので翻訳の歯ごたえや妙味はなく、いかにすっきりした日本語にするかだけなので、作業量としては300時間、暇な私が毎 日3時間かければ3か月で終わる。本当はファインの『定跡の背後にある考え方』の現代版ワトソンのMastering the Chess Openingsシリーズをやれれば最高だが。
 その後「チェス大百科」的本を優先させることにしたので、定跡本は後回しになるだろう。これはという本があれば教えてください。

Standard Chess Openings, 2nd Edition
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posted by 水野優 at 13:50| Comment(0) | チェス(洋書評 序盤) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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