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2009年12月15日

竹内著嵯峨野構成『理系バカと文系バカ』書評

 最近はめっきり書評をしなくなった。出版翻訳が優先なので読書量も減っている。宇宙物理や生物学、哲学のような興味ある教養系はさっぱり読まなくなり、作曲技法、スコア(オケ&演奏用ピアノ)、作 詞、演劇等、映像作品制作に必要な実用系ばかりなので、このへんは書 評すべきかどうか決めあぐねている。
 それでも先日の帰省のときに新書を3冊ほど読んだ。珍しく105円 より高いのに買った竹内薫著嵯峨野功一構成『理系バカと文系バカ』 PHP新書586('09/3)は、ちょっとめくって前半がおもしろそうだし、帰りの新幹線の暇つぶしが他になかったから。PHP「文庫」だったら絶対に 買わなかっただろう(笑。

目次(最下位項目除く)
はじめに
序章「理系」「文系」って、そもそも何だ?
第1章 こんなタイプが「理系バカ」「文系バカ」!?
 @「文系バカ」と呼ばれる10の事例
 文系バカ@血液型診断や占いが気になって仕方ない
 文系バカA取扱説明書は困った時にしか読まない
 文系バカBたいていのことは「話せば分かる」と信じている
 文系バカCダイエットのために「カロリーゼロ」のドリンクをガブ飲みしてしまう
 文系バカDアミノ酸、カルニチン、タウリンなどのカタカナ表示にすぐ飛びつく
 文系バカE「社会に出ると因数分解なんて必要ないよね」と言ったことがある
 文系バカF「インド式算数」を学ぶより、電卓を使えばいいと思っている
 文系バカG何でも平均値で物事を判断してしまう
 文系バカH抗菌コートのトイレじゃないと入りたくない
 文系バカI物理学と聞いただけで「難しくて分からない」と思ってしまう
 A「理系バカ」と呼ばれる10の事例
 理系バカ@できれば他人と深く関わらないで生きてゆきたい
 理系バカA新型、最新テクノロジーの商品を買うために徹夜してでも並ぶ
 理系バカB相手が関心のないことを延々と話す−女性との会話も下手
 理系バカC独善的で、いつのまにか相手を怒らせている
 理系バカD「もっと分かりやすく説明して」と、よく言われる
 理系バカE分からないことは、何でもネットで検索してしまえ
 理系バカF感動するポイントが人とズレている
 理系バカG文系より理系の方が人間として「上」だと信じている
 理系バカHUFOや心霊現象について語ることは犯罪に近いと思う
 理系バカI以外とオカルトにハマりやすい
第2章 理系と文系、どっちがトク?
第3章 日本は理系人間が育ちにくいのか?
第4章 「理系センス」がある人はどこが違うのか?
第5章 文理融合センスを磨く5カ条
おわりに
理系ワールドを楽しむオススメの10冊

 著者は一般向けに科学を分かりやすく紹介するサイエンスライターだ からこういう内容には打って付けだが、下世話なネタに関しては構成の嵯峨野がかき集めたようだ。私自身は理系寄りの文系だから、「はじめに」にあるように、身長が0.8倍だと体重(体 積)は約半分になるという概算を著者がすると妻が理解できずに不思議がったという話は、私なら著者の立場だ。現に180cmの男性の体重が80kg、 144cmの女性の体重が40kgなら人並みだ。三次元空間にいながらそれを理解していない文系人間が多い。
 本書はもちろん文理融合を理想としてその足がかりを目指している。 第1章の文系と理系のそれぞれ10のバカ、私は1つずつくらい該当した。文系はDくらいで、空気清浄機をマイナスイオン目当てではないとはいえ、それに引 かれて 買ったことは確かだ。理系はEくらいだが、本書ではたわいもないことまで携帯で検索する意味で言っている。私の場合は、翻訳で分からないことを安易な検索 だけで済ませて裏を取らないことの方が問題だ(汗。

 第2章についてはあまり考えたこともないが、理系出身の官僚へのアンケートで「何 になるかは文系が有利だが、何をするかについては理系が充実している」という回答が印象的だ。文系の方が職業選択でつぶしが効くということ だろうが、文系か理系かで迷うならとりあえず理系にした方が後で変更が効くと昔から言われている。
 第3章は昨今、実はずっと前から言われている深刻な理系離れについ て。事業仕分けで予算が削られればさらにピンチだが、文系というか芸術系はもっとやばい。芸術は通常文系と見なされているが、理系の作家も増えたし、総じて制作側には理 系的知識が必要だ。コンピューターを使う場合があるだろうし、作曲などは数学に近いものがある。私は絶対音感もないしコードの聴き当てもできないが、メロ ディー に理屈だけで音を出さずにコードを付けたりする。だからベートーヴェンは耳が聞こえなくなっても作曲ができたと言えばおこがましいが、私ほど何をするにも理論先行の文系人間は珍しいと最近特に思う。

 文系と理系のバランスが悪くてもどちらかが図抜けていればまだましで、世の中はどちらも大したことがない人の方が多いのだろう。そういう人たちが総じて 文系と言われる(文系を隠れ蓑にする?)から理系の方が高級に見える。
 本書では触れられていないが、理系的割り切りをあまり早期に学ぶと文系的想像力を伸ばせなくならないかと思った。例えば、生物学の知識があると、 人間のような意識を持っていない生物の営みに感心したりそれを擬人化して考える発想がなくなりはしないかと。元々動物に興味がない私は、進化論を知ってか らますます本能で行動しているだけの動物に興味がなくなった。でも、ぬいぐるみには愛情を感じる(笑。
 これは幼い頃の情操教育の問題だから本書の範囲外なのだろう。理系 人間でも、専門外の理系知識にうとい専門バカはいる。多くの文系人間 も、ブラックボックスの中を知りたいと思っているのにコンプレックス が邪魔をしているのが現実だ。そういう人には、本書では紹介されていないが、秀和シ ステムの図解入門シリーズはどうだろう。

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嵯峨野 功一
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おすすめ平均 star
star娯楽書です。
starいわゆる性格診断本??
star読む価値はあまりない
posted by 水野優 at 14:52| Comment(0) | 英語/翻訳/文芸/科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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