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2006年01月31日

Soltis『Pawn Structure Chess』

 耳あかがパサパサかドロドロかを決める遺伝子が見つかったそうである。意外だったのは、世界的にはドロドロが多数派でパサパサは突然変異型なのに、日本 は8割がパサパサだということだ。私はドロドロだから耳かきは無縁で、あかがたまって聞こえにくくなるなどという話は想像もできない。
 パサパサならウレタンの耳栓の寿命がもっと延びてくれるのにとは思うが、ドロドロが世界標準なのに日本では少数派とは、私らしくて何となくうれしい (笑。


 めぼしい個別序盤本は一通りやっておこうと言ったばかりの洋書レビュー だが、それは序盤連載に回してまた方向転換する(汗。思えばブログを始めたときは「チェスがメイン」になることすら決まってなくて、翻訳の延長で試行錯誤 してきたものだ。いろいろやってみないと形が見えてこないことだけは分かった。
 Andrew Soltis"Pawn Structure Chess"(368ページ、'95年、ランダ ムハウス)である。フィリドールが「チェスの魂」と表現したポーンだけを扱った本はけっこうあるとはいえ、ポーンの形にだけ(もちろんそれに伴う 戦略や実戦解説も含まれるが)に焦点を合わせた本書は異例で、米amazon等での評価も高い。

 ポーンは、キングも含めたピースのように前後左右に対称的には動けない、つまり後戻りができないので、勝敗を決する猛攻をかけるときやピースがほとんど なくなった終盤は別として、常に他のポーンやピースとの連係を考慮しながら慎重に進める必要がある。
 私がすでに訳した分のラスカー『チェス戦略』もそうであるように、序盤の懇切な解説本は必ずといってポーン形に言及している。ポーン形は各定跡のプラン 決定と密 接に関連しており、それは逆に、定跡を外れてもポーン形の扱いを誤らなければ中盤まで問題なく指せるということでもある。

裏表紙の一部訳:
・あらゆる種類のポーン形の扱い方
・ポーンチェーンの強さと弱さの識別法
・センターポーンを交換すべき時−すべきでない時
・相手ピースを抑制し、自陣を柔軟に保つ方法
・つけ込めるポーンの「ホール」その他の弱点の作り方

目次の訳:
序文:何のゲームの魂?
1.カロ−スラブ系
2.スラブ形
3.オープン・シシリアン−イングリッシュ
4.ポーンチェーン反発
5.e5チェーン
6.キングズ・インディアン複雑系
7.クイーンズ・ギャンビット系とその親戚
8.パノフ形
9.ストーンウォールと他の監獄
10.クローズ・シシリアン−イングリッシュ
索引

1.カロ−スラブ系の冒頭訳:
 系(family)は、同じ特徴を持つものや共通の定跡に由来するポーン形が緊密に関連し合うグループを意味する。カロ−スラブ系では、一方だ けが1つのセンターポーンを4段目d4に持ち、相手はdポーンをeポーン(カロ形)かcポーン(スラブ形)とすでに交換している。交換されたセンターポー ンはそれだけである。

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 8   8 
 7   7 
 6   6 
 5   5 
 4   4 
 3   3 
 2   2 
 1   1 
  a b c d e f g h  
カロ形

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スラブ形

 見た目の類似性以外にも、2つのポーン形は根本的に堅固さと保守性の点でも共通している。白にとって、危険を伴わずにセンターをこじ開けることは難し い。中盤は緩やかに進行することが多い。しかし、白はdポーンのおかげで依然として基本的に優位を保っている。dポーンのセンター支配力は大きく、ピース の拠点にも好都合で、大突破(d4-d5)の好機も狙える。黒は窮屈な陣形を克服せねばならず、自らもポーン形が突破(...c5 か ...e5)を計る。
Pawn Structure Chess (Mckay Chess Library)
0812925297 Andrew Soltis

Times Books 1995-11
売り上げランキング : 226,230


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posted by 水野優 at 14:38| Comment(0) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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