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2005年12月31日

Znosko-Borovsky『Art of Chess Combination』

 私のチェス書翻訳も、第一には自分の満足感のためだが、これだけ「日本語」の情報がウェブ上で得られることで国内のチェスの底辺層が増えてレベルが上 がってほしいという願いはもちろんある。それが即中級レベルのチェス和書が出版されることにはつながらないだろうが、少しは意識が変わってくるだろう。
 羽生さんの海外での活躍はうれしい。そのフィッシャーに似た棋風に、ブームまで'70年代のアメリカの再来をなどと期待するのは行き過ぎだろうが、チェ ス書の翻訳だけで食べていける状況を夢想するなというのが無理な話だ。文体も好きなSilman本の訳を出せるなら印税じゃなく「千円/ページ」でもやり たい(印税より高そう)。


 年末を飾るほどの本ではないが、著作権切れならまた訳す狙い目のEugene Znosko-Brovsky"Art of Chess Combination"(212ページ、'77 年、ドーバー)である。数冊の英訳された技法書で有名な著者だが、短いプレーヤー人生の戦績も華々しかった。
 日露戦争への従軍後トーナメントデビューし、1930年のパリ大会では無敗で優勝した。同時対局も得意で、講義、レッスン、執筆等幅広く主にロシアとフ ランスで活躍した。ロシアの文学と演劇評論でも名を成している。本書の記譜はもちろん英米式である。

目次の訳:
ドーバー版への序文
序文
第1部 コンビネーションとその研究
1 コンビネーションの技術は学べるか?
2 コンビネーションとは何か?
3 特別なコンビネーション
4 分類の試み
第2部 コンビネーションの考え方
1 コンビネーション、プロブレム、スタディ
2 幾何学的考え方
3 ナイトのコンビネーション
4 序盤の手筋
5 手筋の妨害
6 ディスカバード チェック
7 ステイルメイトをメイトへ
8 無防備なピース
9 防御負担過剰ピース
10 防御されたポーン
第3部 局面依存のコンビネーション
1 局面に関連するコンビネーション
2 hポーン
3 2ビショップのサクリファイス
4 g7(g2)ポーンとgファイル
5 fポーンとキャスリングしたキング
6 ナイトのコンビネーションによるf7(f2)とe6(e3)への攻撃
7 センターでのコンビネーション
8 前進したfポーン
第4部 コンビネーションの生死
1 コンビネーションの準備
2 コンビネーションの仕組み
3 コンビネーションの反駁
結論
追記:最近の選手権からの二例
実例ゲーム(200)の索引
練習問題(10)解答

1 コンビネーションの技術は学べるか?の冒頭訳:
問題の難し さ
 「コンビネーション」という神秘の領域への魅惑的な旅−あまりに探検されていないゆえに魅力的な−を始める前に、待ちかまえる困難を十分に現実化し ておく必要に迫られた。
 コンビネーションの学習は、そこに現れる想像力豊かな美によって楽しく容易く実現するものであり、厳格な法則や厳密な論理に支配されたチェスの他の 問題よりもずっと単純な事柄だと思われてきたかもしれない。しかし、それは間違っている。正しく明白な論理に欠けていることこそが、コンビネーション学 習の困難な元凶なのである。一般論ではほとんど扱えない。本書で、一般原則や支配的概念を何か主張できるだろうか? どのコンビネーションも、そ れぞれが独自の規則を持つ特殊なケースではないのか? したがって、読者をうんざりさせる危険を承知で、多くの実例が必要となった。この労力に価するもっ とも らしい推論ができる確信もないのだが。
Art of Chess Combination
0486205835 Eugene Znosko-Borovsky

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posted by 水野優 at 15:27| Comment(0) | チェス(洋書評 その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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