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2005年12月24日

DeFirmian & Korn『Modern Chess Openings: MCO-14』

 昨日TBS「一万人の第九」を見た。指揮者の佐渡裕はもう7年目らしいが、去年に続いてユンソナもソプラノに加わった。やはりハイトーンが厳しそうだ。 合 唱も練習するとはいえほとんどが素人だし、自分らが同時に聴き手として同じ空間を共有する不思議なコンサートである。広すぎて音の時差が生じるから指揮者 の意義が高まるとは経験者の弁(笑。


 Nick De FirmianWalter Kornの"Modern Chess Openings: MCO-14"(734ペー ジ、'99年、タイムズ・ブックス)である。私は第13版を持っていた。以下に見るように表の手順が縦に並ぶのが、対抗馬のNunn's Chess Openings(NCO)と異なり、見やすさの好みが分かれるところだろう。
 Batsford Chess Openingsの流れをくむNCOに比べると、古くてあまり指されなくなった序盤でも歴史的意義のあるものは残し、各定跡最初にある解説でも変遷をたど るように詳説されているのが特徴である。その意味でNCOと重ならない部分が多いから、ディープなファンは両方買うしかないだろう(笑。

出版社レビューの訳:
MCO-14 チェスプレーヤーのバイブル
 始めよければ半分は成功したようなものである。
 なぜ『モダン・チェス・オープニングズ』が「チェスプレーヤーのバイブル」と呼ばれるのか? それは、半世紀以上も前に初出版されて以来、チェス界で最 も信頼されてきたからである。チェスの定跡に関して最も新しくて包括的な一巻本資料だからである。さらに、過去8年間の主要トーナメントや定跡研究書によ る変更や進歩を反映した完全改訂版だからである。
著者について:
 ニック・デファーミアンは、全米選手権保持者で、ディープ・ブルーに定跡を教えた。

目次の訳(詳細省略):
謝辞 序文 文献 凡例 初心者への助言
I. ダブル・キングポーン・オープニング(1 e4 e5)
II. セミオープン・ゲーム(1 e4 e5以外)
III. ダブル・クイーンポーン・オープニング(1 d4 d5, f5; Nf6 2 c4 e5)
IV. インディアン・オープニング(1 d4 Nf6 2 c4)
V. フランク・オープニング(1 c4, Nf3, b3, f4, その他)

I. ダブル・キングポーン・オープニング定跡表の冒頭訳:

キングズ・ギャンビット
1 e4 e5 2 f4









 キングズ・ギャンビットはチェス神話の一つである。百年以上もの間、この定跡は失われた黄金期を代表するものだった。冒険に満ちたサクリファイスと戦意 あふれる攻撃という高潔さに対して、公明正大でなくても最善を尽くす防御をできる者がほとんどいなかったのである。
 黄金期には綿密な分析が霧散する傾向があり、ロマンティックなキングズ・ギャンビットの絶頂期も例外ではなかった。しかし、この定跡の成功がしばしば 防御側の技術的問題にあるという現実面に興味が移っていく。キングズ・ギャンビットの衰退は、この防御力と局面理解の拙さによってその繁栄が支えられてい た ことを示している。19世紀中葉には、いくつかのギャンビット手筋も成立しておらず、勝ちどころか敗北筋であることも気付かれ始めた。その後 プレーヤーは、序盤を戦術的利点よりも駒の配置を優先に考え始めるようになる。シュタイニッツとツカートルトによる初の公式世界選手権が行われた1886 年 の頃には、もうキングズ・ギャンビットは下火になっており、1896年までの6度の世界選手権でたった1局しか指されていない。
 20世紀にはその評価もさらに低下する。シュピールマンの論文『キングズ・ギャンビットの病床より』には、カパブランカが1935年に自身の本『チェス 入門』で軽蔑するコメントを書いた。ボビー・フィッシャーの有名な1960年代の論考『キングズ・ギャンビットの崩壊』は、この定跡を永眠させるべきとし ている。しかし、キングズ・ギャンビットは終焉を拒否し、20世紀の幾人かの名人が使う機会を見いだした。アリョーヒン、ケレス、タリ、フィッシャー (!)、そしてスパスキー(実に見事な戦績を収めた)である。20世紀末のキングズ・ギャンビットは黄金期とは比べるべくもないが、イギリスのグランドマ スター、ジョー・ギャラハーとナイジェル・ショートが、1997年のマドリード・スーパー・トーナメントで合わせて2勝1敗の成績を上げた。たしかにまだ キングズ・ギャンビットは生きて健在なのである。

キングズ・ギャンビット
1 e4 e5 2 f4 exf4 3 Nf3 g5

     1           2           3           4           5           6
   キェゼリツキー         フィリドール ハンシュタイン ムジオ
4 h4...........................................................Bc4[l]
   g4                                   Bg7...................................g4
5 Ne5[a]                              h4...............0-0         0-0[t]
   Nf6..............Bg7        d6         h6         h6           gxf3
Modern Chess Openings: MCO-14 (McKay Chess Library)
0812930843 Nick De Firmian Nick De Firmian Walter Korn

Times Books 1999-10
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posted by 水野優 at 14:54| Comment(0) | チェス(洋書評 序盤) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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